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【戦評】好投今井に完敗。楽天戦8回以上無失点は4/5山岡泰輔以来~5/5●楽天0-4西武

※本稿は全文公開、最後までお楽しみいただけます

5連敗の後の泥沼4連敗

悔しいかな、完敗だ。

三木谷オーナーが現地観戦する御前試合にもかかわらず、今シーズン4度目の零敗を喫した。

自慢のイヌワシ打線は右投手OPS.829を記録し、目下、相手先発右投手ゲームで8試合連続二ケタ安打中。
しかし、この日は令和初完封勝利を飾った今井の前に散発3単打に封じられ、3塁踏めずに終了した。

これで楽天は5連敗を令和初日に止めた後、再び4連敗。
直近10試合は1勝9敗と完全な退潮ムードを余儀なくされ、順位も4位へ。

成績は30試合14勝15敗1分、開幕戦以来の借金1。

各種戦績は、西武戦2勝4敗、ビジター6勝9敗1分、先制された試合5勝11敗1分、6連戦日程の4戦目以降0勝4敗1分になった。

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(三)、2番・藤田(遊)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・ウィーラー(指)、6番・山下(一)、7番・ブラッシュ(右)、8番・嶋(捕)、9番・辰己(中)、先発・石橋(右投)

西武=1番・金子侑(左)、2番・源田(遊)、3番・秋山(中)、4番・山川(一)、5番・森(捕)、6番・メヒア(指)、7番・外崎(二)、8番・木村(右)、9番・山野辺(三)、先発・今井(右投)

凡例


石橋、安楽、合格点の健闘

楽天先発はプロ初先発の石橋。

今季ここまでの9登板は全てリリーフ起用で、今季の最多球数も開幕前2/17ロッテ戦の45球だった。
その復活右腕が先発調整もなく、救援中3日で急遽のスターターへ。

池田や西口、塩見などの怪我人やリハビリ組、藤平、戸村ら不調者が続出中のイーグルス。
濱矢とのトレードで楽天入りした熊原もリスキーな投球を繰り広げ、安定感に乏しい。
唯一、下で防御率1.85と好成績をあげる菅原も、四球率は5.55と不安要素も見受けられる。

そんな感じでファームにも1軍ローテの穴を埋める代替戦力不在のなか、ドタバタ劇のすえの代役だったことを考えれば、石橋の4回2失点76球は十分なピッチングだ。

二番手・安楽とともに8回4失点は合格点。
確かに山川のどすこい2ランは痛かったが、強打の西武打線を相手に失点かさむことも想定されたので、石橋、安楽で4失点は上出来の部類だと思う。

西武バッテリーによる入念なゲームプラン

問題は打線だった。

試合後の辻監督談話や各種報道によれば、前日の楽天打線のアプローチを分析し、入念なゲームプランを立てていたという。

前日、楽天はファーストストライクを主に速球(69.2%)で取りにくる多和田に対し、積極的にスイングをかけ、2本のタイムリーを含む9打数4安打、1二塁打、2犠打の戦績をあげた。
多和田から放ったヒット8本の半数は、ファーストストライクを狙撃したものだった。

しかし、この日の今井はカウント球から変化球を多く混ぜてきた。

その象徴が茂木の初回先頭打者打席だ。
茂木の初球から5球目まで、じつに変化球5連投。

ふつう、立ち上がりの先発投手は、投球の軸球になる真っすぐがマウンドでどれだけ通用するか、その調子を確かめるため、真っすぐを多投したがる。
実際、今季の楽天戦における両軍先発の初回先頭打者への球種割合は速球65.2%を記録した。

しかし、この日の今井は茂木に対して7球勝負中、変化球が6球だった。

ファーストストライクの速球割合も56.2%に下がり、楽天打線は狙い球を絞りきれなかった。
それでも前日同様、楽天打線はファーストストライクからスイングをかけにいったが、その内訳は以下のとおり。

空振り2球
ファウル9球
凡打4球
安打1球

今井の圧勝だった。
前日ファーストストライクで4安打した打線は、この日は1安打どまりだった。

最速151キロ、平均でも147.0キロを計測したストレートに加え、各種変化球もキレがあり、出来も良かった。
変化球のストライク率も71.0%を数え、下記の円グラフを見ても、各球種まんべんなくストライクを稼ぐことができていた。

このことで楽天打線は狙いを絞ることができない。

茂木を塁上に置いた6回2死2塁、スピードボールに強い島内が中途半端なスイングでイージーな中飛に倒れたシーンなど、そのことを如実に表していた。

最大チャンス、変化球と緩急で3者凡退

楽天に唯一チャンスがあったとすれば、1点を追う2回だ。

先頭の5番・ウィーラー、6番・山下が連続四球。
味方先制直後で気負ったのか、今井の投球が力んで制球乱す場面が多かった。

しかし無死2,1塁からJB右飛、嶋中飛、辰己空三振。
変化球で緩急を作られ、直前球との球速差はJB36キロ差、嶋16キロ差、辰己21キロ差だった。

JBは5/3ソフトバンク戦(●E11-12H)で5回守備からベンチに退いていた。

この日の実況・加藤暁アナが言うには同日足を痛めたのだという。
おそらく1回に右前ヒットコースをスライディングキャッチした際、足を大きく伸ばしたことで負傷したと思う。

5/4西武戦(●E6-7L)ではベンチ入りも外れて完全休養。
(インスタのストーリーズをみると、どうやら新宿か銀座の某高級ブランドに行っていたようだ)

中1日での戦列復帰になったが、この日はメイクアップにかけた。

2打席目の見三振では球審のストライク判定に不満を表わす仕草をみせ、6回先頭・秋山の右翼線二塁打の処理時にはファンブルして打球処理にもたつき、1ヒット1エラーで一気に三進を許した。

ああいう姿をみると、足を痛めた後遺症を引きずっているのかな?と見えてしまう。

代行時代含めて初作戦になった平石采配

2点を追う6回にも好機到来した。

先頭の1番・茂木がセンター返しで出塁。
2番・藤田が手堅く犠打を決めて1死2塁で、クリーンアップに打席をまわした場面。

ゲームの後半6回以降、2点差以上を追う負けている展開で、走者1人だけを進塁させるバント作戦は、前年の代行指揮時代から初の采配になった。
(昨年7/1西武戦、2点を追う7回無死2,1塁、走者2人を進める三好犠打はあった)

この作戦は理解できる。
得点圏で西武戦に強さを発揮していた浅村に打席をまわし、今井にプレッシャーをかけていこうという判断なのだ。

しかし、前述したとおり、狙い球を絞り切れずに浅村、島内凡退。
この直後、山村2ランで4点差と突き放され、勝負決した。

まだ143試合の30戦目だ。
この敗戦をプラスに考えれば、投手陣は2人で1試合を賄い、連投とフル回転が続いたリリーフ陣に休養日を設けることができた点は大きかった。

打線が無得点に終わった点も、良かったと思うしかない。
下手に接戦になれば、石橋、安楽だけではいかなくなり、勝ちパターンを投入せざるをえなくなる。

ましてやオーナー観戦の御前試合。
2点差以内なら森原や青山が投入された可能性は大いにある。

借金生活に転落した敗戦は、今後もしばらくフル回転になりそうなリリーフ陣のことを考えたら、良かったと思うしかない。【終】

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