勾玉の数は16個

「新幹線変形ロボ シンカリオン」が好きだ。男児向け玩具から派生したTVアニメで、主人公は名を速杉ハヤトという。出木杉英才とそう変わらないレベルのネーミングだが、速杉ハヤトはそのキャラクター性も出木杉英才と近いものがある。ハヤトは出木杉ほど万能ではないものの、好きなもの(新幹線および鉄道)に付随する知識は誰にも負けないレベルであるし、礼儀正しく、親への尊敬をてらいもなく口にする大変育ちの良い男の子だ。野比のび太と出木杉英才のどちらに近いかと言えば、確実に出木杉タイプだろう。出木杉が主役になる時代なんだな、と考えるとなかなか趣深いものがある。

そんな速杉ハヤトは埼玉県大宮市に住んでいる。シンカリオンの本拠地が鉄道博物館に設定されているためである。私は埼玉出身在住で埼玉を心の底から愛しているため、これだけでシンカリオンのことが好きになってしまう。ハヤトの父親・速杉ホクトは鉄道博物館に勤務すると偽ってシンカリオンの開発に携わり、のちにハヤトともにシンカリオンに搭乗する。ふたりはいつも鉄道の話で盛り上がり、ハヤトの母親と妹は呆れながらふたりを見守っている。このハヤトの妹はいつもヘッドホンをしているクールな少女で、名をハルカという。何を隠そう私の名前もハルカである。そして私の父と兄もまた鉄道好きなのだ。そして埼玉に住んでいる。それ、もうほぼ私じゃん!ということで、私はさらにシンカリオンが好きになった。

ところで一般に郷土愛がないと言われる埼玉県民だが、私は埼玉が好きである。地元にいい思い出があるわけではない、というかむしろ悪い思い出のほうが多いし、友達もいない。よく言われるように埼玉には秩父以外に目立った観光資源もなく、鉄道によって東西南北が分断されているため同じ埼玉県民であっても見えている埼玉が違う。でも、それって素晴らしいことじゃないですか? 見たもの、住んだ場所、過ごした人、そういう個人的な体験だけが埼玉に色を付ける。私が愛する埼玉もまた私の中にしかない埼玉だし、100人の埼玉県民がいれば100通りの埼玉がある。埼玉のよさは与えられるものではなく、見出すものなのだ。埼玉最高。2月には「翔んで埼玉」の実写映画も公開されるし、今年は埼玉の年になる。間違いない。

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