ぬきたし2の音楽制作について語るえび

お疲れさまです。えびかれー伯爵デス。
ぬきらじ2面白かったですね。とても楽しかったけどドキドキしたり、終わりなんだーとか思うと寂しくなったりなんだりしてました。

ぬきたし無印に引き続き、こちらも制作所感とか感想とか思い出を書いていこうと思います。例によって毎回ですが、日記に近い内容です。
音楽的なtipsみたいなのも無いです。ぬきたし2の音楽作ってるヤツって
どんなヤツなんやろ~とかどんなこと考えてたんだろ~とか知りたい人向けのお話デス。またお話の関係上

ネタバレがあります。注意してお読みください








もっかい書くけどネタバレあるからね。文句は受け付けないからね。泣いちゃうからね。










■企画を聞いて
ぬきたし2を作ることになりました的なお話はぬきたし無印の発売後に聞いていて、何作るんだろ~とか思ってたら、倉骨さんから
「淳之介が光の速さでオナホをしごいて別世界に飛びます」
って説明を受けて
「よくわかんないけど天才かな」
って思いました。
実際に制作をはじめていくにあたって、資料やシナリオを見ていくとこれまたびっくり。ぬきたしはアッパーなギャグや台詞が目立ちますが
その作品の本質はとても大真面目。
だけどFDがもともとの流れだし、シリアスすぎる展開はないかなとか思ってたんですけど、かなりセンシティブな内容や時事を扱っていて
自分もしっかりと準備をして取り組まないといけないなと思いました。

実際に制作する数としては、BGMを数曲、OP、EDを制作するといった感じで数として多いわけではなかったのですが、労力的にはフルプラ作るのとほとんど変わらなかったと思います。
全部書くと長くなってしまうので、主題歌まわりについて思い出語りとかできたらなと思います。


■BWLAUTE BEIRRD
先程のラジオで読み方が発表されましたね。読み方は
「ブルーバード」と読みます。
この曲を作るにあたってのプレッシャーについては前のnoteの記事に書いてたりするんで、そちらをお読みくださいませ。
ざっくり言うとプレッシャーはとても大きかったデス。

最初にオーダーを受けた時は、ぬきたし無印のOP1とOP2の間の子みたいな曲がいいと聞いたのですが、作品の資料を見ていき、話あっていくうちに
戦いががっつりあるのなら、OP2よりの曲の方向性がいいと思うという話になって、今のような曲調になりました。
曲調が決まってからは、作品資料を見つつ作っていったのですが
特に決め手となったのは水引ちゃんの戦闘シーンの台詞です。
自分の性自認について悩み、行き場のなくなった感情を爆発させたような
叫び声を聞いて、前回よりもよりハード目に作ろう+これは水引ちゃんについての曲にしようと思いました。

曲のフレーズ的には個人的に2ということで、前作のフレーズを継承したものにしようという感じで決めてました。
一見安直な発想のようにも思えるのですが、これはぬきたし1、2と引き続き制作できる人間でないと他の曲のフレーズを拝借するという事がめんどくさい事になるかつ、実はぬきたし無印を作る時にOP1、2で同一の人間が制作をすれば同じフレーズで2曲作ったりもできるよっていう話(結果的にはぜんぜん違う曲になったんですけど)がここにきて回収できたというかんじでした。

楽曲自体はぬきたし”2”というナンバリング作品で、こういう感じで曲が始まったら自分は興奮する!!!!という要素の寄せ集めだったり、自分がこれは熱い!!って思うモノができるように頑張ってつくりました。
前作のOP2のコーラスを引っ張ってくる事を思いついた時は
いいことを思いついたーーーー!!って気分でとても運が良かったデス。

ある程度曲ができたら作詞を考えていったわけですが、作詞はめちゃめちゃ英語まみれになりました。意図的には英歌詞にすることで、ある程度直接的な内容を書いても解釈によっていろいろ考えられる余地を作れる+こんなバリバリ英語で攻められるのもこの作品くらいしか無いなと思ったので大暴れさせてもらいました。

内容的には水引ちゃんの想いやそれと相対する淳之介の想いをたくさん詰め込んで、あの戦闘シーンにさらに深みがでるように作ってみました。
フルサイズで聴く機会は作品終了後を想定していたので(ゲーム自体には収録されないので)フルサイズでは作品の流れをいっぱい汲んだ歌詞になってます。
その中でもラスサビの
「僕らは同じように生まれ、僕らは同じ世界を生きる」
というワードは本当にゲームだけでなくて、今、現実を生きる僕らにも言えることだなと思って作りました。
そして水引ちゃんがそうやって生きていけるように、”僕ら”は今ここに立っている。
そんなシナリオの流れを思い出したり、深みを増したり、感情を消化したりできる曲になっていればと思います。
歌詞については英歌詞の添削をしてもらった知代さんにもシナリオを読んでもらった上で、ここはこういう事を言いたいとかこういう流れを組みたいなど自分の要望をいっぱい叶えてもらいました。
また、凄まじく英歌詞が多く、スピードも早い曲だったのですが
夢乃さんにもとても頑張ってもらって、きっちり歌い上げてもらいました。
今回は夢乃さんが歌うことを念頭に置いた上でどこまでいけるかを冒険できたので、本当にすごいなと思いましたし、感謝の気持ちでいっぱいです。

いろいろ収録を終えたあとで、タイトルを例によって考えていたのですが
ハメドリくんの中に隠れている水引ちゃんなので、青い鳥要素は入れたい
とスタジオで色々考えていて、ブルーバード的な感じがいいなとは思ったんですが、OP映像が真っ赤になるだろうなと思ったので、(syamoさんに電話で確認取ったりもしました。)曲タイトルに青要素があるのはなんかすっきりしないなーとか思って
・青い鳥の要素は入れつつ、青を連想する単語にならない
という条件をクリアできつつ、いいタイトルにしたいと考えた結果です。

すでに解明されている通り、BWLAUTE BEIRRDから Waterを引く=水引
で残る単語がBlue Birdになる。という仕組みですが
これは
・ハメドリくんの中に隠れているという要素
・水引ちゃん自体の要素
・もうハメドリくんの中に隠れなくて良くなったという要素
これらを抑えつつ、水引ちゃんがハメドリくんの中から出てきて残ったものが「青い鳥」だったという感じのタイトルです。
あとは言わんでもわかるかな……

思いつけてよかったなと本当に思いますし、結果的には偶発的な要因だったとはいえ、いいタイトルにできたんじゃないかなと思ってます。
また、こういった題材で、真剣に取り組みたいと思えるモノが自分にめぐっってきて本当に嬉しく思いますし、運がいいなと思います。

水引ちゃん、幸せになれてよかったね……!!

■May day+^2
こちらはSS側のルートのED楽曲デス。
前作を知っている方、綺良 雪さんのブログを読んでいる方はご存知かとおもいますが、読み方は「めでたし、めでたし」と読みます。
楽曲的にはMay day+をさらにパワーアップさせた感じかつ
楽しい世界みたいな感じにできればいいなと思って作りました。
前作ではSS側についてはあまり言及されませんでしたが
今回はSS側のお話もあるので、その子達の事も考えながら、
NLNS側もSS側もちゃんと報われる、素敵な世界に(島)になるということでしあわせ(めでたし)が2つでめでたし、めでたし。
という感じです。
ダジャレかよって怒られないかな……

テーマ的には素敵な島になったねっていう部分はMay day+の要素は抑えつつ
SS側の要素として、恋をする、愛を知る。 みたいなところが新たに追加されてます。
SS側は基本的にセックスというものを行為として捉えている感じがあって
実際に恋愛をするってことは初めて、もしくは自覚がないみたいなところがあったので、その要素を歌詞で取り入れました。
そういった大切な事を教えてくれたのがあなた=淳之介
なんだよっていう感じでございます。

ねぇ、この先どれだけ時間が経っても
変わらないままで 愛し合っていたいの……

の部分はちょっとどストレートすぎるかなぁとか思ったんですけど
恋愛はなんかちょっとこっ恥ずかしいくらいが幸せだし
そういうもんだよねっていう気持ちでそのままいれました。

SS側も可愛かったですし、恋愛していく過程を見てくと本当に幸せになれてよかったねっていう気持ちでいっぱいになりました。
中には子供もいたりでそれぞれ素敵な生活をしているのを見ると
感慨深いです。
それらを見終わったあとに流れる曲として、やっぱりそういう気分に浸っていたい、幸せを噛み締めていたい
という空気感とそれらの気持ちを反芻する時間に流れるものとして
華やかで幸せで素敵だなって思える曲になっていればいいなと思います。
こちらも歌詞は知代先生に英歌詞部分は見てもらっているのですが
サビのフレーズを作る前に、シナリオも読んでもらっているので
どんなワードを持ってきたいかを聞いて、そのワードからメロを作ってます。
こちらも前作に引き続き、綺良 雪さんに歌って頂いてます。
曲の説明をする時に、ゲームでやってから知りたいとのことだったので
なるべくネタバレにならない範囲で、ちゃんとみんな幸せになるので
そういう気持ちが抑えられていれば大丈夫です。と、お伝えして
歌ってもらいました。エンジニアの神灼爺さんも同じパターンでしたが
やっぱりみんなゲームとして、ユーザーとしてプレイしたいと思えるほど
愛されているんだなと思いながらの収録でした。
本当に素敵なゲームだと思います。

音楽陣もSAXを生で収録したり、ピアノも演奏してもらったり、ベースも生で録ってもらったり、かなり生楽器配分が多くて
力を入れてできたと思います。
ハメドリくんは挿入とお魚は生に限るパコみたいな事言ってたと思うんですが、やっぱ生はいいですね。めっちゃ気持ちいいです。

あんまり関係ないかもだけど、礼ちゃんのところで前作のMay day+が使われていて、EDで改めてその系譜のMay day+^2流れるとグッとくるなぁとかおもってました。

■非実在系のわたし達

タイトルからわかるとは思いますが、無印のOP1の「非実在系女子達はどうすりゃいいですか?」を受けてEDとして作った曲です。
メロディ部分もほとんどを非実在系女子達のメロディを使ってます。

ぬきたし無印を作ったときにもnoteで触れていますが、ぬきたしというゲームに出てくるキャラクターという”存在”について書いた曲が非実在系女子達でした。
キャラクター達が生まれてくる過程で僕らに言いたいことがあるとしたら何かなという気持ちで前作のOP1を作ったわけですが、この作品の締めにあたって、キャラクター達は改めてどう思うのかなと思って作ったのが今回のEDです。

キャラクター達は僕ら制作者によって、その容姿や性格、人生を創られて生まれてくるわけですが、そのように生まれてきて、作品を歩んできてどうだったかなという気持ちをたくさん膨らませて作りました。

こんなところまで読んでくださる人は知っているかと思いますが、自分はいろいろな作品を担当しています。
その中でどうやっても、名作と呼ばれる作品とそうでない作品が出てきてしまいます。
できることならば、全て名作として生まれてきてほしいし、その中で生きているキャラクターには、作品のお話どうこうではなく、名作のキャラクターとしてその生き様を見てもらって、みんなに楽しんでもらえるような存在として生まれてほしいと常々思っています。
そうできないのは全て僕らの力不足で、その責任があると思っています。どれだけ謝り尽くしても足りないし、名作として生んであげられなくて申し訳ない限りです。

そして前作の制作所感でも書いたとおり、作品でキャラクター達と触れられる時間はどうしたって僕らが生きている時間よりも短くて、たくさんのゲームがある中で絶対に埋もれてしまうし、忘れてしまうと思います。
作った自分自身でさえ、いつか忘れてしまうと思います。

それでも、きっとキャラクターという存在は
僕らを楽しませるために、辛い現実や悲しい出来事と向き合ったり、忘れさせてくれるエンターテイメントとして
その存在すべてを使って、全力を尽くして僕らの心を動かしたくて
一生懸命生きていて、そのために生まれてくる。

そう思ってます。

ぬきたしのキャラクターとして生まれてくるからこそ、ユーザーにちゃんとそれが伝わって、その証として、この曲を作ることができました。

この曲を歌ってもらった綾瀬理恵さんにはこれらを伝えた上できっちり
ぬきたしのキャラクターという存在として、歌ってもらいました。
素晴らしかったですし、無印のOPと対になる曲として
完成できたと思います。

■おわりに
ぬきたしの音楽制作は本当に楽しい時間だったし、いい曲を、全力で一生懸命作ることができました。それは作曲する人間として、ゲームに関わる人間として本当に幸せな経験で、感謝しかありません
またこうしていい作品と出会うことができて、それを担当できて
本当に運がいいとしか言いようがありません。
世の中にはすごい作曲家さんが沢山いますが、その中から自分が選ばれたと考え、自分しかできない、今の自分だからこそできる事をこれからも精一杯やっていこうと思います。生まれてくる作品やキャラクターに恥じないような音楽を悩んだり苦しんだりもあるけれど、最後はやってよかったと思えるように、最終的にユーザーの人たちにいっぱい楽しんで貰えるように
頑張っていこうと思います。

もうでもほんとね。正直に言ってしまうとこれだけ色々なものに出会えて
いろいろなモノを作ってきて、ちゃんと世に残るものができて
自分はいつ死んだってかまわないってものがいっぱいできて
自分は本当に幸せです。まだ死ぬつもりはぜんぜんないですけど

ゆっくり釣りとかダーツとかしたいなと思いますが、まだまだ自分のやるべき事や待たせているものがあるので、がんばりマス。
ひとまず明日はコミケがあります。自分もサークルとして参加しますので
明日行かれる方はお気をつけて、特に熱中症。水分も取りつつ、ちゃんと塩分も取らないとほんとに危ないので、気をつけてね……!!
それではこのへんで……

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

■0816追記

沢山読んで頂いて本当にありがとうございます……めっちゃびっくりなくらい本当に読んで貰っていて恐縮です。
曲の感想もツイッター等からサーチかけていっぱい読ませてもらっています。最近はだんだんと個別に返事ができなくなってきたりしていたり、急激にフォローしてくれる方が増えてきたりで、うまくコントロールできてませんが、全部ちゃんとありがたく読ませてもらっています。
ありがとうございマス……

何回も曲を聴いてる方もいれば、ゲームと一緒に楽しんでくれている人もいたり、泣いてしまうからあんまり聴けないという方もいたり……
毎回思うのですが、それだけちゃんと作品から何かを感じたり、受け取ったりできるユーザーの方たちも本当に凄いなと思いますし、素敵だなと思います。時には自分では思いつかなかった視点からの解釈や考察もあったり
自分達以上に豊かに作品を感じたりしているのを見ると本当に凄いなと思います。

やっぱ素敵な作品だったと思うし、終わっちゃうのは寂しいですね。
ひとつだけ、書き忘れちゃったことがありまして、ほんとにそれだけなんですが、「非実在系のわたし達」の最後のら~ら~ってコーラスですが
あれは音楽のスタッフのかしこさんや池木さんや自分、神灼爺さんと
夢乃ゆきさん、綺良 雪さんにもお願いして歌って頂きました。
(もちろんボーカルを務めている綾瀬理恵さんも声のキャラクターを変えて歌ってもらってます。)
正直に言って、よ~~~く聴いてもこれだ!!ってわからないとは思うので
他の主題歌を務めてくださったお二人にも歌ってもらうというのは
完全に自己満足だったのですが、でもやっぱりそういう自分が楽しい!
こうだったらいいなとかを形にしていくのは大事かなと思ったので
お願いして歌っていただきました。
急なお願いだったのに、おふたりとも快く歌ってくださってありがとうございました。

ほんとそれだけの追記になっちゃうんですが、ちゃんとお伝えしたい部分だったので……

たくさん見ていただいて本当にありがとうございました……!!
ではではまた別の作品でお会いできたら幸いデス。

それでは。














チュパちゃんまじすこ。ジュルルボボ!!ジュビボ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?