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【試合評】 ポテンシャルを見せた、古川有利あっぱれ渾身のプロ初完投!!~10月5日●楽天2-3xロッテ

奮闘した古川&下妻の若手バッテリー

渾身の力投だった。
高卒4年目の古川が1軍通算14登板目で遂に真価を発揮した。

1軍では自己最多になる8回2/3、118球。
未体験ゾーンに入りながらも、ロッテ打線の安打を投球回を下まわる数に抑えて、四死球は1つも出さなかった。
今シーズン、8回以上を無四死球で終えた楽天先発投手は、美馬(5/6西武戦、5/20ロッテ戦、9/19日本ハム戦)、則本(6/26オリックス戦)に続く、3人目5度目の快挙というナイスピッチングになっている。

スタメンマスクをかぶった古川の1歳上の下妻も、見事だった。
好リードで古川を引っ張ると、打っても3回先頭の第2打席、2-2と追い込まれながらも高めの球を叩いたピッチャー返しが、ショートの右、2塁ベース左を射抜く中安になり、これが1軍通算9打席目での「プロ初ヒット」になった。

楽天の次世代を担う若き才能が素晴らしいプレーをみせた幕張の夜。
にもかかわらず、これが無常の今季2敗目になるところが、この8連戦中で1試合平均2.42得点しか取れていない今のチーム状態だ。

見守った鷲ファンの恐らく全員が、プロ初勝利に相応しい投球と納得した古川の118球が、9回裏2死2,1塁、代打・井上のショート内野安打がサヨナラ打という「やるせない結末」でシャットダウンされてしまったが、敗れても清々しさ残る古川x下妻コンビの活躍劇になった。

大喝の味方打線。古川登板時のありえない援護点

それにしても、打線には大喝である。
今シーズン、特に前半戦は投打のかみ合いが素晴らしく、「打線が投手を育てる」ことができていた。
投手に自信を与え、その成長を促す援護力だった。
その象徴は美馬だったが、唯一の例外が古川だったのだ。

古川登板時、味方打線の援護点は合計たったの3得点。
本戦の2点と、5月4日オリックス戦(○E2-1Bs)の3回1番・茂木が挙げた左犠飛の1点、この雀の涙にもならない3得点である。
これでは、いくら好投をしてもプロ初勝利は厳しくなってしまう。

前日には順位が最終確定。
このことは古川にとって投げやすい環境になった反面、CSを見すえて本戦でも嶋や体調不良のペゲーロを休ませ、代わりに内田や田中、枡田といった若手・控えがスタメンを占めた点は、逆に得点力不足を招き、古川を見殺しにすることにもつながった。

これでチーム成績は139試合74勝62敗3分の勝率.544。
5月9日以来の貯金12になっている。

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・岡島(左)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(指)、5番・銀次(二)、6番・枡田(一)、7番・内田(三)、8番・下妻(捕)、9番・田中(右)、先発・古川(右投)

ロッテ=1番・加藤(左)、2番・荻野(中)、3番・鈴木(二)、4番・角中(指)、5番・中村(遊)、6番・高濱(一)、7番・肘井(右)、8番・柿沼(捕)、9番・大木(三)、先発・佐々木(右投)

佐々木はシュート回転していた

良い当たりが野手の正面をついたり、敵軍の好守に阻止される不運な場面もあった。

たとえば初回だ。
1番・茂木が初球打ちの安打出塁、続く2番・岡島のバスターエンドランで二進すると、2死2塁で4番・ウィーラーの打席時にパスボールで3塁へ。
その直後、ウィーラーが右前へ弾き返した快打で先制のホームを踏んだ。

なおもチャンスは続く。
5番・銀次がライト右へ弾き返し、3,1塁。
打席は6番・枡田にまわったが、捉えた痛烈打球は野手正面をつく一直に。
枡田24打席ぶりのタイムリーにはならなかった。

きわめつけは3回だった。
初回に1点を先制し、先頭打者四球の3回は5番・銀次の右犠飛でさらに1得点。
その後もチャンスを作り、2死2,1塁で7番・内田。
引っ張った痛烈飛球はレフトの左を破る長打コースだったが、左翼を守る加藤の球際ダイビングキャッチに阻止され、今季初安打を逃した。

しかし、相手先発・佐々木は過去2回いずれもKOしたとき時とほとんど変わらず、速球はNPB平均を下回る139.2km止まり。
そのストレートもあいかわらずシュート回転するケースが目立っていた。

一方、主戦級がスタメンを外れ、8連戦中の8連戦目で疲労も溜まり、力量落ちたイヌワシ打線にとっては、変化球の66.7%を低めに集められ、平均117.5kmのカーブで緩急を演出されたことで、苦しむかたちになった。

2点リードしながらも2点取られ、試合が振り出しに戻った直後の4回表、8番・下妻のプロ初安打と9番・田中の捕犠失で無死2,1塁を作ったが、1番・茂木が4-6-3のゲッツーに。
併殺打が少ない茂木にしては珍しい光景になるなど、拙攻も目立った。

それにしても、古川は野手の守備にも足を引っ張られる形になりながらも、8回2/3を3失点の好投だったのだ。

というのは、

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