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仮面ライダーギーツ第44話『創世Ⅵ:ネオン、かがやく』感想


◆アバンの雑記パート

・コミケ営業のため自家通販を7月末付近に閉じます

再開はコミケ終わってから!

というわけでお知らせです。

コミックマーケット102の宅配搬入のため7月末に自家通販の窓口を閉じます。
再開は夏コミ明けなのでイベントに来られない方は今のうちに通販をご利用ください!

DLコンテンツもあるよ!どうぞどうぞ!!


◆仮面ライダーギーツ第44話『創世Ⅵ:ネオン、かがやく』感想

脚本:高橋悠也 / 監督:杉原輝昭

・言えたじゃねぇか……ッ!

初めて愛に向き合った男

という言葉が最初に漏れ出た。
毒親から逃げてもいいよという事が叫ばれるこの世の中ではあるが、水星の魔女といい仮面ライダーギーツといい『毒親と呼ばれる存在と魂で対話する事』がメッセージとして提示されるようになったのは新たな価値観が定着しようともすれ違いを超え真摯に向き合う事の大切さを示したい故だからだろうか。
鞍馬祢音はデザイアグランプリでの戦いを経て大きく成長した。鞍馬の家に妥協した幸福より外の世界を目指し、外の世界の人々に触れ、自身の出自に葛藤し、思い悩み、知らずのうちに『本当の愛は自らが愛する事によって成り立つ』という結論に達していた。

……だけれどもそんな彼女を愛する存在は一体何なのだろう。
……愛する想いを手にした彼女を愛する人間は一体誰なのだろう。

そしてそんな彼女の愛に初めて向き合い、真剣に手を伸ばしたのは全ての元凶だった光聖だった。鞍馬財閥の発展のためと言いながらも彼に愛が存在しなかったはずはなく、ここにきて彼は初めて自分の愛に向き合い『その対象』に手を伸ばしたのである。
戦闘歴のないギャーゴがプレミアムベロバとブラーリ対抗しようとしても無理筋ではあったが最後の最後でかつてあかりを誘拐して殺害し、祢音にも同じ事を繰り返そうとしていたたブラーリに一矢報いたのは父の意地である。
この親子愛のドラマにベロバは激萎えで立ち去り、祢音を守り抜いたギャーゴは限界を迎えてしまった。
変身解除された光聖が最後に見たのはあかりの幻影だった。あかりへの贖罪を果たした光聖は祢音を強く抱きしめた。11年間向き合って来なかった自らの愛を取り戻すように一人の父親としてである。そして愛を与えてくれない鞍馬の家に期待するのをやめ外へ行く事を望んでいた祢音は初めて欲しかった愛を与えられた現実に号泣。だが光聖は力尽きその場に倒れ込んでしまう。
ギーツと対決していたケケラも逃亡し、祢音は光聖のために病院に、そして英寿は状況整理のためにデザイア神殿に戻る事に。デザイア神殿に戻った英寿は道長からナッジスパロウから知恵の樹に関するヒントを貰おうとしたと言う話を聞く。口を割る事も無かったが確実なのはこんな状況にならなければ沙羅をはじめとする人々が助かる道筋があったということである。
英寿の出した結論は『ならばこの世界を救って世界を元に戻す』という事だった。

信者を失った神は無価値な存在となる。
ジットの目的はギーツを孤立させ創世の力を弱める事であった。カロリーでどうにか補填している様子だったがやはりギーツの創世の力に願う力…ギラギラは関連しているようだった。無価値な存在となればツムリをちゃんと計画通り創世の女神にする事が可能である。
身体は自らの意思で動かせない状態であるものの意識が残っていたツムリはジットの目的に反抗。彼女を引き留めていたのは英寿の存在だったのだ。

・意固地になり続ける景和は

言葉が強いがゆえに相手を逆なでしてしまう

一方アジトにてベロバがブラーリをけしかけ祢音を誘拐していた事実を知った景和は自分が意図していない事態に衝撃を受け、ケケラの指図は受けないと言いながらも道長が門を叩いてきたためそちらの対応に向かう事に。
元々不良の出自からか道長はならずものたちとの素手での戦いは得意である。暴走し、巻き込まれゆく景和に対峙を迫るのは自らの責任の取り方ゆえか自分のように自らの手を汚して願いを叶えるやり方をしてほしくが無いゆえか。だがまぁこういう時に相手を想うあまり強い言葉しか言えないどころか『余計な事をして拗らせて』とか余計な事を言ってしまうのは交渉事に向かない道長の不器用さゆえか。素直に前の世界に戻せば知恵の樹が復活して沙羅を元に戻すチャンスがあるのだと言えばよかったのに。
そんなこんなで余計な言葉で『聞くに足りない』と判断してしまった景和は『俺の家族は俺が救う』と変身。道長もバッファに変身して対決することに。
ブジンタイクーンの方が戦力として格上ならばリボルブオンの機能を使い翻弄するというバッファの戦い方は今までより知性的な戦いだったのだが、一進一退の激闘の末にバッファは敗北。
変身解除された道長は『また誰かを不幸にする気か』と景和に問いかける。景和からしたらコイツにだけは言われたくないという想いだが、無関係なのに危機に巻き込まれた祢音の話を出されからからには揺れ動いてしまう。世界の復讐のため、ケケラに丸めこまれたとはいえ景和の根幹はお人よしの善人である。どんなに説得されても絶望の状況で他者の幸福を願うなど景和にとっては無理筋で『家族の幸せを願ってなにが悪い』と吐き捨て去ろうとした。消えようとするその背中に道長が『俺はギーツを信じる』と叫ぶも景和は一瞬だけ揺れるのみであった。

「ギーツを倒せば本当に女神は完成するのか?」

と振り払うようにジットに問い詰める景和は全ての足枷を捨てるように家族の復活を願う事を伝えそれ以外を捨てると宣言。お人よし、世界平和、その根幹に密接に関わっていた物を捨てられたしそのために色々やってきたのだ。手錠をかけられたツムリは景和に『その願いで本当に幸せになれるのか』と問いかけるのだが景和はもはや自暴自棄である。
幸せになれると決まっていると意固地になる景和の目は悲しげで、ツムリはその目に涙した。どうしてそんな悲しい目をしているのか、世界平和を望んでいた貴方はどこにいったのか、そんな問いに『俺自身の世界が平和じゃなきゃ意味がない』と言い景和は立ち去ってしまう。

根幹の漠然とした世界平和への願いは自分を守るために戦い続けた姉の影響、そして犠牲になった人を蘇らせたいと願ったのは戦いの中で願いの為に戦う人たちからの影響。根幹を破壊され、傷ついた景和は揺れるままである。

・鞍馬家の絆は再び紡がれる

もう一度やりなおせる

光聖の搬送された病院に駆け付けた伊瑠美は病院で祢音を見るなり強く抱きしめた。暴漢にやられた父と同様に彼女にとって祢音という娘は大切な存在なのである。
本来の家族であるはずの光聖よりも先に抱きしめにきた母の顔に驚く祢音の表情は本来自分に向けられるはずの無い愛に驚いている顔である。
病室にて鞍馬家の三人で対話する中、伊瑠美は娘を守った父に対する感謝を口にする。鞍馬財閥は崩壊した、だけれども光聖と伊瑠美の心は財産よりも大切な存在で満たされていたのだ。愛を失ったら幸せになれない。だけれども愛は取り戻せると11年前で立ち止まったまま歪んでしまった家族はここから歩みだすのだ。
そして光聖は祢音に『お前が幸せになってくれることを心から祈っている』とIDコアを託したのだが、これこそが娘を自立した一人の女性だと認めた証明なのである。本人に向き合うことなく未来人に託そうとしたりしていた光聖ではあるが、目を合わせて心から幸福を願う想いは元から彼の中にあったのだと思う。

「ありがとう、だけど幸せだよ十分。」

祢音の求めていた本当の愛は家族からの愛情だったのだ。だがそんな中、ベロバが病院へ襲来した。物語の山場を越えて唐突に現れる悪役は蹴散らされる小物というのは定石である。
心配する鞍馬夫妻に祢音は『この世界を守る責任がある、私は鞍馬家の人間だから』と言う。創世編で『女神から産まれてきた責任』と言っていた彼女が『鞍馬家の人間としての責任』を背負って立ち上がる。愛を貰った彼女はもう孤独の存在ではないのだ。
ここからは因縁のナーゴVSベロバの戦い、病院の入り口に向かいながら雑にレイザーレイズライザーをぶっぱなすベロバの小悪党ぶりよ。
愛を手に入れ、立ち上がった彼女はもう不幸ではない。他人のIDコアで変身できると思ったのかとあざ笑うベロバに『叶うよ、願い続ける限り』と祢音は光聖のIDコアをセットし、ファンタジーフォームに変身。ここまで長い長い家族喧嘩だった。
祢音の変身フォームは光聖をリスペクトしたものであり、鞍馬の人間である意識を愛を与えてもらえたが故だろう。祢音はただ心からの家族になりたかっただけなのだ。

仮面ライダーナーゴファンタジーフォームは幻惑を使いこなす戦闘フォームである。
本来ならばこの世界に存在しないはずの祢音に与えられたこの能力は彼女が自分の出自に確固たる基盤を持てたが故に発現したものだろう。たとえデザインされた人間でも構わない、だってそれでも家族の一員なのだから。
そしてナーゴは圧倒的な力でベロバを翻弄し撃破した。
だがベロバはそのまま退場する事はなくしぶとく生きておりそのまま落ち延びる事に。いやー小物ムーヴだった。

「ちょっとくらい若いからっていい気になるんじゃないわよ……!」

落ち延びたベロバは路地裏でボロボロの状態で、そんな彼女の前に現れたのは道長だった。
『どうだ、自分の不幸の味は』という道長の言葉をベロバは理解できない。
だれよりもお前が不幸にみえているのは俺だけか?と言う道長の指摘をベロバは拒絶し鏡に映ったデザインが崩壊しかけた自分めがけてコンクリートブロックを投げつけた。彼女のプライドはデザインされた虚勢の上に成り立っており、自らが引きずり降ろされる事に耐性はない。プライド高い人ほど現実に向き合いたがらないのがこの作品の傾向である。

戦いが終わり、英寿の新デザイアグランプリに光聖に代わって祢音がエントリーする事になった。祢音が変身できたのは実は英寿の力であったのだが、その力を発動させたのは祢音とその家族の願いの力である。プ〇キュアか、プリキ〇アなのか創世神ッ……!
次回はタイクーンとの決着編という事ではあるが、劇場版のクロスギーツも現れるとの事なので夏映画とどう絡んでくるのか気になる限りだ。


◆ギーツ44話コラム

・祢音の壮大な家出とただいま

今回の仮面ライダーギーツだが鞍馬家の物語の結末として非常によかった。
根底に抱えた11年前の拗れから目を反らし続けてきた光聖が初めて目の前のもう一人の娘への愛に向き合い、そして鞍馬夫妻も自立した一人の女性として受け入れ成長を信じる気持ちを得た流れ。
そして祢音も漠然とした違和をもっていた家から愛を受け家族である自覚を得る事ができ、鞍馬家は本当の家族として向き合う事ができたのだ。

毒親的な束縛問題はあったのだけれども、光聖からIDコアを託された流れで一人前の自立した女性として扱われるようになったので以前のような束縛はなくなるのではないかなぁと思われる。
あとは祢音がどうするかの話ではあるが、個人的には彼女は鞍馬財閥再興のために力を尽くすのではないのかなぁと予想しているのだ。

最初から幸せは元の場所にあった。鞍馬祢音は壮大な家出を経て家族と向き合い自らの意思で『ただいま』と門を叩きそうな気がしているのである。


◆巻末宣伝コーナー

・語ろう中田ヒーローズ2は8月12日開催コミックマーケット102にて頒布予定

アイコン変更しました……というわけで巻末宣伝。

8月12日開催のコミックマーケット102にて特撮アクション評論アンソロジー『語ろう中田ヒーローズ2を頒布させていただきます。

スペースは【東地区ポ16b】となっております。
中田裕士さんを掲げた夏コミもこれで2回目!当日は中田裕士最強の精神で頑張っていきたいなと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

今回スタッフさんもいるため不在時間もなく頒布できるかと思います。
是非ともお気軽に遊びに来てください。


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