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話し出したら長くなる、トイレのお話

トイレの日は、2つある

 8月10日は、日本衛生設備機器工業会(現在は、一般社団法人日本レストルーム工業会)が制定した「トイレの日」。統計資料やトイレ年表などなど、「トイレナビ」というとても参考になるウェブサイトを運営されています。

 11月10日は、「いいトイレ」の語呂合わせで、一般社団法人日本トイレ協会によって、1996年に制定されました。全国トイレシンポジウムの開催や、メンテナンス研究会、ノーマライゼーション研究会の活動など、こちらも興味深いウェブサイトです。

6リットルの壁が破られた2006年

 トイレの洗浄水量は、1996年頃までは13リットル、その後、1997年に10リットル、2000年には、8リットルと節水が進んでいました。ところが、世界標準となった「6リットルの壁」を破るまでには、少し時間がかかり、2006年−2007年に各社から6リットル以下の便器が出るようになり、2008年には、6リットル以下が主流となったそうです。「6リットルの壁」に関しては、2009年11月に、「トイレの水を減らせ!〜6リットルの壁に挑む 男たちの開発競争」というドキュメンタリードラマもあったようです。

 さて、洗浄水量6リットル以下のトイレを「節水トイレ」と呼ぶそうですが、節水トイレの累計出荷台数は、2020年7月に3,000万台を突破したとのこと。すごいなあ、と思ったのですが、工業会の試算によると、節水トイレの普及率は、36%に留まるのだとか。省エネ機能や節水機能がすぐれた製品が増えても、全ての家庭がすぐに交換するわけではないので、節電や節水が一気に進むわけではないのですね。

最初は、洗浄水量は、大しかなかった

 1993年にTOTOから大8リットル、小6リットルの製品が出て以降、大・小の切替のできる製品が増えてきたようです。ちなみに、一番上の写真は、アムステルダムで見かけたトイレの洗浄ボタン。壁に付いていて、大と小が、はっきりとわかります。

省エネ機能もいろいろ

 温水洗浄機能付きの電気便座には、洗浄水の温め方によって、貯湯式と瞬間式とがあります。貯湯式は、文字通り、温めた洗浄水を貯めておくので、瞬間式より電力がよけいに必要になります。瞬間式は、使用の度に、洗浄水を瞬間湯沸かし器で沸かすため、電力は少なくてすむのですが、瞬間的に大きな電力を必要とします。製品価格は、瞬間式の方が、高めになります。

 4人家族が1日にトイレを使用する時間は約50分というデータがあります。残りの約23時間は使っていない時間です。その間の便座や洗浄水を温めるための電力を減らす節電機能が付いた電気便座が増えています。私がすごいなあ、と思ったのは、「学習機能で、トイレをあまり使っていない時間帯を見つけて、自動で温度を下げて節電し、よく使う時間帯には、温かくなる」というもの。何となく、けなげだと思いませんか?

節電機能を使用すると、20−30%の節電に!

経済産業省資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ2021年版 P123
経済産業省資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ2021年版 P123 

 節電機能を使用しなかった黄色の棒グラフに比べて、機能を使用した場合のオレンジ色の棒グラフには、大きな節電効果があらわれています。節電機能は、フタの自動開閉で、ヒーターの放熱を抑えたり、温水と便座の温度コントロールや、タイマーによるモード切替などさまざまです。せっかくの機能に、何年も気づかないままという方もあるので、取扱説明書などで、一度、確認してみてください。

高齢社会の住宅トイレ

 トイレナビには、シニア世代のトイレリフォームや、トイレ器具選びのポイントなど、役に立つ情報がたくさん載っています。「転ばぬ先の杖 50〜60歳代のリフォームのポイント」という内容もありました。自分の親を通して、こちらが本当に便利で、使うと良いと思うものでも、年を取ると、新しいもの・慣れていないものには、対応できないのだと知りました。なので、元気な内に、準備しておく・慣れておくことは、とても大事だと思います。

安心して使うためのセルフチェック

 温水洗浄便座は、電気製品。故障したままの使用や長年の使用による経年劣化で、発煙・発火の危険もあるそうです。至れり尽くせりのトイレナビには、トイレのセルフチェックのページもありました。点検すべき7項目が示されていて、チェックを入れて行くと診断結果が出てくるという簡単なものです。年に1度、点検しておくと安心だな、と思いました。


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