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ルカへ

ときめきメモリアル girl's side3をやりました。
クリアしたのはルカとコウイチの三人親友グループエンド、ルカの一途ルートです。
備忘録とルカへの気持ちを整理するために書いていきます。
便宜上、適宜「私」という自我と物語上の「バンビ」という呼び分けをします。
※ネタバレがすごいのでクリアした人向け


ルカへ

君のことはよく知っていました。
いかにも不良風に、キレーな金色に染められた長髪。へらへらと適当で、今だけを楽めばいいと言わんばかりの向こう見ずで、よく言えば楽観的、悪く言えば軽薄。人の懐に入り込むのが上手く、気まぐれに餌をやって懐かせてしまった犬のような、男のかわいらしさというものをすべて詰め込んだような男だということ。
第一印象は可愛い男。第二印象はごくせんでメイングループに必ずいるタイプ。
そしてオタクの直感が、「こいつは一人にしたら何処かへいなくなる」と告げていました。
絶対死ぬじゃんって。笑顔の裏に孤独を隠してるじゃんって。わかるんだよね、オレ、そういうの。

その直感を確信と呼べるものにまで高めるのが、ルカの兄コーイチの存在でした。
ぶっきらぼうだけど情に厚い兄貴肌。そんな彼の軽薄な弟。
絶対に無事じゃすまないね。
私が不良だったら、ガタイのいいコーイチに真っ向から挑んでも無駄だからルカを人質に取るもん。
(実際はルカもめーっちゃ喧嘩が強いのでそんなエピソードはもちろんないのだが)

実は前情報として、この二人は本当の兄弟ではないと知っていました。ルカに両親がいないことも。親戚の桜井家(コーイチの家)にお世話になっているということも。
でも、理由も経緯も知らなかった。
だってルカは教えてくれないし、メタ的に言うと重大なネタバレだからそんなことはどこの攻略サイトにも書いてないし。
しかし、彼ら二人が、自身を兄弟だというなら私にそれを詮索する権利はないので、二人のことは、年頃を迎えても悪事を一緒に働く程度には仲がいい悪友なのだと認識していました。
バイクのニケツは当たり前で、家出に近いレベルで廃墟(ウェストビーチ)に泊まり込んでいるし、生徒を相手に賭け試合の裏操作をするし、こいつら~!って感じのワルガキ。
他校の生徒も一目を置く名門校であるはばたき学園に入学しているので、別に落ちこぼれってわけでもないだろうに。そのなかでわざわざ問題起こすんだから太い野郎だよな。
二人で過ごすのが楽しくて仕方ない。彼らはまさしくモラトリアムの魔物なのだと思い知らされます。
バンビも私も、彼ら二人がじゃれ合っている(というには物騒だけど)姿を見るのが大好きで、ただ楽しいだけの日々を過ごしていました。

しかし、忘れてはいけないのが、これは恋愛ゲームだという事実。
ルカがバンビを特別に思っていることは明白でした。
サクラソウのおまじないは、神を信じていた頃のルカが、幼いバンビに向けて祈った特別な約束なんですよね。両親が生きていた頃、祈れば、願えば、叶うと信じていた、聖歌隊に入るくらい敬虔な彼によるピュアな願いです。もう一度会いたいなんていう、些細な願い。

この心からの願いと、ルカの軽薄なモラトリアム根性の相性は最悪で、これが私たちにとんでもない悲劇をもたらすことになります。
本当に今思い出してもマジでつらい。ここからはその備忘録です。

両親を亡くした幼き日のルカは、どんなに願っても敵わないことがあるのだという非情な現実に打ちひしがれ、天使としての資格を失ってしまいます。
それからの彼は、ふわふわと風船が屋根に括り付けられて浮いているような状態でした。いつ鳥に割られるか、紐が千切れて飛ばされてしまうかわからない。そんな極めて危険な状態を、ルカは自分に相応しいと口にします。諦めと自嘲を込めて。
ルカは、わがままでガキなくせに、大好きなホットケーキを大量に焼いて一人で食べつくしちゃう自分勝手さもあるくせに、本当に欲しいものに手を伸ばせない性分の男でした。自罰的は少し言い過ぎかもしれませんが、両親の死という転落に怯えきり希望を抱けない彼は、幸せを掴む力が異常に弱い。
災害、事故、事件などに巻き込まれて助かった人が、助からなかった人に対し罪悪感を覚える、いわゆるサバイバーズギルトに苛まれていたのだと思います。
この話は本当につらかった。
デートが終わった後、寂寥感漂う海辺でぽつぽつとルカの気持ちは話してもらえたけど、本当のところはクリスマスの夜に過去を語ってもらえるまで知ることができなかったのもまた、傷の深さを物語っているようでした。

そんな中、子供のまま時が止まってしまったゆえに歪に育ったルカを、どうにか倒れないように、隣で、陰で支えてくれていたのがコーイチでした。
コーイチは、ルカが子供でいてもいい環境を創り、それを維持してくれていました。意識的にやっていたかと言えば答えはNOです。大人っぽく頼りになるように見えても、コーイチもガキなので。それができたのは、長年ルカの傍にいた経験からだと思います。そして、それは他人だからこそできたことなのでは?と私は考えています。
コーイチは、親を亡くしていません。その痛みを知りません。
同じ境遇じゃないからこそ、つかず離れずの悪友だったからこそ、心からの本音を語り合うような関係でなかったからこそ。ひいては、本物の兄ではないからこそ、コーイチはルカに優しくできた。真に兄弟でないという境界線があったからこそ、その外側からルカの置かれている状況を俯瞰してみることができた。
故に、コーイチは兄足りえたのだと思います。彼らは、他人だったからこそ、本物の兄弟以上に兄弟だったのでしょう。

さて、物語が地獄になるのはここから。
土台はありました。いつ崩れてもおかしくない居城でした。でも、人生の難易度をベリーハードにした決定的な原因は、私が畜生であったためです。

三角関係ルートに入るのが最初から目的でした。
gs4からときメモに入ったので、友情グループの楽しさを知っていたんだね。
なので、平等にルカとコーイチとデートを重ねました。念願叶って二人が私をグループで遊ぼうと誘ってくれてうれしかったし、実際二人と遊ぶのはすげーおもしろかった。どこ行っても二人の過去の話を聞けて、その仲の良さを感じ、バンビがニコニコするという幸せな時間でした。
コーイチがカラオケが嫌いだったり、スキーを嫌がったりするところに、年相応さを感じられてめちゃくちゃよかった。ルカがコーイチのこともバンビのことも大好きなんだと実感できる良いデートでした。

でもね、問題はそのあと。帰り道だよ。
ときメモ伝統芸能、大接近モードが二人と歩きながらあるなんて聞いてないぜ。

もうね~~~~~~地獄だった。
本当に何も楽しくなかった。
二人の男が私を取り合うなんて! みたいなピュアな気持ちまったくなかった。罪悪感でいっぱいだった。
どちらかと話が盛り上がると、そのもう片方が「ちょっといい?」と嫉妬をむき出しにして割り込んで大接近モード交代する。こんなのおかしいでしょ。三人で話そうよ。
しかもモードに入ってない相手は放置されているからだんだんと顔をしかめていく。ルカに至っては髪で隠れて表情が読めない。
はあ はあ 動悸 息切れ
さらに、バンビがアンネリーでバイトをしていたおかげで、ルカとの親愛度の方がぐんぐんと伸びていった。その結果、大接近モードを独占しようとするルカのせいで、コーイチが「今日は帰る」と言っていなくなってしまったこともありました。
殺してくれ…………
泣きたいのはコーイチの方なのに私が泣いてた。忖度大接近さすな~~~~
好感度が高かったからというのが一番の要因ですが、これまでの前提を踏まえると、コーイチは大事な弟を傷つけたくない、でも自分も傷つきたくない。なけなしのプライドで二人を見ないように姿を消すという選択肢を取ったのでしょう。辛すぎる。どうして? 誰がこんなことを?

ミヨ大菩薩〜〜〜

俺やんね



そして最悪の事件が起きます。
PVP(プライドVSプライド)モードの発動です。
「PVP=プレイヤーVSプレイヤーモード」が市場で流布している意味ですが、ときメモではプレイヤーが完全に置いてきぼりな大喧嘩モードが勃発します。
物陰で二人の喧嘩をなすすべもなく見守るバンビ。口論はどんどんヒートアップし、ルカの言葉によってついに二人は決裂してしまいます。

「可哀そうな弟から、奪うわけにはいかないか?」
「いつまで保護者ぶってんだ?迷惑なんだよ」

…………。

………………………………。

俺は……………………罪を…………。

私が始めた物語はこんなにも修羅の道だったでしょうか。
いつまでも三人で遊ぼうなんて無邪気さがそんなに彼らを傷つけたのでしょうか。

そうです。わかっていました。
ルカがコーイチとバンビのことが大好きなこと。
ルカは、コーイチが自分を守ってくれていたと知っていたこと。
コーイチも本当にルカを大事にしていること。
それでもコーイチがバンビのことを好きになってしまったこと。
全部知っていました。私も、ルカもです。だからこそ言わなくてはならない言葉でした。「同情」というのは、私があえて書いてこなかった言葉です。

兄弟ごっこはすべて茶番だった。
だって俺たちは最初から他人だった。
だから同情なんて不要なんだと。
そう突きつけることで、彼らのモラトリアムが終わります。

これまでルカを守ってきたコーイチがこの言葉に怒るのは必然です。
今日日ルカが生きているのは、コーイチのおかげと言っても過言ではありません。
もちろん、バンビとの約束もルカにとっては生きる縁であったと思いますが、その最後のクモの糸に頼らずとも生きてこれたのはコーイチのおかげです。
それを「お前は関係ないからこそ俺に同情で優しくできたんだろ」と言い放つのは、あまりにもな仕打ちではないでしょうか。
しかし、ルカの言葉は残酷ですが、それは事実だからこそ深く私やコーイチの胸に突き刺さったのです。
ルカは、自分を庇護すべき、可哀想な弟じゃなくて、一人の男として真剣に俺と向き合えという宣言したのです。それはコーイチを大事だと思っているからに他なりません。コーイチはそこまでハッパをかけないと、無意識に自分を抑えようとしたでしょうから。
この喧嘩は、売り言葉に買い言葉だったと思います。恋愛のために友情を壊す嫌なエピソードだったと思います。でも二人にとってはこれこそが、雛が傷つかないように拵えられた巣を旅立つための儀式なんですよね。
男同士のモラトリアムをぶち壊す起爆剤はいつだって女の存在なんで。本当に本当に残酷です。

泣きながらウェストビーチを飛び出したあとに、ミヨ大菩薩から苦言も呈されて満身創痍な私ですが、この時安堵もしていました。
この問題を解決することはルカに良い影響を与えると思ったからです。
ルカはきっと欲しいものを欲しがれる人になるのだろうと。大切な兄弟を押しのけてまで欲しいと言うことができたのだから。幸せを求めることに遠慮などなくなったのだろうと。
何処かへ消えたり、死んだりしなくなるだろうなと。確信に近いものを感じました。
私個人の意見にすぎませんが、何かに失敗した時や行き詰った時に、自死を含む逃避行動をとってしまうのは、依存先の分散ができていないからだと考えています。視野が狭まった状態である故、自身を俯瞰的に見れず、自棄を起こしてしまうのだと思います。
そうした中、ルカはバンビとかかわり、バイトを始め、高校で友達ができたことで、クローズドだったコーイチとルカの世界が開けた。そして、その他に依存ができるようになった、でもコーイチとの関係も終わっていない。いつでも帰ることができる巣と、止まり木があることで、ルカは欲しいもののところに飛んでけるのだろうと思いました。



なのでね! 私がやるべきことは二人の仲直り!
ゼツテーに負けないぜ! 仲直りのために必死で奔走しました。
なーんか今日のデートがしっくり来ないのはコーイチがいないからだぜ! 
無性にルカのこと気になるよな、コーイチ! な! な!!!


それがいいよ
そうしようよ


あと余談ですが、PVP中はダブルデートができないので、浴衣の男二人、背景には花火、何も起こらないはずがなく……のスチルは回収できませんでした。そして代わりにルカ単独スチルを見ました。
そこでルカが「コーイチは俺のヒーローだった」という話を聞かされ、じゃあ仲直りしかないやろがい!!!!!!と叫びました。泣きながらね。
コーイチがルカを庇護すべき弟だと感じていた時、ルカもコーイチを兄だと、ヒーローだと思っていたんですね。

コーイチは忘れてないよ、きっと。弟だもん


そしてルカはヒーローに憧れているという設定は、将来について真剣に考えていないガキらしさの演出とも考えられますが、その実、ヒーロー=コーイチに憧れていたのだという、面と向かっては言えない複雑な男心なんだなとここで初めてわかります。辛くて仕方ないルカを助けてくれたのはコーイチだと、本人がいないところでは言えるなんてね……相思相愛の兄弟なんだよ、君たちは。早く仲直りをしてくれ。

そしてその努力が報われる日が訪れます。
どこか気まずそうに視線を彷徨わせるコーイチ、妙にニヤニヤしてるルカ。そんな二人に下校に誘われます。
「おれたち喧嘩なんかしてたか?」「ああ……忘れた」なんて男の不器用な優しさに笑いながら、ただただ道を歩きます。
これまで通り、三人で帰ろう。三人で遊ぼう。


きしょいポエムも書く 感極まりすぎて

よっしゃー!行こう!三人でどこまでも!!

そこからは怒涛。文化祭クリスマスお正月!俺の仲間!出てこい!!!

「おいおいおい……桜井弟じゃねーか!」
「チャラチャラ女連れで下校か?イケメンはいいなぁ、コラ?」
(この人たち、評判の悪い、余多門(よたかど)高校の制服……)

GS3のセリフ引用

お呼びではないですわよ〜〜〜!!!!

私が予想していた「弱みを握れば最強の兄弟も手出しができないぜ!」展開は私が弱みになるという形になりました。ほよよ……

そして途中でルカは1月に事故にあうという最悪なネタバレを踏んだので、この辺りからはずっとルカが死んじゃうよ〜!!!!って泣いてました。
デートの後の意味深なセリフ、絶対に何かが起こる予感しかない。オチはどう足掻いても悲劇だから、各位ロミジュリを自分に例えないように頼むよ。
堂々たるフラグを立てて喧嘩に向かったルカ。そして深夜に着信があった時はマジでマジで嫌な予感がして手が震えました。コーイチがルカに加勢に行くという内容の電話を受け、そのまま夜が明けます。
眠れねえよバカ……コーイチの安眠妨害……
そして次の日。連絡がないことを不安に思いながらも学校に行くバンビ。Apple Watchが心拍数が高すぎることを警告する音を聞きながら教室に入ると、そこに二人の姿はありません。

はあ はあ はあ はあ

息も絶え絶えの私に、担任の大迫力先生が「連絡があった、病院に行ってこい!」と告げます。
マジで何?!?!報連相知らんのか?!社会人の常識ね、これ!

病院に駆け込み階段を上がり、扉を開ける――――


かわいい

生きてた……!!!!!!!!!
よかったね!!!!!!

ルカが大怪我でコーイチがかすり傷なのが愛おしい。
バカだバカだと散々言い合いながらキズを作る彼らは、本当の仲直りをしたんだと思いました。対等な関係になったんだなって。
少し向こう見ずで危なっかしい弟の首根っこを掴む面倒見のいい兄貴。その構図が、綺麗に当てはまっています。本来の形に戻ったんだな、彼ららしい姿なんだなと感慨深い思いです。


大好きな画像です


そして祈りながら卒業式へ。無事二人が迎えにきてくれて熱いガッツポーズを決めました。
三人一緒の約束、ずっと一緒の約束。
ルカが掴みたかった未来です。諦めていた願いです。それが叶うなら、友達でいいじゃんね。

一生一緒にいてくれや 見てくれも才能も全部ふくめて



そしてエンディング

いや儀式終えたんじゃないんかい。

三人エンドってこうなるんですね。
またモラトリアムに戻っていく彼らに、正直ため息が出ました。
でも男ってこうだよな~~~の本質をついていて、納得もしました。
gs4を先にやっている身としては、それでも男を見せて告白してほしかったなと思ってしまいました。明らかにルカとうまくいってる雰囲気があったので。
尊敬し合える仲間と共に成長してくれや。



不完全燃焼だな~という気持ちと、でも屋上で見た晴れやかなルカの笑顔が忘れられない。
ルカに本物の幸せを見せてやりたい。
サクラソウのおまじないの力、見せてやりたい――――

そして二週目、ルカ一途ルートに入ります!
だって俺、こんなの納得いきませんよ!

順調に走り出し、攻略を見つつルカのスチルを回収していきました。
ちゃんとスチル回収すると、ルカの寂しさってちゃんと随所に散らばってるんですね。お正月で急にしおらしくなった気がしたけどそんなことはなかった。
聡い子供だった彼は、本当の親ではない桜井親子にどこか遠慮の気持ちがあったのは想像に難くありません。バンビのおにぎりなんかをありがたがっていたのは、愛を受けていなかったからではなく、それまでは受け取っていいかわからないものだったからだと思います。自分が受け取っていいもの、手を伸ばしていいものがあることに、どこか諦めがちで冷めている彼の心を救っていたのではないでしょうか。


カニ食べいこう~

修学旅行めちゃよかった。
深夜に抜け出してカニ食べに行くのが青春じゃないならなんなんだ。不良ならではのエピソードすぎる

それにしても一途ルートっていいよな。
コーイチに無視されるくらいで、ストレスがないし。
などと暢気に構えていたらローズクイーンになれるパラメータにしてしまったため、文化祭の演目がコーイチとルカがけんかするアレになってしまい頭を抱えました。コーイチ、おれもお前のこと好きだよ。ルカの文化祭スチル回収ができない痛恨のミス。
噂によるとコーイチのことをマジで避けないとこの文化祭イベントになっちゃうみたいですね。一途ルートもつらいぜ。



そして運命の日。
ルカが事故に遭った。

前周回で盛大な前振りしちまったなと思ったけど、病院に行って本当に驚きました。い、意識が…………?!?!?!
私とコーイチが仲がよくないだけで、コーイチは兄弟のピンチに駆けつけることができない上に、まさかこんなに大怪我になるなんて…………と打ちひしがれている私に、コーイチが悲痛な表情で告げます。

「いまルカについててやるべきなのは、両親や俺じゃねえ、お前だ」





〜ときめきメモリアルgirl's side3 閉幕〜



ルカへ
本当に、コーイチと話し合わなくていいのか?
コーイチに感謝を伝えられたか?
喧嘩して殴り合って草原で仰向けに倒れながら、本音を語り合う作品じゃなかったのか?
私でいいのか?畜生だぞ私は

目を覚ました「僕」、ルカ少年がもう一度会いたいと思ったのはバンビだった。
帰る場所がないと泣いたルカは、バンビの隣を帰る場所だと思って意識を取り戻した。
これは素晴らしいことだと思います。
ルカはサクラソウにした原初のお願いを思い出し、未来を掴むために目を覚ました。それはつまり、子供時代の彼が、未来へ歩み出したということになるのです。
桜井琉夏ではなく、〇〇琉夏が、大人になったのです。
こんなことありますか?
ずっとずっとルカを守ってきて見守ってきてくれた桜井家の義両親でもなく、隣で居場所をつくってくれたコーイチでもなく? 
バンビの存在が大きくなってくれたことは嬉しいです。ルカ自身が自分で居場所を作り、バンビとルカの帰る家を作るというオチ、素晴らしいです。
ですが、私はコーイチの気持ちを考えたら頭がおかしくなりそうでした。正直、無力感に苛まれました。前周回で三人で作り上げた居場所、伝えられた本音、それらが無かったことになったような気がしました。儀式と何度も言いましたが、あれをやらなくてもルカは成長できるのか、と深く傷をつけなくても良かったんだなあということに泣いてるのかもしれません。
この「家に帰りたい」という発言から、ルカは自身のヒーローであるコーイチに憧れていると同時に、両親がいて帰る家もあるコーイチに嫉妬していて、本当は俺とお前は同じじゃないって思ってたんだなということがわかってしまいます。

言葉をすべて伝え合うことこそが理想の関係とは言いません。
だってコーイチもルカも、本音を言い合わない仲だからこそ、今日まで兄弟でいられたんですから。
本音を言わなくても心地よく、そばにいられる関係が他の何かに劣ることはありません。
しかし、だからと言って、これはあまりにも、悲しい。
子供は急に巣立っていくものだとは重々理解しています。いつか桜井家に「あの時はガキでごめん」と言いに帰れない男ではありません。ルカは人の機微に聡く、賢い男なので。
ですが、バンビと街を歩くルカのシルエットを見ていると、なんだか急に、自分が捨てられた犬のような気持ちになってしまいました。画面外にいる私とバンビの気持ちがまったくリンクせず、本当に板の前で座り呆けている大人が爆誕してしまいました。
三人の関係を正しく知った今、私がコーイチの気持ちに寄り添いすぎていたのかもしれません。
卒業式の日、バンビを好きなことをもう自覚してしまっているコーイチの表情は、私の涙で見えないって



以上が私の備忘録です。

きっとルカはこれから、自分の選びたい道を選び、ホットケーキ以外にも好きなものが増えて、依存先を増やすことで、社会的に自立した大人になっていくことでしょう。
モラトリアムを続けて地元に残り続ける幼馴染の三人なんかより、ずっと良い結末かもしれません。
ただ、学校へ三人で走ったあの日。
ルカがたとえ世界の裏側に行ったとしても、これが永遠になればいいと思ったであろう日々のことを、閉じた瞼の裏に浮かべて、いつまでも忘れないでくれ。



そして私は真実のコーイチルートへ。
デュエルスタンバイ

2024年2月14日にswitchで発売予定。忘れられない思い出を作ろう

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