一夜明けてなお、「感動の余韻」が、ぼくの全身を包んでいる。

所沢で2連勝して福岡に進軍した鷲軍が、その初戦に素晴らしい敵地勝利を飾った。

あれから約6年5ヵ月、プロ初登板･プロ初勝利を記録した思い出の敵地マウンドで、先発･塩見が「一世一代の仕事」を成し遂げている。
若鷹軍団を5回まで散発3単打の無失点に抑え、2塁すら踏ませない快投。
6回を投げ切り、四死球ゼロの1失点にとどめる役割全うの89球だった。

そんな塩見の快投を援護したのが、3本のアーチだ。

初回に1番･茂木が左中間へ口火を切る今ポストシーズン2本目のリードオフアーチを射かけると、2回には戦列を離れたペゲーロに代わってスタメン入りした7番･アマダーがこれまた左中間へ。
さらに4回には4番･ウィーラーがバックスクリーンに運び、東浜にとって自身初の1試合3被弾で、主導権を握った。

相手に1勝のアドバンテージがあるCSファイナルステージ。
そのなか、ホークスがパリーグ最多勝投手を立てて臨み、こちら楽天は裏ローテで始まらざるをえない初戦で、投打かみ合っての1点差勝利は、1stステージの第2戦のような、このシリーズの潮目を変える勝利になったと思う。

両軍のスタメン

楽天=1番･茂木(遊)、2番･岡島(右)、3番･銀次(二)、4番･ウィーラー(三)、5番･島内(左)、6番･枡田(一)、7番･アマダー(指)、8番･オコエ(中)、9番･嶋(捕)、先発･塩見(左投)

ソフトバンク=1番･明石(二)、2番･今宮(遊)、3番･中村晃(左)、4番･内川(一)、5番･デスパイネ(指)、6番･松田(三)、7番･川島(右)、8番･甲斐(捕)、9番･上林(中)、先発･東浜(右投)

三者三様のホームラン

それにしても、三者三様、それぞれの思いを乗せたホームラン攻勢になった。

1番･茂木は、今ポストシーズン、初回先頭打者打席にかける集中力が、いつも以上に相当高くなっている。

「1打席目に『Ｈ』のランプがついたときには、その後、気楽に打席に立てている。短期決戦だし、1打席目に集中していきたい」。

CSに入る前、そのように決意を口にしていた茂木が有言実行の、左安、中本、四球、左中本だ。
逆に2打席目以降は、12打数1内野安打、3三振、1四球。
あまりにも明暗くっきり分かれすぎた結果は、集中力の大半を『一の太刀』に注いだ副作用なのかもしれない。
それだけ、1打席目に尋常ならざるほど全神経を研ぎ澄まして臨んでいるという証拠なのだろう。

今CS、3位で臨んでいる楽天は1stステージもファイナルステージも舞台は敵地のため、1番･茂木の1打席目は、プレイボール直後の1回表の1番最初にまわってくる。

敵軍ファンの声援に飲み込まれないビジター雰囲気の中、相手の出鼻をくじき、自軍の戦意を一気に高揚させるためには、初回先頭打者打席は有効だ。
この重要性をほんと、良く分かっているのだ。

そして、アマダーである。
このチームの雰囲気を良く表しているのでは？と思う一発だった。

というのは、、、

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