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なでしこジャパンの応援でチャントはなぜ聞こえてこなかったのか?ちゃんとしたチャントの話

なでしこジャパンは3大会連続での決勝戦進出ならず。ノックアウトステージの初戦で欧州王者オランダ女子代表に惜敗した。今大会の応援で気がついたことがある。

第2戦スコットランド女子代表戦でTVから聞こえてきたJapon(ジャポン)コール。

現地で応援した友人によると「小学生くらいの子供たちが大挙してジャポンコールをしてくれました。」とのこと。日本から応援に駆けつけたサポーターの太鼓が日本コールを始めると、それを聞いた子供たちが声を張り上げ大声援になっていた。

今回は「ブルーノメンデスのチャントはなぜバズったか?ちゃんとしたチャントの話」の続編です。

FIFA女子ワールドカップ2007中国大会以来、4大会連続で現地応援している猛者が東南アジアから参戦。

はじめに記しておくが、私は、まだフランス入りしていない。残念ながら、来週にリヨンに入るが、すでになでしこジャパンはフランスにはいない。今回は現地で応援したサポーター(自称「アフォーター」)の証言を元にnoteを書かせていただく。

グループステージ第3戦イングランド女子代表戦およびノックアウトステージのオランダ女子代表戦を応援するために現地に駆けつけたサポーターたちがいる。少人数だが精鋭揃い。その一人が池ちゃん(仲間からは「組長」と呼ばれている)。4月から東南アジアのある国の都市に転勤になったのだが、約2ヶ月後には休みをとってフランスに応援に駆けつけている、いわゆる「仕事のできる人」。中東や欧州で太鼓を叩く彼の姿を目にした人もいるだろう。

テレビでは、なでしこジャパンの応援チャント(歌)はほとんど聞こえてこなかった。

なぜだろう。歌声はかき消されてしまったのだろうか。オランダからは多数のサポーターがスタジアムに押しかけていた。そこで質問してみた。すると、こんな答えが返ってきた。

歌はほとんど歌いませんでした。バモニッポンを1回だけかな。フランスの皆さんを巻き込む為に、ニッポン!じゃなくて、ジャーポン!でコールかけてました。

(応援していたサポーターはスタジアムに点在していたので池ちゃん以外のサポーターが歌っていたかどうかは未確認です)

少人数の日本人サポーターの歌声よりも応援に参加する人数と声量を優先した応援を選択したのだった。

「いつも通りの応援をやりたい」「日本代表の応援スタイルを守りたい」・・・等々、応援に行くサポーターには様々な意見や感情があるが、池ちゃんの選択重視点はシンプル。「たくさんの人数で選手を後押ししたい」ということだった。

Jリーグと異なり、毎週のようにスタジアムで一緒にする仲間で形成されているのではない代表チームの応援。複雑な手法よりも単純なコール。

一度も日本代表の応援をしたことがない人、日本代表を応援するチャントのメロディを聞いたことがない人、Japon ! と叫んだことすらない人・・・そんな人たちを巻き込む方法は、最も単純で口にしやすい「ジャーポン!をみんなで叫ぼう」という呼びかけだったわけだ。

単純化、そして、現地巻き込み型が進む日本代表の応援。

スタジアムでJapon ! と叫んだフランス人の多くは日の丸ハチマキを巻いていた。これは日本から応援に駆けつけたサポーターが現地に持ち込んで配布したアイテム。100円ショップで大量購入している。もう、すっかりおなじみになった。詳しくは記事を読んでいただきたいが、現地の人々を巻き込んで応援に参加してもらうための有効な手段だ。目的はシンプル。「日本代表のホームゲームのような雰囲気をつくりたい」だけだ。となれば、優先すべきは応援に参加する人数と声量だったのだ。

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たくさんの人が集まって、その場で即興で応援に参加してもらうには最も短く、誰もが知っている単語の連呼と手拍子が有効だった。

聞けば答えは極めてシンプル。なでしこジャパンの応援でチャント(歌)は、ほとんど有効に使われていなかったのだ。

写真は池ちゃんに提供していただきました。では、最後に日本における「サポーター論」とは、全く対極にある、今大会のオランダサポーターの動画をお楽しみください。数は力ですね。



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