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Jサポーター文化をコンテンツからプロダクツへ。観光庁長官、文化庁長官、観光庁長官のトークセションから考えるスポーツ文化ツーリズム。

雪国に欠かせない雪かきをスポーツ競技に変え、雪の降らない国からの参加者を集めている「国際スポーツ雪かき選手権」、カヤックで農業用水路を下る「イデベンチャー」、パラグライダーで車椅子のまま空中を滑降する「世界一自由な空へ つばさに乗って行こう 南陽は空もバリアフリー 空飛ぶ車椅子体験」等が、観光庁、スポーツ庁、文化庁の3庁連携による「スポーツ文化ツーリズムアワード2018」の表彰を受けた。

海外からスポーツ文化体験を希望する訪日外国人観光客が増加中。「スポーツ文化ツーリズム×インバウンド」を国は重要視している。

例えば、スポーツ庁はスポーツ振興だけではなく、「スポーツによる地域活性化」を目指し、スポーツと地域の観光資源が融合した旅を楽しむ「スポーツツーリズム」を推進している。平成30年3月には「スポーツツーリズム需要拡大戦略」を策定し、マーケティング調査結果から国内外からの需要が見込まれる「アウトドアスポーツツーリズム」と「武道ツーリズム」を重点テーマとして設定した。

クオリティの高い動画は公開1ヶ月間で300万回も再生されている。観光庁・・・ではなく・・・スポーツ庁は、スポーツ体験を希望する訪日外国人観光客を都市部から地方へ送客しようとしている。

2019年1月24日に「第3回スポーツ文化ツーリズム シンポジウム」が開催され、観光庁長官、文化庁長官、観光庁長官のトークセションが行われた。複数の省庁のトップがイベントに同席して登壇することはとても珍しい。それくらい、スポーツ文化ツーリズムは重要な国家施策だといえる。

テーマは「インバウンド活性化のために‘スポーツ文化ツーリズム’が担う役割」。

●求められているのはアクティビティ(体験)。スポーツも見るよりも体験。地方に体験希望者を流す。(スポーツ庁長官 鈴木 大地)
●雪かきと国際大会、用水路とカヤック、「とんでもない」「まさか」が新しいものを生み出す。(文化庁長官 宮田 亮平)
●地方に行き長く滞在し消費する、体験型のコト消費を進めたい。(観光庁長官 田端 浩)

さて、このシンポジウムに参加し、このテーマをJリーグにどのように展開できるだろうか、と私なりに考えてみた。

東南アジア各国のスターを獲得したJリーグクラブ。訪日外国人観光客の観光コンテンツとなったJリーグ観戦。

特に、コンサドーレ札幌、サンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸では、タイ代表選手がコンスタントに試合に出場し活躍したことから、タイ国内より注目が集まっている。

さらに、観戦というコンテンツを価値ある体験プロダクト化していくと、地域の利益、クラブの利益は大きくなるはずだ。

訪日外国人観光客のリピート率は進み、驚異的な61.4%に。また、初回と比較し2~4割程旅行支出が増加する。そのため、近年では、ありきたりな見学コンテンツや観光地とは違った訪日外国人観光のあり方に注目が集まっている。訪日外国人観光は、都心部から地方へ、見学から体験への流れが加速している。

では、Jリーグ観戦を、どのように体験プロダクト化していける可能性があるだろうか。これをサポーター視点で考えてみた。体験プロダクト化のゴールは「試合会場への入場料に加えて体験にも課金する価値があるパッケージ商品を提供する」ことと想定する。

訪日外国人観光客の80%以上はアジア各国・地域から。アジアのサッカーシーンに影響を与えた日本のサポーターの文化を体験プロダクトに活用できるか。

出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客数(2017年12月および年間推計値)

中国、韓国、タイ等のサポーターの応援パフォーマンスを見れば、1990年代に先行して独自のスタイルを作り上げた日本代表やJリーグ各クラブのサポーターの応援パフォーマンスから影響を受けていることがわかる。そこで・・・。

Jリーグの試合観戦だけではなく、サポーターの応援体験やサポーターとの交流を体験プロダクトに活用することができるのではないだろうか。

例えば・・・。
●ゴール裏のサポーターが密集するエリアに隣接したエリアで訪日外国人観光客が応援パフォーマンスを一緒に出来る体験サービス。
●母国出身の選手が所属するJリーグ・クラブのホームゲーム観戦だけではなく、サポーターのアウェイ遠征に同行体験するサービス。
●試合観戦前にサポーターとフットサル等の交流体験をできるサービス。
いずれも、アテンド役の帯同やユニフォームの購入、飲食等の料金を加算する。みんなが本気になれば、上記の他にも沢山のアイデアが、湧き出してくるに違いない。

インバウンド効果を上げる、持続性を高めるために、訪日外国人観光客に提供する体験プロダクトは、地域活性だけではなく、各クラブの持続可能性を高めることにも役立つはずだ。

人口減少の時代に、観戦だけにとどまらない、新たな価値のプロダクツ化を考えてみてはどうだろうか。


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