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日本がこれほどまで「よそよそしい」なんて

徳島からのフェリーが東京の晴海ふ頭に到着する。
夜は眠れたようで、どちらかというとバッテリーが切れたように眠りに落ち、そこから20%くらいまで充電した時点で目が覚めた感じ。外は明るくなってきていて、向こうに怪獣のような、なんだっけ、あの橋が見えた。

港に到着し、車の流れに沿ってビルのようなフェリーからつながるスロープを降りた。なんとか雨はやんでくれたようだ。フェリー待合室にてとりあえずパッキングをまとめ、ほんとは1時間ほどで終えられるはずなのに、乗らない気持ちも手伝って結局2時間ぐらい、会社員が通勤をはじめる時間になってしまった。さあ、(しょうがない)いくか。

ちょっとの段差にタイヤを乗りあげただけで、うしろの20kgくらいあるバッグがズシンとずり落ちた・・・おいおい、こんなことって・・・まだ2kmほどしか走ってないし!見ればフレームにひっかけているフックがもう開ききってる・・・。真っ黒な夕立雲が空をおおうように自分の心にもどよーんとしたやつが満たされてきた。

まず通り過ぎたのは、東京の築地と新橋のところ、時間はバッチシ通勤時間だ。道路の脇を走るぼくのすぐとなりには、会社に通勤する数えきれないほどの会社員。誰ひとりとして僕に目をくれることなく、まっすぐに自分の行き先を見つめて歩いている。

不安があるのは知っていた。けれどもその不安が大きくなると、それまで同じぐらいあったワクワクさえも押し出してしまう。心の空間は同じサイズだから。なんでこんなことをはじめてしまったのだろうか・・・。そんな情けない感情まで抱くようになりながら、自分の足がかりとなるような人から連絡を入れていく。会いませんか?コーヒー淹れに行きます!

たったひとり都合がついたのは、「まささん!会いましょう!」と連絡をくれちえた神奈川県大和市にいる後輩だった。よし、今日はそこがゴールだ。いやそこに行かないと今の宙ぶらりんな気持ちの僕には耐えることができないかもしれない。

僕はわかった。世界は自分の心を映す。そんなこと!と思っていたけれどやっぱり映す。現に僕の目の前に広がる「日本」はこれまでのどんな人生の場面よりもよそよそしくそこにある。旅をスタートさせる前の昨日まで、あんなに身近に感じていたのに。

夕方暗くなる少し前に大和市の後輩の家に到着した。人懐っこい後輩の笑顔、故郷が近い明るいお嫁さん、そして6ヶ月の赤ん坊に癒やされる。



「今まで飲んだ中でいちばんおいしい」

この言葉をくれた奥さん。本心かお世辞かなんてことじゃなく。言葉に宿ったその優しさを僕はそのまま受け取ることにした。



後輩の片野健太くんがやっているREAR PROJECT
社会のポイ捨て問題を前向きなチカラで解決していきたいという。
若くて、けど誰よりも向き合う姿。応援してます。

REAR PROJECT

自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!