〇歴史が書き換えられる～一般発売の最初の12インチシングルは、1970年発売のバディー・ファイト
 
【First Ever Commercial 12 Inch Was 1970’s Buddy Fite Single】
 
（本作・本文は約2000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ4分から2分。いわゆる「音読」（アナウンサー1分300字）だと7分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください）
 
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〇歴史が書き換えられる～一般発売の最初の12インチ・シングルは、1970年発売のバディー・ファイト
 
【First Ever Commercial 12 Inch Was 1970’s Buddy Fite Single】
 
書き換え。
 
これまで一般発売された最初の12インチ・シングルは、サルソウル・レコーズから1976年5月に発売された3枚のシングルとされてきた。そのときは、ダブル・エクスポージャーの「10パーセント」、サルソウル・オーケストラ「ナイスン・ナスティー」、モーメント・オブ・トゥルースの「ヘルプレスリー」だった。
 
ところが、1970年3月に、これはディスコ作品ではないが、タワー・レコーズがテスト・マーケティングとして12インチ・シングルを一般発売していたことがわかった。
 
ビルボード誌1970年3月14日付けがこれを報じていた。
 
 

（写真）
 
これはタワー・レコーズがジャズ系ギタリストのバディー・ファイトの「グラッド・ラグ・ドール」と「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ」をカップリングにしたシングルを7インチ、12インチ、両方のフォーマットで出したもの。12インチも98セントという破格の値だった。（7インチも98セントほど）　回転数は33　1/3 。前者は古いスタンダード。後者はスティーヴィー・ワンダーのヒット。
 
これはタワー・レコーズの社長、ラス・ソロモンがサイクル・レコーズのものをテスト・マーケティングで売り出したもの。当時の読みでは「多くの人がすでに7インチ45（シングル盤）を買わなくなっているので、12インチのシングルをだすことにした」という。これは当時、急速にアルバムが売れるようになり、またラジオでもアルバムからの長尺曲をかけるようになり、いわゆるヒット向けのシングル盤の需要が下がり始めていたという見方が背景にあったようだ。
 
当初は、真っ白のデザインなしのジャケットだったが、今後は4色のデザインされたジャケットにして発売する意向もあった。
 
だが、残念ながら、数百枚を出したが、ほとんど話題にはならず、その後のリリースは立ち消えになったようだ。
 
そして、1975年頃、ディスコで12インチ・シングルがプロモーション用にプレスされるようになり、その人気がでたことから、1976年、それを初めて一般発売したのがサルソウルだった。
 
ちなみに、サルソウルの1976年の初の一般発売12インチは2ドル98セントで売り出された。当時の７インチ・シングルは1ドル、アルバムは5ドル98から6ドル98。ちょうど、アルバムと７インチの中間の値段だった。
 
いわば、最初の一般発売（コマーシャル）12インチとしては、これが初めてだったということになる。いわば、一般発売の最初の12インチについての歴史が塗り替えられたことになる。
 
当該の音源がないが、他のバディー・ファイトの音源はこちら
 

 
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この情報は、Tグルーヴがマイク・マウロ（ディスコ・プロデューサー、リード・ホワイトロウの相棒）のSNSの投稿で知ったという。
 
これまで一般発売の最初の12インチはサルソウルからのダブル・エクスポージャーほかだったとされていたから、これによって、歴史は書き換えられたわけだ。ひじょうに興味深い。ただ、これは音楽的にはディスコではなかったので、最初のディスコの12インチで一般発売されたものは、サルソウルからのものとはいえる。ちょっとしたトリヴィアになりそうだ。おそらく、ウィキペディアなどもいずれ書き換えられるか加筆されるだろう。

（追記）
 
今後は、「最初に一般発売された（コマーシャル、商用）12インチ・シングルは、1970年初頭にインディから出てタワー・レコーズで98セントで発売されたバディ・ファイトのジャズ・レコード」、「最初に一般発売されたディスコ用12インチ・シングルは、サルソウルから発売されたダブル・エクスポージャーほかの作品群」という表記が正しくなる。なお、ウィキなどでは、最初のディスコ12インチとしてダブル・エクスポージャーしか名前がでていないが、上記に書いたように正確にはこのとき3枚発売されている。
 
（2022年7月27日17時、追記ここまで）
 
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