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「出会い、生まれる、じてんしゃ旅」 世界36カ国90000km を旅してきた自転車冒険家が、今回目指すのは生き 方の冒険。 財布を持たず、見通しを持たず、持つのはコーヒー… もっと読む
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#生き方

地震が起き、明かりが無くなった。

地震が起き、明かりが無くなった。

僕の頭のなかは「台風」のことでいっぱいだった。
下川町を出たころ、会う人会う人に「台風来てるから気をつけてね」と声をかけていただく。今年の西日本豪雨をはじめとした水害はまだ終わる気配を見せない。本来、梅雨がないと言われている北海道も今年は「蝦夷梅雨」といって雨ばかりの夏だったそうだ。

台風が来るのは今晩。自分のいる場所からオホーツク海にぶつかる興部町の道の駅にも、列車の車両が旅人の宿泊用に開放さ

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行き当たりバッチリでいこう。

行き当たりバッチリでいこう。

親友のリョータ家族の暮らしに、僕も借りぐらし。
そこで垣間見たおおらかさというよりも、どっしりとしていて、その都度起こることをしっかりと受け止められるような安定感。このままいたら、まだまだ彼らから受け取るものがたくさんあるだろうなぁという名残惜しさを残してペダルを踏みはじめた。

さぁどちらに向かおうか。当日の朝まで決めず、ゆきちゃんの「なんとなく東でしょ!」をサッと受け入れ稚内ではなく下川を目指

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僕は君たちに出会って【家族】に憧れた。

僕は君たちに出会って【家族】に憧れた。

一度しか、それもたったの1、2時間しか会っていないのに、心に何か余韻のようなものが残る出会いがときどきある。徳島に家族と里帰りしていたリョータとその家族がそうだった。カラダもおっきいけど、その佇まいから懐の大きさを感じるリョータ、赤ちゃんを抱きながらおっきな口をあけて笑う奥さん、そしてオチンコチーン!と父ちゃんのちんこをたたく娘。

「昭和の時代はこういった家族がどこにでもおりました」とキャプショ

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コーヒー屋の娘と写真

コーヒー屋の娘と写真

茨城の名店SAZA COFFEEの焙煎士・黒澤さんからうかがっていたカフェが旭川のお隣、東川町にある。YOSHINORI COFFEEを目指して自転車を走らせる。

旭川の市街地を抜けると一気に田畑が広がる風景に。目の前にまっすぐ伸びる道路も頼りがいがなく、これから店があらわれるのであろうかと不安になるようなところ。えんえん続く畑の向こうには、いくつか山が連なっていて、ときおり軽トラが景色の向こう

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家族とひかり。

家族とひかり。

この家で過ごした3日間。
そこにはいつも光があった。

家族のなかで生まれるひとつひとつの動きや声かけに、やわらかな光が含まれていて、それが例え子どもたちの誰かを怒っているときにも、そこには深く澄んだ愛が溶けこんでやわらかだった。

僕は彼らと過ごしていて、あつくもさむくもなくて、ちょうどお日さまの当たるウッドデッキで寝転んでいるときのような、そんな心地がした。そのやわらかで、けどたくさんの思いが

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10月19日(金)本日のスタジオは群馬県片品村の温泉宿
【TOPICS】
ジングルできました!ジャジャーン言うやつ!
群馬県片品村での講演会の報告
盛岡での素敵な大学生リョータとの出会い
もうすぐ仙台入りです!
【最近の曲】
BUMP OF CHICKEN
望遠のマーチ
https://youtu.be/Fk4sgvvHyeI
話がしたいよ
https://youtu.be/G6s8HF1WsJY

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記念すべきEARTH RIDE RADIO第1回。いよいよ北海道を抜け出し青森へ。青森市での物語がたくさん生まれたdailylife bicycle cafeの様子から、大先輩との再会、そして生まれてはじめての米軍基地滞在など盛りだくさんでお届けします。

「違いますよ、お父さん」と僕は言った。

「違いますよ、お父さん」と僕は言った。

札幌のとある夜のこと。まだやってますか?と車に呼び止められ、コンビニの駐車場で淹れたコーヒーがきっかけで、ご近所さんのお家の夕食にお呼ばれした。

そのお家の旦那さんは、むかし自転車で日本一周をやられた方で、コーヒーを飲んでくださった奥様が「きっと旦那も会いたいと思うんです。けれどお店につきっきりだから。。。もしお酒飲まれるなら行ってくださいませんか?」と僕に伝えてくださった。

なんだかその表情

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「誰かにとっての居場所になること」

「誰かにとっての居場所になること」

やっとこさ札幌を離れる。まだ知り合って間もなかった僕を迎えてくださったサムズバイクの奈美さん、そしてサムズバイクのスタッフとファミリーのみなさんには感謝しかない。たくさんの出会いと思い出、そしてまたひとつ「帰る」場所が増えたことに感謝して、僕は札幌を離れた。

あらためてサムズバイクは不思議な場所だった。セレクトしているバイクにパーツのセンス、メカニックの技術がいいことは言うまでもないけれど、それ

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大きな流れに身をゆだねる生き方。

大きな流れに身をゆだねる生き方。

【引き寄せ】という言葉がある。昔からあったんだろうか?それとも最近割と流行ってきた言葉なのだろうか。なんかいつの間にか【断捨離】ぐらいみんなが使うようになった言葉という気がする。ひとつの行動、ひとつの言葉。それを放ったあとに自分にとって「こうあってほしいこと」が舞い込んできたときに”引き寄せた!”と言ったりする。

けど僕はじつは引き寄せという言葉がなんとなく苦手だ。それは誰かがこの言葉を使うこと

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「実はね、この人もう目が見えないの。」

「実はね、この人もう目が見えないの。」

さあて、どこにしようか。
札幌のシンボルといえば、でっかくそびえるテレビ塔からズラーッと札幌中心部を横断するように伸びる大通り公園。噴水があったり、芝生の広場や小さなお山があったり、夏にはビアガーデンとなるとっても素敵な場所だ。観光客だけでなく、地元の人にとっても憩いの場になっていて、自転車を押しながら歩くだけでもずいぶんおだやかな空気が流れていて居心地がよい。

いちばん盛り上がっている3丁目(

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子どもの失敗の見まもりかた。

子どもの失敗の見まもりかた。

冬に札幌に講演で呼んでもらったときに、東京の仲間の紹介で、講演を聞きに来てくださったサムズバイクの奈美さん。そのときは、まだお店はOPENしていなく改装中だった。

名前のとおりサムズバイクのオーナーは奈美さんの旦那さんであったサムさんだった。そして創業25年のこのバイクショップは北海道だけでなく、全国でも名の知られた名物ショップだったのだ。

彼が若くして突然亡くなり、奈美さんがお店を改装して新

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コーヒーだけに落としちゃったね・・・。

コーヒーだけに落としちゃったね・・・。

あぁ。。。

自転車のうしろに積んでいるバッグのフラップを開けてため息が漏れた。
カフェのための装備と荷物が入っているそのバッグ。小樽で買ったはずのSATO BLEND BIEN CAFEのコーヒー豆が袋ごと無くなっていた。

札幌、大通り公園までの60kmを走り終えて、ホット一息つこうかと、後ろを振り返ったときに嫌な予感がしたのだ。いつも締まっているはずの、バックルが外れてストラップが垂れ下がっ

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高倉健とこだわりの崩壊

高倉健とこだわりの崩壊

「高倉健の話を聞いてくるといいですよ!」

こんな紹介の仕方があるだろうか。それもお店のコーヒーの味とか、焙煎へのこだわりとかではなく、高倉健のお話とは。こういう変化球を投げてくる人はしぃーらない!と言えるくらいの男を目指すなんてつもりはサラサラなく、絶対行きます!と伝えSATO BLEND bien cafeに自転車を走らせた。

住宅街のまんなか。それも自宅建物の地下。看板なんてものはなく、ガ

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