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【戦評】塩見2被弾を招いた、足立祐一の“疑問残る”配球~7/18●楽天3-4西武

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打線拙攻、塩見2発に泣く

中8日の先発・塩見は6回途中9安打4失点、今季3敗目を喫した。

先手を取ったのは楽天だった。
初回に生え抜き2発の本塁打攻勢で3点を先制する。

茂木の3号ソロが自身10度目の初回先頭打者弾を描くと、島内も続いて2号2ラン。外国人打者のホームラン供給が7/2●E5-8Mを最後に13試合連続でストップするなか、鮮やかな競演になった。

ところが得点はこの3点だけ。
4点目以降を加点できなかった拙攻が後に響いた。

打線は2回以降も7回まで毎回走者を出す攻撃だった。
とくに2回は銀次右安、3回は鈴木四球、4回は島内四球、3イニング連続で先頭打者の出塁に成功した。

しかし2回は足立のバント失敗、3回は浅村のゲッツーで得点圏進出すら叶わずに凡退。4回は無死2,1塁から策なく、銀次、足立、小深田が揃って凡退した。

打線が悶々と足踏みを続けるなか、塩見が6回遂に山賊打線に捕まってしまう。

5回まで4安打に抑えた好投が一転、6回に長短5安打の集中攻撃に遭う。
失投も絡み、山川に8号3ラン、中村に3号ソロをかっ飛ばされ4失点。

結局、6回以降、小刻みな継投で逃げ切られ、3-4の惜敗に。今季3度目の逆転負けになった。

チーム成績は1位、25試合(全日程の20.8%)15勝10敗の貯金5。
各種戦績は、西武戦2勝2敗、楽天生命パーク11勝5敗、デーゲーム4勝4敗、1点差1勝3敗に。

ゲーム差は2位のソフトバンク、ロッテと1.0、4位・西武と2.0、5位の日本ハム、オリックスと5.5になった。

◎両軍のスタメン

西武=1番・鈴木(中)、2番・源田(遊)、3番・外崎(二)、4番・山川(一)、5番・森(捕)、6番・中村(三)、7番・栗山(指)、8番・スパンジェンバーグ(左)、9番・木村(右)、先発・松本(右投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・鈴木(三)、3番・ブラッシュ(右)、4番・浅村(指)、5番・島内(中)、6番・ロメロ(左)、7番・銀次(一)、8番・足立(捕)、9番・小深田(二)、先発・塩見(左投)

◎試合展開

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狙ったコースも球種も全く同じだった

過去3戦の塩見は対戦巡目が3巡目に突入すると、以下のとおり。
3巡目の被打率が最も悪く.364を記録していた。

1巡目 .318
2巡目 .231
3巡目 .364

結果的に本戦もこれまでの傾向を踏襲するかたちに。
2巡目まで被打率.235も、5回2死3塁から突入した3巡目では8打数5安打の.625を喫した。

それにしても、問題の無死3,1塁、4番・山川との対決。
足立の初球インコース要求は、果たしてどうだったのか?疑問が残ってしまう。

前日の試合評では今年、右打者対戦時に太田の内角配球が増えていることを指摘した。しかし、足立に変わったこの日も楽天バッテリーは山川に徹底しすぎる内角攻めを採用。

ということは、捕手が変わっても共有したチーム全体の山川対策だった可能性もある。しかし、その度合いは太田を遥かに上回るものだった。

2回三飛の4球勝負は全球クロスファイアの速球。4回の空三振に退けた6球勝負も5球目まで内角速球、結果球だけ外角低めカーブという内訳。
つまり、過去2打席は10球中9球がじつに内角速球になっていた。

ここまで偏りすぎる配球は、いくら太田でもしないもの。
実際、太田は山川との66球勝負中、内角にミットを構えたのは25.8%に当たる17球である。

この度を超えた極端な配球が、敵軍主砲に腹をくくってスイングするきっかけを与えたのではないか。

悪いことは重なり、その投球が内角に到達しなかった。
真ん中に入る絶好球を2年連続のホームランキングが逃すはずもなかった。

3打席11球勝負中、狙ったコースも使用した球種も全く同じ投球が10球にも及ぶ。視点を変えれば「淡泊」という見方もできてしまう。

足立には内角攻めに速球一本槍ではなく、たまにはバックフットスライダーやカーブを織り交ぜることも考えて欲しかった。もし過去2打席でそれらを混ぜていたら、6回無死3,1塁の3打席目、内角を狙った初球速球が真ん中に入る失投になったとしても、打ち損じの確率を少しでも上昇させることができたかもしれない。

また、この場面、楽天ベンチにも注文がある。
同点にされる一発だけは絶対に回避すべき局面だった。
バッテリーに具体的な指示は出さなかったのか?

初球は様子見でリスクの少ない外から入る作戦もあったはず。
直前には伊藤コーチがマウンドへ行き、バッテリーや内野陣とコミュニケーションを取っていただけに、いったい何を話していたのか、疑問残るシーンになった。

塩見の性が生んだ決勝被弾

続いて決勝弾になった中村フルカウントからの左越えソロ。
これも極端すぎる配球だった。

三ゴ、二飛に退けた前2打席は6球中4球がフォーク。決勝弾を浴びた6球勝負も、1-0からの2球目から5球連続フォーク。
計12球中フォークが9球を占めていた。

これだけ同一球種を見せられたら、相手は現役No.1のスラッガーだ。当然対応してくる。しかも、その球種が半速球となりストライクゾーンに滞留したのだから、打たれるのは必然と言えた。

中村を1塁に歩かせても良い場面だったと思う。
しかし、塩見にはできなかった。

塩見という投手は本能的なレベルで四球を限りなく出したくないタイプだ。

そのキャリア通算与四球率は2.05。
とくに近年はそれが極まり、2018年は1.05、2019年は1.58をマークした。

今年は7/2●E5-8Mには5回途中6失点。
2016年3/26以来の自己ワーストタイの1試合6四球が響いて炎上した。

これは本人にとって相当ショックのはず。
今まで以上に四球を出したくない思いが募ったと思う。

それがあの場面、ストライクゾーンからボールゾーンへフォークを低めに落とすことをよしとせず、ストライクゾーンへ入れることを優先させてしまったのだと僕は見ている。【終】

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