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物と生活とワタシ(相棒について②)

先週末、お客様が貴重な逸品を持ってワタシの店にいらっしゃいました。MCカートリッジの昇圧トランスです。早速BJ ELECTRIC・SUT-1とのガチ比較試聴大会が開催されました。(参加人員はお客様とワタシの2名ですが)

ご持参品は右側の物。PARTRIDGE TH-9708です。
左側は先週も紹介したBJ ELECTRICのSUT-1。どちらも使徒は同じです。

PARTRIDGE(パートリッジ)、イギリスの名門です。この個体は80年代の物でしょうね。TH-9708は状態が良いと、現在50万円ほどで取引されているようです。

ちょいと裏側を覗かせてもらいますよ。

前編で書きましたが、BJ ELECTRICのSUT-1は鳴り物入りの新製品。これからワタシが猛烈に売っていきたい製品です。同一環境でこのような名機と比較試聴ができたのは、とてもありがたく貴重な経験でした。SUT-1ったら、名機TH-9708に一歩も引けを取らずBJ ELECTRICらしい音色を奏でました。

PARTRIDGE TH-9708を使って、アナログレコードの音色を楽しんでいる図。

さて、今編はココからが本題です。

前述のトランスはモノの喩えでありまして、日々ワタシは『物を買うなら生活環境からハズレた物はダメ』と思っております。ワタシの所にお越しくださるお客様にもそう説いています。特に初見のオーディオ関連なお客様に対しては、家族構成とかお仕事とか、どんな部屋でどういう時間にリスニングを楽しむのかとか、もう根掘り葉掘りです。あ、もちろん『コレは訊いてはイカンな』と思うことは決して質問しませんが。

前述PARTRIDGEのオーナーは、まぁ金銭的にはご不自由なく、ちょっと古めの機器を愛でながら気持ちよさそうに生きている方です。シッカリとご自分のライフスタイルを確立なさっています。でもきっと、今の立ち位置に辿り着くまで、相当な寄り道や失敗をしてきていることでしょう。物を選別・選択する眼力は、失敗や散財によって養われます。絶対にそうです。

『身の丈よりちょっと背伸びした物を纏いなさい』と、ワタシはそう教わって半世紀以上を生きてきました。しかし大体において『身の丈とか身の程』なんて、そんなに簡単に悟れる代物ではありません。それに『生活環境』なんて、若いうちは定まりようがありません。『生活環境からハズレず、ちょっと背伸びした物』なんて、ある程度の年齢と経験を積まなければ判別できないのです。

だからこそ、ワタシは大事なお客様には根掘り葉掘りします。オーディオとかクルマとかバイクとか、葉巻やパイプ喫煙など、自己流でもやれるけどキッチリ導いてもらった方が失敗も散財も少なくてローリスクな趣味は、どんなガイドと組むかがとても肝要です。日々ベンキョーして、ワタシも良いガイドになれるよう精進します。

で、ところで、なのですが。ワタシも新たな名ガイドと出会ってしまって、新しい相棒をお迎えすることになってしまいました。

Vespa GTS SUPER 150 Racing Sixtiesさんです。もちろん中古車。
12月中旬に納車予定。

いやはや、随分と悩みました。要するに『もう1台バイクが欲しい、どうしても欲しい』という欲求がグルグルと渦巻いて、ココ半年くらいはもう自分が何を欲しているのかも分からなくなっていました。

ワタシの絶対相棒、トラちゃん。
TRIUMPH STREET TRIPLE RSです。手放す予定まったくなし。

旅バイクが欲しいのか、でっかくて長距離移動が楽チンなスクーターが良いのか、いやいやバイクなんて1台あれば十分よ、とか。もう本当にグルグル。でも新ガイドさんの『同じカテゴリーのバイクを買ったら、絶対にドッチか1台は乗らなくなります』という一言で思い出しました。

ワタシがもう1台バイク欲しいって思ったキッカケは『自分の事務所から徒歩だと30分、公共移動手段なしな現場に行かねばならない。しかも今は真夏で世田谷区の路地にはクルマを停められない』という事態に陥って、結局は歩いて現場に行って、しばらく汗が止まらず仕事にならなかったという経験からでした。嗚呼、カブでも買うかーって、あの時に思ったのよね。

この度Vespaさんをお迎えして、ワタシの生活環境は更なる充実を図ることが確定しワケで、きっと仕事も上手くいくのです。

今週のまとめ。
ヒトは物欲に溺れて、結局は趣味にも実益にも引っかからない物を買ってしまったりします。良いのですよそれでも。特にビンテージな物は『出会ったいま入手しなければ、きっともう二度と出会えない』ということが往々にしてありますから。

入手する『物』は生活を豊かにし、気持ちを高揚させる相棒であって欲しいですね。世間の評判が良いから、雑誌で絶賛されていたから、ってだけではなくて、信頼できるガイドのアドバイスを聞きながら自身の手で触れて入手して欲しいし、ワタシもそうしたいと改めて思いました。嗚呼、納車がとっても楽しみです。

ではまた来週に。
2022.12.7


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