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東京リベンジャーズの恐ろしさを知った日

友人と電話をしていたある日のこと、私達は最近の推しについて熱く語っていた。
そこで友人が「東京リベンジャーズって見てた?」と聞いてきたので、名前だけは知ってるよと答えた。
友人はどうやらその東京リベンジャーズに出てくる松野千冬くんというキャラクターが大好きだそうで、私に千冬くんの魅力をこれでもかと語ってくれた。

登場しているグッズや様々なイラストを見せて「これが千冬くん!」と語る彼女はすごく楽しそうであった。
しかし彼女は千冬くんだけを紹介するのではなく、千冬くんの先輩にあたる場地さんというキャラクターも私に紹介してくれた。
曰く、千冬くんと場地さんの関係がすこぶる良いとのことだった。
私はどちらかと言うと年上の面倒見のいいキャラクターを好きになりがちなので、場地さんを見た途端「あ、これは好きかもしれない」と沼の予感を察知した。
オタクあるあるかもしれないが、沼の予感を察知すると1回距離を置こうとしてしまう。
東京リベンジャーズが人気だったのは街中でコラボ商品の多さを見れば一目瞭然であった。

しかし友人の熱弁に興味を持ち始め、「もしかしたらハマらないかもしれない。大丈夫かもしれない。」と台風の日に畑を見に行くおじいちゃんのような気持ちで「1話だけ…」とアニメを再生した。

これがもうダメだった。

私は気づけば夢中でアニメを見続けていた。
たけみっち達の友情や、次第に認められて強くなっていくたけみっちの成長に涙し、そんな彼を常に支え続けるひなも健気で愛らしかった。
ストーリー面白いなぁと見続けていたが、まだ推しは決まっていない。

しかしここで事件が起きた。

それはアニメ第5話を見ていたとき。
パーちんというキャラクターの友達が愛美愛主(メビウス)という別のチームに酷い目にあわされてしまった。
友達の彼女も悲惨な目に遭ってしまい、彼女の両親は無関係のマイキーとドラケンに激怒する。
マイキーは自分は悪くないと納得いかない様子だったが、ここでドラケンは頭を下げ、マイキーにも頭を下げさせた。
その際に「下げる頭持ってなくてもいい。人を想う”心”は持て。」と言ったドラケンに私は見事に落ちた。
画面の前で胸を抑えて「ハァッ!!!!!ちょっっっっっすっっっっき!!!!!!!」と動画を停止して叫んだ。
男前すぎるだろ。人として良い奴すぎるだろドラケン。お前本当に中学生なんか???と錯乱した。

ドラケンに落ちつつ楽しくアニメを見ていると、ついに友人の推しである千冬くんが登場した。
千冬くんと場地さんの関係や、場地さんの仲間思いなところに惹かれ、私は転がるように場地さんも好きになってしまった。
史上最速で2推しになったのは東京リベンジャーズが初めてである。
しかし場地さんは悲しい結末を迎えてしまったので、私はべしゃべしゃに泣きながら翌日にペヤングを買いに行った。

現時点でアニメは漫画でいう14巻の所まで放送済だったので、続きが気になった私はネカフェに行って15巻から最終巻の31巻まで読んだ。

しかし東京リベンジャーズは恐ろしい。

読めば読むほど推しが増える。
登場したときは「なんだコイツ!!」とあまり好きではなかったキャラクターが好きになってしまう。
嫌いなキャラクターを嫌いなままにさせてくれない。
ずっと悪いやつでいてくれたらよかったのに最後の最後で「そんな1面あったの…!?」とこちらを容赦なく沼に引きずり込んでくる。

気づけば私は東京リベンジャーズのグッズに囲まれていた。
ランダムカードを狂ったように購入し、ガチャを見つければ飛びついて回した。
キーホルダーや缶バッジを常に携帯し、一緒に写真を撮るようになった。

こんなにハマるなんて思っていなかった。
深い深い沼で私は今も泳ぎ続けている。

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