躊躇なくあげられるオトナたち。
*SPROUT
今回の旅は、どこかメッセンジャー(メッセージの配達人)のようだ。
ちょうどニセコに近づいていくタイミングで、友だちのゆうこちゃんから「私が行ったすんごく素敵なカフェがあるので行ってほしいです!」
とメッセージが届き、こういうのは時代の便利さだなFacebookページからそのお店に、こうこうこういうことしてます!うかがいます!とメッセージを出すと、丁寧なメッセージの最後に、楽しみにお待ちしておりますと返信が来た。
そうしてうかがったのはニセコのおとなり倶知安(クッチャン)駅前にあるSPROUTさん。お店の外からすでにええ雰囲気で、どっしりと焙煎機も見えていて素敵だ。こんちはー!とドアを開くとオーナーのヨシさんが出迎えてくださった。お店のお話を聞くところからと思ってたんだけれど、自転車見てみよう!という流れになったので、失礼ながら(よく考えたらほんまに失礼!笑)お店の目の前でコーヒーを淹れることになった。
ご近所さん、車でも自転車でも店の前でみんながヨシさんに手をふったり、ひとことふたこと話したりして過ぎていく。きっと地域の人に愛されるお店そして人柄なんやなぁと思っていたら、どんどんその人たちに「コーヒー淹れてもらえるよ!」とヨシさんが声掛けしてくださって、コーヒーを淹れさせてもらうことになった。あんれまー!
とにもかくにも、ヨシさんのコーヒーについてのお話もうかがえたし、どんどんリゾート化していくニセコ地域で、ここからまた顔が、気持ちがつながる場づくりをしていきたいという地域への思いも聴かせてもらえてとっても良い滞在となった。
SPROUTのホームページ
*ヨウイチさん
コーヒーを淹れたニセコクラシックでもSPROUTでもお会いしたニセコ在住写真家でスキーヤーの渡部洋一さん。ほんとによくしゃべる、けどとってもおもしろくて、愛のあふれるヨウイチさんから電話がかかってきた。
「あのさー、もしうち来るなら泊まってもらってもいいよ。」
ふたつ返事でヨウイチさんを訪ねた。ちょうど雨のタイミング、SPROUTを訪問したあとだったのですっかり暗くなってしまった。
「なにぃ心配したのよ。道ちゃんと分かったかって。せっかくだから一緒に温泉でも行きたいと思ってたんだけどさ、今日行けないから明日もよかったら泊まっていったらいいよ。そしたら温泉も行けるじゃん。」
流れに身を任せるとはこのこと。なにの迷いもなく2泊することにした。
彼のこれまでの仕事、考え方、それはクオリティもそうだけれども、彼自身のコミュニケーションのチカラ。それも何かシタタカな感じではなく、基本的には愛情と好奇心なのだ。それがずば抜けてはる。そして愛想で意見を変えることがないし大胆。
それがあって、彼のことをもしかしたら煙たがる人もいるのかもしれないけれど、僕は洋一さんのその生き方のスタンスがとても好きだ。自分をしっかり生きてきはった人というのは、自分の知恵や経験を誰かに渡すことに躊躇がないし、若者であっても自分が持っていないものがあればこだわりなくいいね!と言ってくれる。
渡部洋一さんがつくられる雑誌STUBEN
*あげられる人
この旅を通して、すでに何度も「あげられる人」に出会ってきた。それはモノだけに限らず、その人の考えやアイデアについてもだ。SPROUTのヨシさんにしても、STUBENの洋一さんにしてもそう。
あげられる人というのは、良い意味でこだわりがない。自分が時間と労力ともしかしたらたくさんのお金をかけて、とってきたモノ(考え、アイデア)であっても、なんかピンときたらすぐにあげちゃうことができる。
あげられるから、次にまた取り組める。
あげられるから、新しいものがかえってきたり、ときにはお返しというかたちでかえってくるかもしれない。
ぼくも、躊躇なくあげられる人だったらなんていいのだろうと思いながらも、自分の階段をひとつひとつ確かめるようにのぼっていくのだ。そして時にはスコンと落ちたり、転げ落ちたりもする。
自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!