両軍先発ともにハイクオリティスタート

日中は最高気温19.0度まで上昇した仙台市宮城野区。

5月上旬並みの陽気が両軍先発の力をより引き出したのだろう。この日マウンド上で投手が指に息を吹きかける光景は全くなかった。また、初の同級生対決でお互いを高め合った部分も大きいのだろう。

球団創設20周年目の開幕戦は7回までスコアレス、楽天･早川隆久、西武･今井達也の両開幕投手がともにハイクオリティスタートを記録する投手戦になった。

イーグルス先発の早川は変化球主体のピッチング。新球種フォークを始め、平均120.2キロのカーブも大胆に盛り込み、変化球を約7割で用いてストライク先行で7回4安打無失点。

いっぽう、ライオンズの今井は水を得た魚のよう。2021年10/15楽天生命パークから楽天戦11試合負けなし9連勝、昨年は楽天戦52回･防御率0.87を誇った相性を最大限に活かし、7回2安打無失点。

最速157キロのファストボールと平均139.5キロと球界屈指の高速スライダーの二頭立てのパワーピッチングが印象的だった。

ゲームが動いたのは終盤8回表のこと。

7回裏に今井が116球を投げ終えたこともあり、延長戦もみすえたブルペン勝負になっていくのかな？と思われた矢先のことだった。

1死後、1番･金子侑司に中前へ運ばれると、続く2番･若林楽人を3球三振にとり2アウト。
しかし、25打席に及ぶ通算対戦成績でOPS.900/打率.318を残してきた3番･外崎修汰のところで、好投した鷲の背番号21が捕まってしまった。

金子二盗直後、左中間を襲うタイムリースリーベースを弾き返され、これが決勝点になった。

楽天は8回に二番手･甲斐野央から2死2,1塁の同点機を作ったが、2番･小深田大翔が低めフォークに空三振。
翌9回は先頭の3番･小郷裕哉が中前行きの鋭いピッチャー返しで出塁したが、後続が倒れた。

鷲軍が開幕戦を0-1で惜敗したのは、すでにXに投稿したとおり、14年前の京セラドーム以来。
岩隈久志が1失点完投したものの、天敵･金子千尋に完封勝利を献上した2010年のオリックス戦以来2度目の屈辱になっている。

早川隆久、悔しい8回途中1失点

終盤7回まで0-0進行は、楽天サイドから見れば、好まざる展開だったか。
なんとかして1点でも先取点をもぎ取り、終盤を迎えたかったのかもしれない。

8回2死2塁、3番･外崎に浴びた決勝三塁打の結果球は失投ではなかった。
おそらく見逃せばボールになるであろう低めにコントロールしたフォーク。だから早川に否はない。

侍ジャパンに袖を通した昨秋のアジアプロ野球チャンピオンシップでの5回7K無失点、その後の豪州ウインターリーグでの快投(32回で防御率0.84)、さらに開幕前の実戦21.2回で防御率1.25と、昨年来の経験が地続きになっていることを感じさせてくれる好内容だった。

▲今年から楽天主催試合の中継で配球チャートが登場。あれ、記録集計するにも便利でいいですね。

太田とは2年ぶりのコンビ

(開幕前の実戦で9.2回組んだが)ペナントレースでは2年ぶりにコンビを組んだ太田光の配球も良かったと思う。

一発を秘める打者には初球を慎重に入ったり、単調なパターンを避けるためいろんな球を投げさせていた。

なかでも炭谷銀仁朗と組んだ昨年は10.0%の割合だったカーブを本戦では18.3%と多く用いて、打者の目線を変えたり、緩急を演出したりと工夫をこらしていた。

また新球種フォークを積極的に投げさせ、早川も要望に応えてしっかり投げきり、この落ちる球が上々の機能をみせていたところは今後につながる収穫だ。この日の奪三振8個の大半は、この落ちる球で決めていた。

継続課題とされた左打者との対決は、ライオンズが右打者を7人並べてきたことも手伝い、6打数1安打の被打率.167だった。

全体的には良かったのだが･･･(続く)