権利を捨てようとしているあなたへ

はるか遠く海の彼方の出来事。
難民達はスマートフォンのGPSを頼りにゴムボートで海へと漕ぎ出します。
陸地に近づいたとしても、国境警備隊の巡視船に見つかってしまえば強制送還されてしまいます。
夜の海を彷徨って、ようやく陸地にたどり着くやいなや、すぐさま待遇の良い国へと歩き出すのです。中には3ヶ月間ずっと歩き続け、途中で家族を失う人もいます。或いは、他国の報道機関のインタビューに答えたあと「どうか子どもだけでも貴方の国へ亡命させてくれないか」と涙を流しながら懇願する夫婦もいます。
彼らが求めているのは何も特別なことではなく、今日、今現在、あなたがゴミ箱へと捨てようとしている「自由」と「権利」です。
投票券はただの紙切れではありません。
自分の全ての家財道具を売り払い、陸地にたどり着くかどうかも分からない危険な航海をする価値のある「権利」なのです。

私がいくらあなたの投票行動を願ったところで、一切の興味を示さず、見ざる言わざる聞かざるを体現するあなたにこのメッセージは届くはずがないことを私は知っています。
だからこそ私はあなたの幸せを願わずにはいられません。私はあなたと同様かそれ以上に小さな存在です。あなたが不幸のどん底に叩き落とされた時、私にはあなたを救う力がないからです。あなたが苦しむ様を見ているしか、或いはいつかのあなたのように見ざる言わざる聞かざるを決め込んで精神の安定をすることで精一杯かもしれません。
おそらくその時、私たちには何の権利もないのでしょう--

どうかあなたの権利を行使して下さい。
私はあなたの幸せを願います。

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