見出し画像

冬時計


今年は、10月29日にやってきました。
朝6時に長女を起こしに行ったら、
「もっとねる。」という声がしました。

えっ。
それまで、休みの日でも6時に起こしに行くと、ガバッと起きてきて、あわただしく朝ごはん食べて、
「おでかけしよっ。」なんて元気に言って。
でもまだどこのお店も開いてないから、せめて、9時半まで、録画しておいた2時間ドラマみせて待たせたりしてたのに。

はい、今日から長女は冬時計です。
休みの日は9時まで寝ます。
休みの日だけではありません。
平日もなかなか、起きなくなります。
夏時計の日々は、元気に起きてきて忙しく過ごすのですが、冬時計の日々になると生活がガラッと変わります。

まあ、休みの日に9時まで寝てくれるのはありがたいです。
私に余裕ができます。
でも平日に、
「おきない。もっとねている。」
と言って、タオルケットを握りしめて、それでいて、休むのは嫌で、バスに乗り遅れるのも嫌で、なかなか起きない長女を起こすのは、一苦労です。

ゲームのようなもので、タオルケットを手放したら、何とか起きてきます。
そこで、最近は「夜早く寝る。」という作戦を行ってきました。
長女はお風呂から出たら、録画した「科捜研の女」を見るのですが、それが終わったらすぐに「0655」の録画を見ます。
終ったら、テレビを消して寝る支度。8時半。
就寝前の薬を飲みます。

まあ、そんなこんなで、冬時計になってひと月。
日照時間が短くなると、どうしても、寝る時間が増えます。
朝6時はまだ暗い。

家の中には、魔法がかかっていて、守られていて、長女は自分中心の時間軸で生きています。
長女は時計も読めないし、時間の概念もはっきり理解できていません。
でも、玄関を一歩外に出ると、現実の時間が回り始めるようです。
自分で、支度が遅くなったのに、
「ばすにのれるかなあ。」と大声で、繰り返します。
大声で叫びながらバス停へ行く毎日。
知的障害や自閉症の人は、大声出しながら歩いている人多いですから、びっくりする人も多いです。
まあ、うちの場合、近所の人は、慣れているようです。

ところが、今日、奇跡が起きました。
朝6時に起こしに行き、いつもの
「かぶをひっぱるおじいさん、かぶをひっぱるおばあさん。
よいしょ、よいしょ、よいしょ。
とうとうかぶは、ぬけました。」
と歌って、タオルケットを引っ張ると、すーと手を離すではありませんか。
いつもは
「やだあ、おきない。」と叫んで、タオルケットにしがみつくのに。

ええー。
なんだか気が抜けてしまいました。

そして着替えを始めました。
ストレスなく、怒ることなく、起こすことができて、私は心も体も疲れることなく、気持ちの良い朝を迎えることができました。

いつもは、ヤダさんになってしまうので、起こすだけで相当疲れて、ぐったりしてしまい、自分を取り戻すのに、半日はかかってしまっていたのに。

朝、すっきり、楽な気持ちで送り出し、私はリアルタイムで、WOWOWの
「マウス~ある殺人者の系譜」という韓国ドラマを見ました。
普通の人みたいな生活だなあ、いいなあ、こういうのと思いました。
明日はどうなるのかな。
気分障害の人の心は全く分かりません。
だから、自分の気持ちを快くすることを、心がけて生きていくだけです。

躁病の長女は、夜寝てくれるだけでありがたいです。

よろしければ、サポートお願いします。老障介護の活動費、障害学の研究費に使わせていただきます。