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心の栄養、推し語り

自分の推し活についての認識は以前書いた。

自分の推しに惜しみなく愛を注ぐ人たちは結構、魅力的だったりする。熱血スポーツ漫画で競技に打ち込む主人公がカッコいいのと同じ理論だ。

同上

こちらなどその典型。推し活をする母を推したくなる。


自身にとってここまでの推しは未だ現れていないが、細く長く活躍を見守り続けているのはハリウッド俳優、マット・デイモンである。
好きすぎて旅先でも映画を観に行った。

暑くてなにか新しいことに取り組むガッツが湧かない日なんかは、過去の推しを見て心の栄養を蓄えるに限る。

『オーシャンズ11』(2001年製作)
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツ、と豪華すぎる俳優陣のなか、マット・デイモンは脇役、とまで言わずとも少なくとも主役ではない。
ジョージ・クルーニーなど既に大人気俳優として不動の地位を築いている人たちと比較すれば、今後伸びるか埋もれるかまだまだ安定しない若手だったろう。作中でもちょっと頼りない『坊や』のような役柄を当てられている。
重ねていうが主役ではない。ただ、美味しい役ではある。
続編の『オーシャンズ12』で登場する彼の両親は凄腕の泥棒で、つまり偉大(?)な親の影にくすぶる2世なわけである。
「一旗揚げてやるぜ!」と思いながらも自分の力を信じきれずキョドっている若者っぷりが可愛い。かわいい。
作品は音楽も良いし、何よりストーリーがとても上手い。どんでん返しも秀逸で、リメイク元である『オーシャンと11人の仲間』(1960年製作)とは打って変わって痛快な結末なのがいい。

『オデッセイ』(2016年製作)
ただひたすらにマット・デイモンを応援する作品。
不毛の火星にたった一人取り残されるという極限状態にあってもめげず、ジョークを忘れない姿に好きが乗算される。
そもそも一人置いてけぼりをくらう不運に、食料支援ロケットが爆発したり、人糞を使用したジャガイモ畑が一瞬でパーになったりと次から次に精神的ダメージを食らった後、救助される前の骨と皮だけになった姿を目の当たりにして「ヒィン…」と泣きたくなる。
NASAに限らず皆が一人を救おうと、死力を尽くす熱意が良きハリウッド。
余談になるが、この映画を鑑賞した後に『インターステラー』(2014年製作)を観て「また取り残されてんのかい!」と思わず突っ込んでしまった。
こちらはこちらで面白い。

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年製作)
もはや説明不要の名刺代わり出世作。
26年前のマット・デイモンが初々しすぎて、過ぎ去った時間のデカさを痛感する。まぁそれはどの俳優に関しても同じことなのだが。もちろんオジサンになった彼も十二分に魅力的ダヨ!
初めて観たときも良い映画だなぁと思ったが、時を経て再視聴する度、主人公の周りの人達が眩しく映る。名優ロビン・ウィリアムスの大らかな眼差しはもちろん、主人公の才能を見出し後見人になるものの奥底にある劣等感に嘆く教授の葛藤や、美しさに優秀な頭脳にその上財産もあるガールフレンドの孤独ゆえの愛情など、それぞれのドラマが作品に厚みを与えている。
なかでも胸に迫るのは親友役、ベン・アフレック演じるチャッキーだ。
辛い少年時代を共に過ごした幼馴染は、決して主人公を傷つけないし、お互い一緒にいることが一番楽だが、それは彼のためにならないとちゃんと分かっている。不器用に背中を押す優しさが証明する絆の強さに、泣ける。
更に現実でも仲良しという事実がまたなんともエモい。(エモいってこういう時使うんですよね?)


数ある彼の出演作品のなか思いついたまま三作を取り上げたが、ただ単に推しが活躍しているからというわけではなく、映画自体が良い出来なので好き、という面もある。どんな名優もすべてが大ヒット、というわけにはいかない。マット・デイモンもまた然り。

「推し」の対象として良く挙げられるアイドルやキャラクターと比較して露出が少ないハリウッド俳優だから、いや探せば色々とあるかもしれないがそこまでする熱量はない飽き性で移り気な自分だから、長く推し続けることが出来る。本気で推しだしたら加減ができずに、生活が洒落にならないほどに崩壊しそうで怖いという心配もある。

思いついた時に、好きなものを好きなだけ、矯めつ眇めつ堪能し、自由気ままに語る幸せ。
多分現実世界、直接対面でここまで付き合ってくれる人は少ない。許されたとして、逆に知識量や見解で謎のマウントを取られることも御免被る。noteの都合が良い点だ。
やはり推しは、心の健康に良い。

なかなか終わらせられない推し語りだが、Youtube『母の推し活』より一言引用して今回は一旦締める。


「つまり…尊いの!!」


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