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■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 009 映画『ブラザー・レイ(レイ・チャールズ物語)』と「ブラザー・トムの2分間の話」■■

■■ソウル・サーチン・アーカイヴ・シリーズ 009 映画『ブラザー・レイ(レイ・チャールズ物語)』■■

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「ソウルの神様」~レイ・チャールズの自伝映画『レイ』が2005年に日本でも公開された。音楽映画としても大変優れた映画で当時大絶賛した。その公開イヴェント、またレイの自伝翻訳・出版などで2004年6月の死去からしばらくレイ・チャールズで盛り上がった。昨日のクリント・イーストウッドの話の中でも出てきたレイ・チャールズの話を続けるのは自然な流れだ。レイ・チャールズ特集、しばしお楽しみください。特に4本目の『ブラザー・トムの2分間』は、超お勧めです。

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NO.835
2004/11/12 (Fri)
"Ray": This Could Be Jamie Foxx's Career Movie
(映画『レイ』の感想文です。ネタばれは最小限にしてありますが、事前の先入観なしに見たい方は、ご注意ください)

オスカー。

今まで見たミュージシャンを描いた映画の中でも最高のものだった。感心し、感動もした。これはすごい。全米で(2004年)10月29日に公開されたレイ・チャールズの生涯を描いた『レイ』。日本では2005年1月29日から公開される。例えば、『ベニー・グッドマン物語』、『バード』、『パープル・レイン』、『ローズ』などのミュージシャンにスポットをあてた傑作作品のリストに、この『レイ』もまちがいなくはいる。それだけでなく、そのトップに君臨する。

まず、何が素晴らしいといえば、ジェイミー・フォックスが素晴らしい。映画が始まってすぐに、もうジェイミー・フォックスではなく、そこには若き日のレイ・チャールズがいた。本当に生き写しだ。姿も、ふるまいも、そして、しゃべり方まで。声を聴いているだけで、レイ・チャールズだ。まちがいなく、俳優ジェイミー・フォックスの最高傑作であり、名刺代わりの一作になった。前評判が高くなっているのもうなずける。

アー写 レイ・チャールズ 映画 ライヴシーン

そして、編集が素晴らしい。彼のキャリアとひとつの出来事をフラッシュバックさせる手法が、じわじわきて、見事としかいいようがない。2時間半の映画にもかかわらずまったくその時間を感じさせない。編集の妙だろう。テンポよく物語がうまく語られる。

脇役陣も素晴らしい。クインシー・ジョーンズ役、アーメット・エルテガン役、ジェリー・ウェクスラー役、ジョー・アダムス役、みないい。そして、僕がもっとも感動したのはレイの実母アリーサ役(シャロン・ウォーレン)だ。オスカー助演女優賞をどうぞ。自伝を読んで知っていた(と言っても見たわけではないが)アリーサのイメージにどんぴしゃのキャスティングに言葉を失った。盲目になっていくレイを力強く育てる母親の姿には胸を打たれずにはいられない。しかも、これが映画デビュー作だって? 信じられない! 

そして、音楽の使い方がまた憎らしいほど素晴らしい。レイ・チャールズのファンであれば誰でも知っているであろうヒット曲の数々が、彼の実際の人生とこれほどつながっていたとは。新たな発見で、これ以後、ここでかかった曲をラジオなどで聴いたら、『レイ』のシーンが思い出されることになるだろう。しかし、それを知らずとも、ストーリーの中で歌われる作品にはぐいぐいと引き込まれる。

ロケーション、衣装、映像が美しい。彼が育った深南部にある家。その周辺。裸足で走り回る子供時代のレイ・チャールズ。何かを暗示するかのような風鈴ならぬ風ビンと、それがかすかにぶつかる音。

そして、脚本が見事だ。もちろん、このエピソードも入れて欲しいというようなものは多々あるが、可能な限りエッセンスを抽出し、起承転結をバランスよくまとめた。ゴスペルからR&Bへ転じるシーン、ドラッグ中毒になっていくシーン、彼の稼ぎをくすねようとする連中との対決など、うまくドラマが書き込まれている。

当初はR&Bシンガーの音楽映画かと思っていた。だが、これは単なるブラック映画ではない。単なる音楽映画、ミュージシャンの自伝映画でもない。失明、人種差別、貧困。想像以上の苦労と苦難を乗り越え、70余年を生きてきたひとりの男のドラマを見事に描いた作品だ。こういう話はアメリカ人はもともと大好きだが、これはアメリカだけでなく、世界中で受けるだろう。一点のケチもつけようがない作品だ。

(映画本編12分割のうちの2)

映画『RAY/レイ』
2005年1月29日からみゆき座、シネマライズなどでロードショー。

DVD RAY/レイ
Ray / レイ 追悼記念BOX [DVD]
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(なんとDVD900円)

ENT>MOVIE>REVIEW>Ray

2004/11/13 (Sat)
"Ray" Include Songs From "Live In Japan"

神様。

映画『レイ』の試写会にピーター・バラカンさんがいらしていたのでいろいろ話をした。映画が始まる前は、ピーターさんはちょうど出たばかりのボブ・ディラン著の自伝を読んでおられた。これまでディランの著作はいろいろあるが、もちろん、自分で書いたものは初めてなので、ひじょうにおもしろいそうだ。日本のアマゾンで1日で来たという。

レイ・チャールズが死去したあとのジョークを話してくれた。ちょうどブラザー・レイが死去したのは、レーガン元大統領の死去と同じ頃だった。そこで、二人がほぼ同時に天国に行った。天国に行くと、いろいろな有名人たちの豪邸が立ち並んでいた。エルヴィスや、マーヴィンやら、いろいろだ。そこに立派な家があり、それがレーガンの家だった。すると、さらに丘の一番上にもっと超豪華な邸宅があった。それを見た人が聞いた。「あれは、誰のうちですか? なんであんな上にあって、しかもひときわ大きいんですか」 「なぜなら、あれは神様が住んでいるからだ」 「神様って?」 「レイ・チャールズだよ」 

ちょっと、聞き覚えなので、違うかもしれません。違ったらすいません。欧米で出回っているジョークのようで、いくつか違うヴァージョンもあるかもしれないが、要はレイ・チャールズはレイ・チャールズひとりしかいない、ということでもある。レイは天国でも神様だというあたりがおもしろい。(ま、ギャグを解説するのもヤボというものだが)

映画が始まる前には、そういうわけでお話をしていたので、映画についての資料をまったく読まずに見ることになった。さて、映画が終った。僕はなかなか椅子から立ち上がれなかったが、とりあえず、「いやあ~、よかった」。

ロビーにでると彼も若干興奮気味。こっちもテンション上がっているので、立ち話が止まらない。

(映画の中でベスト・シーンを10か所選んだもの)


僕「いやあ、ジェイミーがすごいですねえ」 「ほんと、すごいねえ」 「あと編集が素晴らしい」 「素晴らしいね。彼にとって、あの事件というのはあんなに後をひいていたの」 「そうみたいですねえ。自伝にもそう書かれてるんです」 「曲は何曲か、レイがこの映画のために再録音したそうね」 映画の宣伝担当「そうなんですよ。レイが何曲か録音しています」 ピ「衣装も素晴らしかった」

僕「いやあ、ほんと単なる音楽映画か、ブラックムーヴィー的に思ってたけど、とんでもないですね。言い方悪いけど、いい意味で『ハリウッド映画』ですねえ。これは絶対アメリカで受ける。あとは日本でこういうミュージシャンを扱った映画がどれくらい受けるかですねえ」 ピ「いやあ、そんなネガティヴなこと言っちゃだめだよ(笑) なんてったって、レイ・チャールズなんだから。完璧に文句のない映画だけど、もしひとつだけ文句をつけるところがあるとすれば・・・(しばし考えて) アレンジャーのハンク・クロフォードだっけ、彼がでてこないところかなあ」

「あと、いろんな曲がでてきて、楽しいなあ。曲の使い方、抜群にうまいですね」 「そうだ、でてこなかったけど、『バステッド』が、逮捕されたシーンなんかでかかっていたらよかったね」 「ああ、ほんと、そうですね」 

というわけで、このサントラ『レイ』も(2005年)1月に日本発売される。輸入盤を入手したが、なんとここには『ライヴ・イン・ジャパン』の音が3曲入っていた。「愛さずにはいられない」「レット・ザ・グッド・タイムス・ロール」「我が心のジョージア」という、まさに映画中でもハイライト的に使われる作品だ。このサントラ収録曲と映画で使われたテイクが同じなら(おそらく同じはず=確認しますが)、映画『レイ』には、1975年11月の日本人観客の拍手も入っているということになる。ワオ! 

ENT>MUSIC>MOVIE>Ray

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2004/11/14 (Sun)
"Brother Ray" (Japanese Translation Version) Will Be Published In January Tied With Movie "Ray"

翻訳。

Brother Rayレイ・チャールズの自伝本 『ブラザー・レイ』 (デイヴィッド・リッツ著=1978年)の翻訳版が出版されることになった。発売元は夷出版。2005年1月末の映画公開との同時発売をめざす。監修・翻訳は吉岡正晴。

リッツの『ブラザー・レイ』は、1978年に発売され現在までレイ・チャールズの自伝として定本となっている作品。これまでに1992年に第二版、今年2004年、レイの死去後第三版が発行された。翻訳は第三版になる。二版では、主とてして初版以降14年分のディスコグラフィーが追加されたが、三版でもディスコグラフィーと、死去後のリッツのエッセイ「ラスト・デイズ・オブ・レイ・チャールズ」が17ページ程度追記されている。

『ブラザー・レイ』は音楽伝記作家として、現在ではその名声を確立しているデイヴィッド・リッツの出発点となる作品。レイの大ファンだった彼はその自伝を書くことを考え、なんとかしてレイと直接話そうとした。しかし、いつもマネージャーなどに門前払いされていた。そこであるとき、点字で長文の手紙を送り、ついにレイ本人から電話がかかってきて、本のプロジェクトが始まった。

この『ブラザー・レイ』は音楽バイオとしては高い評価を獲得、その後、マーヴィン・ゲイの自伝『ディヴァイデッド・ソウル』(日本版『引き裂かれた魂~マーヴィン・ゲイ物語)、スモーキー・ロビンソン、ジェリー・ウェクスラー、エタ・ジェームス、BBキングなど多数のバイオグラフィーを記している。

またレイ・チャールズに関してもっとも詳しい専門家として、関連プロジェクトにもしばしば登場。レイのドキュメンタリー、CDのライナーノーツなども多数てがけている。

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デイヴィッド・リッツ・インタヴュー(1994年5月)



http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/interview/ritz19940509.html

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というわけで、映画の公開が早まったことで、もともと映画公開時期に発売しましょう、という話だったので急遽、翻訳をしあげることになった。当初は来年の6月10日くらいに発売をめざしていた。映画の日本公開が7月以降とされていたからだ。しかし、映画の前評判がすでに何度も書いているようにすばらしく、オスカー・レースにも入ってくるということで、映画の日本公開が一挙にオスカーノミネートにあわせて前倒しとなった。

そこで、本のほうも、それにあわせることになった。これから二月ほど、激多忙になりそう。しばしこもって1日一章を目指してがんばります。本文は42-3章あるので、ぎりぎりということになりますが、果たして、映画公開の1月29日に間に合うか、乞うご期待。僕の出版物としては、2000年7月の『ソウル・サーチン』以来4年半ぶりのものとなります。

■ブラザー・レイ/レイ・チャールズ物語

(デイヴィッド・リッツ著、吉岡正晴訳)2005年2月1日発売

意外と安く買えます


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ENT>BOOK>Brother Ray
MY BOOKS>Brother Ray

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2005/01/17 (Mon)
The Movie "Ray" Portrays Life On The Fast Lane: He Ain't No Cripple Ever Again
(映画『RAY/レイ』の映画評です。ネタバレは最小限ですが、先入観なしにご覧になりたい方はご注意ください)

障害者。

ピアノを弾く指が動く。黒いサングラスにそのピアノの鍵盤が映っている。演奏者は身体を揺らし、のっている。軽快な「ホワッド・アイ・セイ」が流れている。煙草の煙が揺らいでいる。オープニング・シーンが終ると、ひとりのサングラスをした若き黒人、レイ・チャールズ(ジェイミー・フォックス)がバス停でぽつんと佇んでいる。そして、「フロリダ州、1948年」の字幕。

ソウル・ミュージックの創始者、レイ・チャールズの自伝的映画が『RAY/レイ』だ。彼がいかにして盲目になり、ミュージシャンとして成長し、ドラッグ漬けになり、人生を歩んでいくかが描かれる。レイ・チャールズ役を演じたのは、自らミュージシャンでもあるジェイミー・フォックス。レイ・チャールズそっくりの演技は、圧巻だ。

音楽、酒、ドラッグ、そして女性。レイの人生はそれらだけで彩られていた。しかも、徹底的に。時代的には1930年生まれのレイの1948年ごろから1965年ごろまでの間が中心に描かれる。

映画の冒頭で、レイの母アリーサが言う。「誰にもあなたを盲目(cripple=かたわ、障害者、無能者)なんて呼ばせないで」 この言葉はレイが失明した時以来、生涯レイの言葉になる。正確には、目に視力はないが、(あなたは)かたわ、障害者ではない、という意味だ。だが、彼はある時期まで肉体的にも、精神的にもクリップル(障害者)だった。果たして、彼は何をきっかけに目覚めるのか。

自伝にも出てきて興味を持っていたのだが、彼が幼少の頃、まだ失明する前に生家の近くにある雑貨店に一台のピアノがあった。そこの主人、ミスター・ピットが子供のレイにピアノを教えるシーンがある。ミュージシャンとなるレイ・チャールズ少年の原点だが、このシーンになんとも言えずに僕は感動する。

ひとつの失敗から学び、それを教訓とし、知恵をつけ、強く強く生きていくレイ・チャールズ。その自立心と信念、頑固さには驚嘆する。

アー写 レイ・チャールズ 映画サントラジャケ写

(以下、少しネタバレになります)

「ライフ・オン・ザ・ファースト・レーン」(全速力で走る人生)という言葉がある。日々ライヴに明け暮れるレイの人生は、ヒット曲がでるにつれ、忙しさは増し、まさに「ライフ・オン・ザ・ファースト・レーン」になっていった。その彼には、幼少時の事件がひとつの心のトラウマとして残っている。子供時代を過ごしたフロリダにあるボトル・トゥリーの数々。ガラスの空き瓶が何本も吊るされ、木のようになっているボトル・トゥリーは彼のトラウマを象徴するかのようだ。

そして、後半、レイが夢の中で、生まれ故郷のフロリダで母親に会う。自分の生家のヴェランダ。この時のレイ(ジェイミー・フォックス)は、今の大人で目が開いている。そこに登場する弟のジョージが言う。「レイのせいじゃないよ」 母親が言う。「もう誰にもあなたを『盲目』にはさせないわ」 それまで心が盲目だったレイは、この瞬間、「目を見開く」のである。

1961年、レイ・チャールズは黒人と白人を分けていた会場での演奏を拒否したことから、ジョージア州での演奏が禁止された。ジョージア州からの永久追放だ。それから18年間、彼は自らのホームタウン、ジョージア州で演奏することができなかった。しかし、時が流れ、人種差別も少しずつなくなった1979年3月7日。彼が1960年に歌った傑作「我が心のジョージア」は、ジョージア州州議会から「州歌」と認定され、同時に18年前の事件に関して正式に謝罪されたのである。

拒絶から受け入れまでの18年間、レイ・チャールズはひたすらステージで「我が心のジョージア」を歌い続けて来た。彼にとっては、ジョージア州から拒絶されようが、受け入れられようが、その曲が持つ意味はまったく変わらない。ブラザー・レイの信念はいささかも揺るがず、ジョージアへの郷愁は消えることはなかった。

だが、「我が心のジョージア」という曲を歌ったことが、結果的にジョージア州議会にレイに対して謝罪のチャンスを与えることにもなった。そう、「我が心のジョージア」がレイ・チャールズをジョージアに引き戻したのだ。

曲の中で歌詞はこう歌われる。「今、ここにある道はジョージアへ戻る道…」 レイ・チャールズはジョージアへ戻った。ジョージアに始まった物語が、ジョージアで完結した。

(映画『RAY/レイ』1月29日からみゆき座など全国ロードショウ)

映画公式ホームページ

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『我が心のジョージア』訳詞(大意)
Georgia On My Mind

ジョージア、我が心のジョージアよ、

一日中、古きよき時代を思わせるあの甘い歌が
ジョージアへの郷愁を誘う

ジョージア、ジョージアの歌が、月明かりが木々の隙間から
漏れてくるように、やさしく、心に染みてくる

ジョージアの魂が歌いかけてくる・・・
ジョージアの瞳がやさしく微笑む・・・
ジョージアの地には心の安らぐ夢がある
今、ここにある道はジョージアへ戻る道

ジョージア、我が心のジョージアよ・・・
他の地では心の安らぎを見出せない

古きよき時代を思わせる甘い歌・・・
そんな歌がいつもジョージアを思い出させる

(訳詞・大意ソウル・サーチャー)

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そして、今日のハイライトです。映画『レイ』のイヴェントで明かされたブラザー・トムのレイ・チャールズの思い出。

2005/02/02 (Wed)
Brother Tom's Two Minutes: He Talked About When He First Heard Ray Charles

トムの2分間。

映画『RAY/レイ』前夜祭での「トムの2分間」は会場を感動の渦に巻き込んだ。その模様をここに再現する。

鮎川誠さんが持ってきたレイ・チャールズの日本盤シングル「愛さずにはいられない」を見て、ブラザー・トムが反応した。マイクを持ちながら、彼はこう話始めた。


アー写 ブラザートム

       (ブラザー・トム)

「2分くれる? 僕が生まれて初めて聴いたレイ・チャールズがこれ、これなんですよ。(と言って、「愛さずにはいられない」のシングルを指差す) 

ジャケ写 レイ・チャールズ 愛さずにはいられない

うち、父親が外人なんですけど、僕を置いてどっか行っちゃうんですよ。僕は母親と一緒に住むことになるんですけど、母親が2番目のお父さんを連れてくるんですよ。母親が33歳の時、2番目のお父さんは19だったらしんです。(会場から笑い) すごく若い人で、『和子』というおでんやさんをやりながら、母親がその人とできちゃうんですけど、そうしたら僕を連れて、その彼の親のうちに自分(トムの母)と僕(トム)を紹介しなくちゃいけないんで、行くんですよね。

田んぼの中、歩いていくと、その(相手の実家である)家に着いて、僕を紹介するわけですよ。どこの子だかわかんない、色真っ黒でわけわかんない、外人の子ですよ、(笑) 母親は水商売の女ですよ。それをつんと紹介するわけですよ。僕は6歳ですよ。埼玉県の熊谷の、げろげろって蛙が鳴いてるようなそんなところで、周りはすっごい険悪な雰囲気で、母親はオイオイ泣いてるんですよ。

きっと許して欲しいんでしょうね。19歳の男と32歳(発言のママ)・・・。もうオイオイ泣いてて、僕は何もわかんないから、ぼーとしてたら、ふすまの向こうから大~~~きい音で・・・。 「愛さずにはいられない」がかかったんです。

それをかけたのは、その19歳の男の人の弟で、彼がこのレコードを持ってて、「愛しあうことはかまわないじゃないか」って、フルヴォリュームでかけてきたんです。それが、これで~~! (しばし沈黙)(会場からいきなり拍手) それ以来なんですよ」

「いい話だねえ・・・。トムとは20年近くつきあってるけど、その話は初めて聞くねえ・・・」と司会のマイク越谷氏が受けた。

そして、ブラザー・トムは言った。「(レコードのジャケットを)見せてもらってうれしくなって!」

それぞれの人々にある「愛さずにはいられない」の思い出。トムはこの曲を聞くたびに、ふすまの向こうから大きな音で流れてきたあの光景を思い出すのだろう。見事な「トムの2分間」だった。

トムが言った。「息子がねえ、レイ・チャールズが死んだ時、メールをくれたんです。『なんてことだ。レイ・チャールズが死んだなんて』ってね。世代がつながったんです」

レイ・チャールズは、トムの母が好きで、トムが好きで、そして、トムの息子も好きなシンガー。3世代に愛されたシンガーだった。

(2005年1月28日金曜、銀座みゆき座=映画『RAY/レイ』前夜祭)

ENT>MUSIC>EVENT>"Ray" Preview Night

■レイ・チャールズ・ベスト
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(3枚組で1500円くらい)


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上記記事のオリジナル・リンク元。

2004/11/12 (Fri)
"Ray" This Could Be Jamie Foxx's Career Movie


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200411/diary20041112.html

2004/11/13 (Sat)
"Ray" Include Songs From "Live In Japan"


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200411/diary20041113.html

2004/11/14 (Sun)
"Brother Ray" (Japanese Translation Version) Will Be Published In January Tied With Movie "Ray"


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200411/diary20041114.html

2005/01/17 (Mon)
The Movie "Ray" Portrays Life On The Fast Lane: He Ain't No Cripple Ever Again


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200501/diary20050117.html

自叙伝『わが心のジョージア』、日本発売へ。
映画『レイ』の映画評。「わが心のジョージア」の訳詞付き。なかなかよく出来た訳詞ではないかな、と。

Brother Tom's Two Minutes: He Talked About When He First Heard Ray Charles 2005/02/02 (Wed)


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200502/diary20050202.html

「ブラザー・トムの2分間」は、2006年2月の「ソウル・サーチン・ブログ」の今月のブログに選ばれました

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【資料】

レイ・チャールズ死亡関連記事。

2004/06/12 (Sat)
Soul Legend Ray Charles Died At 73


http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040612.html

2004/06/13 (Sun)
"Brother Ray On My Mind": A Tribute To Ray Charles




http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040613.html

2004/06/20 (Sun)
Everybody Can't Stop Loving Ray



http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040620.html

(注、葬儀は6月18日に行われました。日記記載の11日は18日の誤りです)

2004/06/22 (Tue)
Stevie Talks About Ray: Sung "I Won't Complain"
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040622.html

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ENT>MOVIE>REVIEW>Ray
ENT>MUSIC>SONG>Georgia On My Mind
ARTIST>Charles, Ray

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