【試合感想文】 6/10中日0-1楽天:三振ゼロのイヌワシ打線「93%」驚異のコンタクト率
楽天打者全員が往年の銀次レベル
『三振ゼロ』は2021年10/27ロッテ戦以来の快挙!
この試合、個人的に最も印象に残ったのが、試合直後にTwitterに投稿し1.4万インプレッション、151件のいいねを頂戴した《楽天打線の秀逸アプローチ》だった。
中日投手陣が投じた124球と対峙した楽天打線は、そのうち57球でバットを振りにいき、53球でバットに球を当てた。
元々、イヌワシ打線のコンタクト率は80.7%を誇り、球界屈指である。三振もパリーグ最少、12球団でも早打ち傾向のあるDeNAに続く少なさだ。しかし、この日のコンタクト率はじつに93.0%を記録していた。
例えるなら、楽天打者全員が往年の銀次レベルだったことになる。
実際、両軍通じて唯一の得点になった3回2死3,1塁、浅村栄斗の中前タイムリーは、まさに銀次さながら。
相手先発・松葉貴大とのフルカウント8球勝負。結果球は131キロのカットボールだった。インコースの厳しいところに投じられ詰まらされたが、右中間セブンイレブン前方に運ぶ技あり一打になった。
キャリア通算打率.290を誇る背番号33がときたま見せる、故意に詰まらせて逆方向へ運ぶあの得意芸にそっくり。そんな1-0勝利の決勝打になった。インコースの厳しいところを突かれながらも、意識がセンターから右方向になるため、バットを内側から出すことができるから、詰まらされても右中間へ運ぶことができたのだろう。
ところで、下記表をご参照ください。
上記表は追い込まれた後の打撃成績を表にしたもの。
36打席中、2ストライク以降に決着ついたのは15打席で、13打数5安打2四球、打率.385、出塁率.467。
楽天のヒット9本中5本が追い込まれた後に記録していた。
ふつう、打率は2ストライクを取られてしまうと一気に急降下する。本戦試合前データで今季のイヌワシ打線もご多分に漏れず、追い込まれる前は打率.287あったが、追い込まれた後は.151と数字を一気に落としていた。
しかし、この日に限って言えば、全くそんなことはなかった。
なぜかと言うと、三振ゼロだからだ。
2ストライク以降の打率が悪化してしまうのは、当該状況で1球でも空振りしたり、見逃しストライクを奪われてしまうと、即三振になってしまうからだ。
追い込まれると全ての球種・全てのコースに対応しなければならなくなる難しさもあるが、それ以上に三振というファクターが大きい。追い込まれる前は打数の中に三振は含まれない。しかし追い込まれた後は打数の中に三振が含まれてくる。このことが2ストライク以降の打撃成績を大きく悪化させているファクターと言える。
実際、今季のイヌワシ打線も、2ストライク以降の打数から三振を取り除いた場合、打率.255になっている。
9安打3四球ながらもたったの1点と、つながりを欠いたという点に関しては課題を残したが、アプローチ自体は素晴らしかったと思う。
評価しない投手の典型例
いっぽう、視点を中日側に移すと、やっぱり松葉だ。
大学4年時には三重中京大の則本昂大との投げ合いに勝ち、延長10回6安打1失点完投勝利をあげたことのあるサウスポーは、プロでは技巧派左腕に。奪三振率はキャリア通算5.33、今年に限れば、たったの3.08しかない。
ここまで三振が取れないと、インプレー打球の行方はどうしても運任せ、味方守備陣任せになる要素は高くなってしまう。
上記表のうち、どこかの場所で複数三振を取れていたら、結果はまた違ったかたちになったのに、三振奪取能力のなさがゆえに、こういうリスクを招いてしまうとも言えるのだ。
18年目のベテランがみせた技あり一打
その中、楽天打者が追い込まれながらもよくぞ三振しなかった!というアットバットがあった。
決勝点の起点を担った3回先頭・炭谷銀仁朗の左安だ。
厳しい内角攻めに遭った・・・(続く)
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