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仙台の白塗りK子さん

新幹線ではじめての仙台へ。
東京から一時間半という近さ。

行ってみて、初めてわかることがたくさんあるから、やはり旅行は楽しい。

とはいうものの、今回は、妹が、仕事の都合で仙台に住むということになり、物件探しに同行するというのがメインだ。妹の仕事の都合により、2日間のあいだに物件を決定しなければならない。

はじめて降り立った仙台駅。
秋田や福島へのアクセスも良いためか、人の往来は絶えないが落ち着いた印象がある。

もう少し、駅を見て回りたかったが、家探しは一日仕事。
早速、妹が事前に電話をいれておいた不動産屋へ向かった。

歩いている最中、なんとなく横を見ると、期待と不安が入り混じったような表情をした妹がいた。

妹にとっては、人生ではじめてとなる
一人暮らし。

はじめて降り立つ仙台の地。
はじめての家探し。
はじめてづくしだ。

今、妹は、知らない土地でポツンと放りだされたような気持になっているのかもしれない。

姉としてそんな風に妹を眺めていたのだが、
不動産屋へ着き、ウイーンと扉が開きいて対応してくれた30代くらいの女性の顔を見て、今まで考えにふけっていたことが、一瞬のうちに吹き飛んでしまった。

白い。白すぎる。顔面が。

ちょっと怖いくらいに。

色白とかではなく、これは人工的な白さ。ファンデーションの厚塗りによるものだ。
輪をかけて、ギンギンにひかる蛍光灯が女性の顔面を照らす。
口紅も結構な赤色をが使用。顔が驚異的に白いために浮いて見える。
口だけがパクパクしながら生きているように見えてくる。

妹も、少し驚いている。
妹も私も口には出さずとも、姉妹で同じことを考えていることがわかる。
こんなタイミングで、血のつながりを感じてしまうなんてなんだか可笑しい。

名刺を渡し、挨拶もそこそこに「あらためてなんですが」と、妹の条件や希望を聞きだす女性担当者 (ここではK子さんとよぶことにしよう)。

K子さんは、とても仕事のできる人のようで、妹がだす条件に、「そうですよね」「なるほど」「女性の1人暮らしですもんね」などと素早く反応し、
条件に該当する7件ほどの資料をだしてきてくれた。

妹の声のトーンから、物件探しが楽しくなりはじめてきたのがわかる。
K子さんの顔面のことなんてなかったかのように、資料に目を通しはじめた。

見ていると、妹とK子さん。
どうやら部屋の好みが似ているらしい。

妹 「あ、ここのリノベキレイ!あ、白壁!」

K 「ここキレイですよね、私もいいと思いますもんこれ🎵」

妹 「あ!ここの照明カワイイ!」

K 「この雰囲気いいですよね!疲れて帰ってきてもゆっくりできる感じがするし」

K 「あ!あと、こんな物件なんかどうですか?」

妹 「エッ!ダイニングキッチン?」

K 「そうそう!」

おもに女子色高めの会話で、とても盛り上がっている。

物件探しにおいて、担当者との相性は大切だと思っているので、
姉としてホッとした。

しかし、もし、これが妹ではなく私だったら、このK子さんとはちょっとやりずらさを感じるに違いない。

私と妹とは、おしゃれだと思うものが違うからだ。

文字であらわすと、妹はキラキラした『オシャレ』、
私の方は、よくいえばレトロ感がある『お洒落』、
こんな具合に。

さて、K子さんにご紹介いただいた物件を4件に絞り込み、実際に見に行ったのだが、結局、決まることはなかった。

物件は、実際見てみないと本当にわからない。

この時点で、妹はわかりやすくやる気を失い、2軒目の不動産屋ではとてもテンションが低かった。とても迷惑な話だ。

まぁ、この後、この不動産屋で最後の最後に見に行った美しいエントランスがある『オシャレ』な新築物件に決定し、
すぐにご機嫌よくなるのだが。


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