美しきものとGW2024
GW休みの友人に誘われ、久しぶりに中之島美術館へ行ってきた。
展示に合わせテレビで特集をやっていたとかで見に行きたくなったんだとか。
福田平八郎、という名前は知ってはいるけれど知識はない。果たしてどのような絵を描いていたのか。
GW後半初日の大阪・中之島。10時開館からさほど時間も経っていないのに遠目でもわかる長蛇の列にビビる。
が、それは同時期開催のモネ展に行かんとする人々の列であった。
福田平八郎の方は並ぶことなくすんなりと入れた。それなりに混んではいるが、窮屈なほどではない。
日本人の印象派大好き加減よ(笑
美術館に到着するまで、友人がテレビで仕入れた知識を披露してくれる。
大分県出身、没後50年の福田平八郎。
18歳の頃京都に絵画を学ぶべく出てくる。学生時代から写実的な作品で高い評価を得ていた。その頃の傑作『鯉』は残念ながら展示期間が終了しており見ることは出来なかったが、初期作品の印象は「頑張って描いているなぁ〜」という感じ。
素人が上から目線、失礼の限りではあるのだが、正直な印象である。
もちろん、どれも高い技巧と写実性の作品。どれだけ「頑張って」描いたか、門外漢にはわからない。
だが一貫性に欠けるというか、模索しているというか、やはり若人が誰かに評価されることを前提に描いた絵なのではなかろうか。
それが友人曰く低迷期を経てから、どんどん面白くなる。
写実性をそのまま素地にして、眼の前にある描きたいものを一旦自分の中に取り込んで消化して、それから表に出すように描く。
線はどんどん簡略化され、時に装飾的になり、深みを増していく。
一見してなんだこれは? と首を傾げるも、題名を聞けば誰もが頷く。見たことがある、と。
水面自体は今までも描かれてきただろうに、一面にそれだけが、そしてこんな風に描かれたことはなかったのではないだろうか。
その革新性に、発表当時は異端視されたというのもわかる。戦前に描かれたと俄には信じがたいモダンさ。
そこかしこに写生帖が展示されており、完成作品が装飾的になってきた時期であっても素描は驚くほど正確で写実的。
対象を深く理解していなければ、こんなに少ない線でその本質をとらえることは出来ないのだ。観察あってのシンプルな線なのだなと感心した。
たっぷり2時間超かけて鑑賞。
お土産に例のごとくポストカードを購入してしまった。ついつい……。
お昼には大阪発のインディアンカレー。
かなりスパイスの効いた辛口カレーなのだが、つけあわせの甘いキャベツと合わせてクセになる味。大阪にお越しの際は是非。
昼食を済ませてもまだまだ時間はあるので、歩いていける中之島のバラ園へ行ってみた。
バラには一季咲き、二季咲きといろいろ種類があるが、春はすべてのバラの開花時期とあって、まだ蕾の品種もあったが、ほとんどが盛りの良い景色。
詳しい友人に色々教えてもらいながら歩いた。
園は入場無料。タダでこの規模はかなり優秀なのではないだろうか。
3〜5日は中之島まつりとのことで出店も沢山。比例して人も多かったが、ごった返すほどではない。気温も歩き回るのにちょうど良かった。
中之島美術館〜バラ園は徒歩20分ほどの距離。
疲れるほどのものではないがちょうど良い時間かと水面を眺めつつコーヒータイム。
眼の前を流れる川を見ていると、やはりあの絵のとおりだなと思う。
平八郎は釣りをしている時にあの絵のヒントを得たというのだから、やはり絵画にも写実する観察力とともに閃きというものが重要なのだろう。
昨今のニュースなどを見てビビっていたが、GWも後半だからか、大阪だからか、くたびれるほどの人出でもなかった。
良き休日。
(トップ画像の言葉は福田平八郎のもの)
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