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所有物と世界観と仕事。

お友達(正確にはお客様)がバイクを買いました。もちろん増車です。
ワタシの周りにいるオジサンたちは、ドイツもコイツもみんなダメなオジサンです。まったく我慢ができない。でもみんな楽しそうに生きています。


*トムさん。(勝手に命名)

KAWASAKI GPZ 900R
通称 Ninja

友人が入手したバイクは、トム・クルーズさんが劇中で颯爽と乗っているアレです。アレの色違い。この個体は恐らく80年台終盤のモデル。ビッカビカの美車。よかったね、貴方にはとってもお似合いです。一生連れ添えるといいね。

この麗しき名車を拝見して、ちょっと思うところがあったというか、改めて気づいたというか。今号はそんな呟きと決意みたいな。

人にはそれぞれ、所有して似合うモノと似合わないモノがあります。
それはモノの優劣ではないんだ。きっと所有する人間側の問題。この『漢・カワサキ(トムさん)』は、きっとワタシには似合わない。理由はよく分からないけど、まったく似合わないと思う。

だからね、近しい友人がこんなに極上なコンディションの超名車を手に入れても全然悔しくないんだ。心の底から『よかったねー』と思える。幸せをお裾分けしていただきました。



*横に並ばれても。

ウチのコと並んでみました。

こう言っちゃアレですが、
絵になっているでしょ?並んだ図が。

それぞれの世界観だなぁと思います。

ワタシはこのBMWに乗るようになって、例えば赤信号で停車中、横にどんなバイクやクルマが並んだとしても全然引け目を感じなくなりました。並んだ相手がDUCATIだろうがNortonだろうがFerrariだろうが全然平気です。

いまのワタシは、そういう世界観を持って生きているのだと思うのです。



*そうは言っても、コレは気になってしまう。

ワタシはBMWとTRIUMPHのバイクを所有していますが、そうは言ってもこのふたつのブランド(メーカー)動向は気になってしまうのです。

BMWがR1300GSというニューモデルをリリースしました。近所のBMWディーラーから試乗会のご案内状が届いていたので、ちょっと覗いてきました。

ウチのコと同じカテゴリーの乗り物とは思えない。
最新のバイクは、これまた違う世界観。
ハイテク機能が満載でタマゲた。
最新の1300cc ボクサーエンジン
30年前の1000cc ボクサーエンジン

長い歴史をもつメーカーの製品は、こうして新旧を並べてみると面白い。本当なら新旧の両方を所有したいのがダメなオジサンの本音だけれども、諸般の事情もあってナカナカに難しい。

でも今のワタシには、古いモノの方が馴染みが良いような気がします。



*なんで古いモノなんだろか?

そういえば自分が所有するオーディオ機器も、みーんな古いモノになってしまった。そしてまたしても古い逸品を入手してしまって、この件については来週投稿する予定です。お楽しみに。

で、なんで古いモノが好きなんだろか?

単純に造形や質感の好みもあるけれど、
『ピッカピカの新品が、年月と共に風格を纏ってくるのを待てない』
のではないかと気づいたのです。

たとえばアナログレコードを再生するカートリッジとか、バイクのタイヤとか、そういうリプレイスメント製品は最新でも良いのです。ウチのびーえむさんに最新のラジアルタイヤは似合わないけどね。

まもなく56歳になるワタシには、それなりに年季の入ったモノが似合うような気がして。あ、これは個人的嗜好ですよ。最新機器が好きなオジサンもいますからね。

なんていうか、もしワタシが頭髪フッサフサでヒゲも真っ黒だったら、やっぱりちょっとヘンかな?って思うもん。それと一緒かな。



*そしたら気が楽になった。

実はね、仕事の件でちょっと悶々していたのです。でも仕事とは全然関係のないバイク事案における気づきで、なんかスッキリしちゃった。

昨今、オーディオ界でリリースされる新製品は、どれもこれもワタシのような平民が買えるような価格設定ではありません。この業界に身を置いて、今後自分はどういう心持ちで仕事をしていけばよいのだろうか?と落とし所を見つけられない感じでした。

そして2024年は波乱な幕開けです。
ワタシが関わっているオーディオメーカーだけではなく、いわゆる輸入元が変わったり価格がさらに上昇したりする事案が山盛りです。

自分のココロに嘘をつかず、お客様にも嘘をつかず、関わるみんなが納得できて幸福感を味わえる商売をしたいと日々思っています。非現実的な価格の現行オーディオ機器をプレゼンしたところで、いったい誰が幸せになるのだろうかって、自分のココロを納得させられませんでした。

でも『自分の嗜好と仕事は違う』と、新旧のバイクたちが教えてくれたように思います。たまたまワタシは古いモノが好きだけど、ピッカピカの新製品を求めるお客様はいるワケで、そういう方には現行の良品をキチンと紹介しようと。自分の趣味や思い入れで、そういう方にビンテージ品や低価格なモノを勧めるのは間違っているなと。

自分を偽る必要がない『確かな良品』なら、たとえそれが高額であっても良いではないかと。それを購入したお客様が幸せになれるのなら、それはそれで良いではないかと。そんなふうに気持ちを整理することができました。

多分いまから数ヶ月後、ちょっと違う形の新しい仕事を増車すると思います。自分には似合わないけど、素敵なお客様には釣合い似合うような逸品をご案内できたなら、そしてお客様が喜んでくれたなら、きっとワタシも幸せになれるんじゃないかな。

嗚呼、やっと気が楽になったし踏ん切りがつきました。
頑張らなきゃね。ではまた。

2024.2.21




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