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STAX vs SENNHEISER vs AKG(ヘッドフォンのお話)

仕事ネタ投稿で『vs』なんていう物騒な単語を用いるべきではないのですが、自分のココロを冷静かつフラットに整えて、あえて対決させてみました。今編に登場する機器はすべて私物です。

*STAXのキャラを徹底的に検証しようと思った。

前編で書きましたが、ワタクシSTAX製品を取扱う正規ディーラーになりました。ユーザーとして同社製品を長年愛用してきましたが、これまでは自分がリラックス状態にある時や、リマスター作業を終えた音源を客観的に聴く時など、いわゆる『リスナー的なワタシ』の心強い相棒として頼りにしてきたのです。

しかし今後は大切な商材になるワケで、そうすると『仕事的なワタシ』の相棒として活躍してきたAKGのK-501やSENNHEISER HD 800Sとの音色相違点、使途の違いなどを明確にしておかないと、キチンと消化した自分の言葉でSTAX製品を紹介できないな、と思ったのです。だからガチで対決させてみました。



*仕事的なワタシの愛機です。

リマスター作業時の絶対的相棒、AKG K-501。
コレじゃないとリマスター作業が出来ませんでした。


SENNHEISER HD 800S。昨年買いました。
K-501を更に研ぎ上げたような、
とっても律儀で正しい音色を出力します。


HD 800Sを購入して、ヘッドフォンリスニングの環境を一気に整えました。
もともと愛用していたDACはあるので、ヘッドフォンアンプとケーブル類を刷新。急いでコツコツと環境を整えたのです。

DACはコレ。MOONの280Dです。
3年以上は愛用しています。
ヘッドフォンアンプはコレ。PhasemationのEPA 007x。
オーディオユニオンさんで中古品を買いました。
XLR端子のバランス出力機って、いま希少です。


HD 800Sを核としたリスニング環境は、我ながらまったく不満もなく。今日現在でも『なかなかイイじゃん』って思っています。



*比較試聴の環境は。

STAXの試聴機として此度仕入れた現行機種はSR-L300とSRM-D10です。

SR-L300。
STAXの四角いイヤースピーカーチーム、エントリー機。


SRM-D10。
DAC内蔵のポータブルドライバー。


比較試聴の環境は以下の通り。
① HD 800S(と、K-501)
ソースはMAC(アプリはAudirvana)→MOON 280D→EPA 007x→HD 800S

② STAXチーム
ソースはMAC(アプリはAudirvana)→SRM-D10→SR-L300

①のシステム、定価合計は約¥740,000(税込)。これにケーブル類などが加算されますので、軽くイッポン超えです。
(その後280Dは価格改定され、EPA 007xはすでに生産終了です)

②は¥143,000(税込)です。いずれもMACの価格は含まれません。

価格面からしてフェアとは言えないような気もするのですが、さてさて比較試聴の結果は如何に。



*そして比較試聴のレビュー。

結論から申せば、STAXチームが大善戦です。
いや参ったなコリャ。なぜ参るかって、そりゃこの価格差にして結果が僅差だからですよ。HD 800Sをガツーンと鳴らすためにケーブル類も相当に試行錯誤しましたからね。電源環境まで手を入れています。

冷静かつフラットなココロで、以下所感です。

・HD 800Sの方が音の情報量は多い。そりゃそうでしょうよ周辺機材も全然高額なのだから。そうでなきゃ困ります。STAXはエントリー機ですよ。

・ゼンハイザーというメーカーのキャラもあるのでしょう。HD 800Sの方がモニター的な音色です。キッチリ描いてきます。

・STAXは雰囲気作りが上手です。綺麗に音楽を聴かせてくれるカンジ。そして音像定位感が普通のスピーカーリスニングに近い。(ゼンハイザー比で)

・STAXセット、音色が絶妙なバランス。HD 800Sと比較したら『コッチ(SR-L300)の方が好き』というヒトは絶対にいます。

・SR-L300もHD 800Sも低域はタイトです。比較するとSR-L300の方がすこし豊かな鳴り方。両機ともベースなど低音楽器の音階表現は大変に明瞭。

・高域はゼンハイザーが『幹が太くて安定感』、STAXが『響きが美しくてしなやか』。両機とも耳に痛いカンジは皆無。

・同一な周辺機器での比較試聴ではありません故、ワタシの想像的解釈も多分に含まれています。

そんなカンジです。しかしいずれのシステムも大変に優秀。



*今週の1枚とまとめ。

なんかね、わざとらしく聞こえるかもしれませんが『頑張ってHD 800Sを鳴らす環境を作ったのに。結構マジで頑張ったのに・・』って、一瞬思いました。この僅差だったらゼンハイザー要らないじゃんって。

でもよくよく聴き込むと、気持ちの落とし所が定まりました。やっぱりモニター仕事では今後もゼンハイザーを使うと思います。音がよく解るので。

反面、提唱する『集合住宅オーディオ』のサンプルとして、自身がプライベートで音楽を楽しむ時は確実にSTAXを手に取るでしょう。ワタシはSRL-300LimitedとSRM-727Aも事務所に設置していますから。

SR-L300LimitedとSRM-727Aです。
SR-L300Limitedは創立80周年記念の限定モデル。

よし、これで迷いなくSTAXをセールスできるぞ、と。自分のなかでブランドの解釈が消化されました。

さてさて、話は変わって今週の1枚コーナー。先週はお休みしちゃいました、すみません。

比較試聴で久しぶりにコレを聴きました。BASIAさんの『THE SWEETEST ILLUSION』1994年リリース。

いま、どうしちゃっているんでしょうね?BASIAさん。エキゾチックで美しいヒトだったなぁ。このアルバムは本当に名曲揃い。

全曲オシャレなテイスト満載だからデートBGMになるけど、そもそも楽曲の完成度が高いから、今聴いても全然古いカンジがしません。割と低域成分が多いのにスッキリな音質。オーディオ試聴用としても使いやすいですよ。

2週にわたっての仕事ネタ投稿でした。お付き合い下さいまして、ありがとうございます。

ではまた来週に。
2023.4.12








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