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そのときに踏み出せるか。人生の瞬発力。

こんなことって信じられるだろうか。あまりに展開がはやすぎて行き当たりバッチリの僕でさえもハラハラしてしまった昨日の夜の出来事を。

昨日も高知の商店街でコーヒーを淹れていた。なんとなく前日の余韻のようなものがまだあったので。オシャレさん、建築家の先生、銀行マンに徳島から来た若者たちに占い師さん(タロット占いをお返しにしてくれた)。昨日もまた高知らしいいろんなジャンルの方々とともに夕方までの時間を過ごし、なんとなくやりきったと感じたところでサッと片付けた。この心地よい疲れとともに走りながら今日はどこかにテントをはることにしようか。

夜が訪れすっかり暗くなった国道を西に進む。ちょうどこの先におっきな公園があるなと、歩道を走り赤信号で止まったら、いきなり左手から横断歩道をを渡ってきたお兄さんに呼びかけられた。

「西川さんですよね!?コーヒーの!」

え!どういうこと!?そして手にはでっかい文旦(みかんの親戚)を持ってはる。やべ、こういうときに頭が展開におっつかない。きっと変質者を見るような目で彼を見てしまったに違いない。

「実は、教え子がね昨日商店街で日本じゅうを旅するお兄さんのコーヒーを飲んだと話してくれたんです!それで学校帰りになんだか荷物いっぱい積んだ自転車走ってるなぁなんて眺めていたら「FREE COFFEE」と書いてあったんであわてて車をとめてここまで来るのを待ってたんです!教え子はね、たしかプリンをあげたと言ってました!」

(昨日若者たくさん来てたしどの子やったやろうかとおぼろげだった僕のイメージは、このプリンでしっかりとピントが合った!プリン!)

ここでプリンの子について説明しよう。プリンの子は、春から大学進学だったのだが受験でうまくいかずもう1年勉強することを決心した女の子で、家よりかは気分転換に外に出ようと歩いていたら僕のやってるdailylife bicycle cafeを見つけ、スタスタとやってきた勇気ある女の子だ。すっかり自分の選択にも気持ちの区切りをつけこれからを見つめようと考えていたときにやってきたので、他に来ていた若者とも楽しそうに話し、もう少しいていいですか?と僕と人生について語り合い、そして最後には「お母さんのために買っていた夕方しか買えないめっちゃうまいプリン」を僕にコーヒーのお返しとしてくれた、プリンのように人を幸せにできる女の子だ。

そしてその彼女を高校で教えている先生がこの古田先生だった。手には文旦(みかん)。思い出には教え子のコーヒー。これは僕がコーヒー淹れないとストーリーが繋がらないじゃないか!と先生に「コーヒー飲みます!?」と声をかけ、そこにあったスーパーの脇の空き地に自転車を置いてコーヒーを淹れはじめた。

あぁこれで自分のなかでひとつ物語が完結した!
よかった!新たなネタができた!プリンちゃんほんまありがとう!と思っていたら、まさかのもうひと展開が起こったのだ。

「よかったら夜ごはんご一緒しませんか!そうだな、うちの実家か、それかこの近くに先輩が住んでるのでそこ行きません?!」とすぐさま電話しはじめる古田先生。なんだこのおもろい展開は。ていうかこの先生のぶっ込み具合がすごい。どっちに行っても僕は完全アウェイでしかも自己紹介もしてない状態だから、フラフラしているにいちゃんをどうせ連れてくるんだろうと思われている可能性は少なく見積もっても200%ぐらいだろう。

結果!先輩はすぐには電話が繋がらなかったので、ご実家に電話をかける古田せんせい。(どうやら古田先生のお父さんはとっても真面目な方で、電話をかけて僕のことを説明しながら僕のほうを振る向いては、えっと歳はいくつです?日本まわってるんでしたっけ?コーヒーですよね?と何度も質問をしてくださる。きっとお父さんとの交渉は難航しまくっているに違いない。)

そうして、なんだか分からないまま自転車を高校の駐車場に置いて、クルマでご実家に連れて行かれることになった。(この時点でまだ僕は展開をよくわかっていない。なんなんだこれは。)

20分ほどドライブして到着した古田先生のご実家では「旅人だと!どうせ・・・・・(割愛)!!!」という雰囲気で待っておられた高校の現役先生で、しかもバリバリの生徒指導担当という体育教師のお父さんにビビりながらも誠意を持って話し続け、そこからまさかの意気投合!

おいしいカツオのたたきをいただきながら「これは西川さんにうちの学校に来てもらわないといけないな!」とガッチリ握手!そうしてご実家をあとにした。まま今度は連絡がついて先輩の先生と居酒屋さんで飲むことに!(この時点で夜の10時だ)

先輩と合流してのザ・高知という感じの女性も飲みっぷりがかっこいい料理の美味しい居酒屋さんでは、子どもの教育の話題で盛り上がりまくり、先輩の安井先生から「うちで泊まっていったらいいよ!コーヒー淹れてほしいし!」との発言が!後光が差しているように見えたら、先生の綺麗な白髪に照明が当たっていた。

そのまま先輩のおうちで、同じく学校の元教員である奥さまと3人で、午前2時まで語りまくってしまった。もう疲れとか、おもろいとか、眠たいとかいう言葉ではなんともいえない宙に浮かんでいるような気持ちで寝るまでの時間を過ごした。

人生とはなんともおもしろいものだ。
ほんの数分みんながすれ違っていたらこんなことにはならなかった。

その一瞬訪れる感覚を、けど確かにそこにある小さなサインのようなものを感じられる心でいられるか、そうしてやってきた展開に素直に飛び込めるだけの心の余白があるか。それを今日出会った皆さんが持っていた。そしてそこにアプローチしてくださったからこそこういうことが起きてしまう。

ひとりの女の子のささいな行動が、自分のこれからを作ってく。
昨日の場合はそれぞれが、人生の展開を生み出していくトリガー(引き金)のようなものを絶妙なタイミングで引くことで大きなものへと繋がっていったような感じがした。なんとも言えない、見込みも準備もできないものだけれど、けれど確かにその瞬間を見つけることさえできれば、自分に選択肢が生まれるものなのなのかなぁなんて静かな朝をむかえたときに感じた。

また高知が好きになってしまった。
この昼間から呑んだくれのおっちゃんたちがたくさんいて、けどそれを排除しようとせず容認できる良い意味のスキがたくさんの町と、そういう人や外の人を受け入れられる心に余白を持ってるこの町の人たちに感謝を込めて。

プリンちゃん、古田先生、安井先生ほんまにお世話になりました!



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