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■小曽根真さん53日連続自宅からのライヴ完走、最終日はサプライズのオーチャードから


小曽根真さん『ウェルカム・トゥ・アワ・リヴィング・ルーム』、最終回をオーチャード・ホールから 6月20日、21日ブルーノートからも生中継


(本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、10分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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■小曽根真さん53日連続自宅からのライヴ完走、最終日はサプライズのオーチャードから

【Makoto Ozone’s “Live From Living Room” Final Day Is Live From Orchard Hall】

サプライズ。

コロナ禍で自宅待機が続き、あらゆるライヴイヴェントなどがキャンセルとなっていた2020年4月9日から自宅リヴィング・ルームから連日生配信を続けていた『ウェルカム・トゥ・アワ・リヴィング・ルーム』の最終回が2020年5月31日(日)配信された。前日、「ちょっとしたサプライズがあります」と紹介されていたが、なんとこの日は渋谷のオーチャード・ホールからの生配信に。ステージ上に普段と同じリヴィング・ルームのセットが配置され、オーチャード・ホールという響きのある会場からの生配信となった。これには毎日配信を楽しみに見ていた視聴者さんも大驚きの大感激。

最初、配信が始まって「あれ、まさか、オーチャード?」と思ったのだが、そのまさかのオーチャードからの生中継だった。

当日動画はこちら


https://www.youtube.com/watch?v=YNNJdjrZtRg&list=PLzQ4UHvGRpnrZpeu6RderLxVWCnTAELSY

(生配信時は冒頭の音声が不調だったが、ユーチューブなどにアップされる際、音声の不具合は修正されている)

ブログ 小曽根おーちゃーど スクショ1 縦位置客席遠目

さすがにオーチャード・ホールの響きはすばらしく格別だった。ホールの天井の高さを存分に使った音作りがひじょうに効果的でインターネットの配信でもこれほどの音を出せるということに改めて感銘させられた。

オーチャード・ホールは収容人数約2000(椅子の設定で微調整される)だが、視聴者は配信が始まりすぐに1万人を超えた。無料であること、世界各地からの視聴者が集まってはいるのだが、極端な話、「オーチャード5デイズ」に相当するからすごい。終了後、ユーチューブにアーカイヴがのり、それもすでに2万の視聴を超えている。

音響、カメラ(ほとんどアイフォン)、照明などのスタッフも多く入り、まるでテレビ中継のよう。それにしてもアイフォンでこれだけの映像作れちゃうって、すごい。まあ、最近は映画にもアイフォンの映像がたくさん使われているようだが。

ブログ 小曽根おーちゃーど スクショ2 ピアノ、三鈴位置から

カメラも6台(?=ふだんは2台)入り、会場の照明も使われ、ひときわ贅沢なリヴィング・ルームになった。そしていつものリヴィングでの演奏同様、このオーチャードでも小曽根さんははだしでピアノを弾いていた。

そしてナヴィゲーター、ディレクターの奥様三鈴さんの進行もほほえましい。

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三条件。

そのピアノのすばらしさは上記動画をじっくり何度でも見て聞いていただくとして、このライヴ配信の「アンサング・ヒーロー」のひとり、音響をてがけた伊藤さんが今回の経緯などを書かれていたので、許可をもらいいくつか紹介したいと思う。

これまでにも小曽根さんのライヴの音響をてがけていた伊藤さんのもとに4月初旬、「コロナで何かできないか考えて家から配信しようと思う、やるならできるだけよい音でやりたい」と相談を受けたそうだ。

ただいくつか条件があった。それがこれ。

1) 同居している猫たちのためにピアノの屋根(ふた)は演奏後は閉めたい
2) マイクのセッティングは変えたくない。(エンジニアの伊藤さんが毎日行くわけにはいかないので)
3) 一方でマイクスタンドやミキサーなどの機材を設置したままにはしたくない

マイクに関してはいくつか候補をあげ、ピアノの屋根(ふた)にスモールダイヤフラムのマイクを設置した。これで、ほぼギリギリ屋根は閉められる。なんと最初はミキサーなしで2本のマイクをオーディオ・インターフェスに直接入力し、それをアイフォンにつなぎ配信を始めたという。その後2度アップデートし、最終的には無指向性のマイクにし、小曽根さんのトーク用マイクも設置し、足元でオン・オフをできるようにした。

最後の53日目は、オーチャードでそれらのピアノマイクに加え3点吊りマイク、トーク用にワイヤレスのピンマイクを借りた。

ブログ 小曽根 オーチャード1 伊藤写真 ピアノマイク

(写真伊藤文善さん)

オーチャードの大きな空間に響く音を見事に拾い、それを整え、いい音で世界に配信した。パフォーマンスもいずれの作品も見事だったが、一度演奏して大好評だったマイケル・ジャクソンの「ヒール・ザ・ワールド」が再演された。オーチャードのヴァージョンも僕にとっては感無量だった。

ロス。

それにしても、観客のいないオーチャードに響くピアノの音色、しかし、それが配信で世界中に同時に届く。なんという贅沢なことか。

これが53日続き、多くのファンにとっては毎晩9時が一日の終わりの癒しのひとときになった。それが終わってしまうと、6月1日からまさに「小曽根ロス」になってしまう。

しばらくは、過去53本のアーカイヴを毎晩9時に見ることが習慣になりそうだ。

意義。

今回のこの53日連続自宅から配信は多くの意味を残したと思う。

第一に比較的簡単に誰でも自宅から配信ができるということ。それが大きな配信番組となり人気になったこと。配信でもいい音を拾い整えれば、いい音で配信できること。

第二にこの配信映像・音源に世界各地のミュージシャンたちが自由にコラボ映像・音源をアップできたこと。まさにクリエイティヴなコラボレーションが自発的に巻き起こったこと。

第三に、SNSのコメント欄などでわかるように、演者と視聴者との間にいい形の双方向性のコミュニケーションが形作られたこと。書き込まれた曲をその場でプレイする小曽根さんの音楽的許容量の広さ。これは生配信の超醍醐味だ。

ブログ 小曽根おーちゃーど スクショ1 縦位置客席遠目

ほんとにいいことづくめではないだろうか。

そして、このつらい良くないことばかりが報じられるコロナ禍の中で、唯一よかったことがこの「小曽根真自宅生配信」だったと思う。コロナのおかげでこうした配信が53日間も続いた、ということはまさに伝説を作りあげた。これだけは、「コロナ様様(さまさま)」だ。(笑)

なんか、こんごも週一か月一でも『ウェルカム・トゥ・アワ・リヴィング・ルーム』をやっていただけると、楽しいのだが。

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■セットリスト

May 31st, 2020 21:00 (JST) @オーチャード・ホール、渋谷・東京

Set List

Show started 21:00
01 "Gotta Be Happy" by Makoto Ozone 
02 "Triste" by Antônio Carlos Jobim
03 "Do You Know What It Means to Miss New Orleans?" by Eddie DeLange /Louis Alter, album “PURE PLEASURE FOR THE PIANO”(2012)
04 "Heal The World" by Michael Jackson
05 "Mirror Circle" by Makoto Ozone album” DIMENSIONS”(2017)
06 "Home" by Makoto Ozone : “THE TRIO” (1997)”WIZARD OF OZONE” (2000)”ALIVE!”(DVD) (2007)
07 Encore "Reborn" by Makoto Ozone : Album “REBORN”(2003) “BALLADS” (2008)
Show ended 22:15

All the song credits are written by Mitsuo Nakanishi (with support of Hiroshi Itsuno)

Recorded at "Orchard Hall" Shibuya, Tokyo, Japan

All the Song credits were written by 中西 光雄 (Mitsuo Nakanishi) (with support of Hiroshi Itsuno)
音響 Sound : 伊藤 文善, 植木 浩司
照明 Lighting: 岡田 勇輔
撮影 Video: 小川 弾
演出 direction: 神野三鈴Misuzu Kanno (Yuriko Ozone)
Special Thanks to Orchard Hall

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■ブルーノート東京でライヴ

そして、小曽根さん、なんと6月20日(土)、21日(日)東京ブルーノートでライヴ敢行が決定した。しかも、有料でライヴ配信も予定されている。詳細は次の通り。


https://bit.ly/2MFVu8x

2020.06.03
【新規公演決定】MAKOTO OZONE "Solo" & "with friends" featuring Issei Igarashi (6.20 sat.), Eijiro Nakagawa (6.21 sun.)
2020 6.20 sat., 6.21 sun.
【MAKOTO OZONE "Solo" & "with friends" featuring Issei Igarashi (6.20 sat.), Eijiro Nakagawa (6.21 sun.)】
 自宅からのライヴ配信が大きな話題に
 世界的ピアニストの最新ステージ

[会場でのご観覧] ¥8,800(税込)
 
Jam Session会員予約受付開始日:6.10 wed.
一般Web先行予約受付開始日:6.11 thu.
一般電話予約受付開始日:6.12 fri.

会場・ブルーノート東京
107-0062
東京都港区南青山6-3-16
電話03-5485-0088

[配信でのご観覧]
一般:¥3,500(税込)
Jam Session会員:¥2,500(税込)


http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/makoto-ozone/

ぴあ、イープラス、ZAIKOなどでオンライン用チケットの購入が可能。海外からは、ZAIKOへ。

ZAIKO


https://bluenotetokyo.zaiko.io/e/makoto-ozone

ぴあ




https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2018811&rlsCd=001

イープラス


https://eplus.jp/sf/detail/3287730001-P0030001

 ※有料配信のチケットご購入は外部チケットサービスからとなり、ブルーノート東京では電話/WEBともにご予約はお受けいたしません。

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