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J1移籍選手はサポーターに何を語ったのか?サポーターへの「感謝」と「期限付き移籍加入時の不安」がテキストマイニングから判明。

移籍は選手にとって無情でもあり、ステップアップのチャンスでもある、別れの悲しみもある。移籍は各クラブのウエブサイトで発表され、その多くには選手のコメントが掲載される。コメントによってサポーターは移籍に納得したり反発したり、ときには炎上騒動を起こすこともある。このシーズンオフに移籍した選手はサポーターに何を語ったのだろう。

J1各クラブの移籍選手のコメントをテキストマイニングで分析した。

対象となる移籍コメントの期間は2018年12月1日から2019年1月14日まで。ウエブサイトに掲載された選手コメントをテキストマイニングして全体の傾向を分析してみた。そこには、移籍における選手の心理が滲み出ていた。
※テキストマイニングとは、大量のテキストデータから有益な情報を取り出すこと。

移籍コメントの種類を4種類に分類。それぞれを比較した。

移籍には様々なタイプがあるが、今回は4種類に分類した。
1 完全移籍による放出(移籍先未定の契約満了・引退を含む)
2 期限付き移籍による放出(期限延長を除く)
3 完全移籍による加入
4 期限付き移籍による加入(期限終了による復帰を除く)

加入、放出、完全、期限付きにより多用される単語が異なる。しかし、いずれもメッセージは、主にサポーターに向けて発信されている。

↑完全移籍による放出の場合

↑期限付き移籍による放出の場合

↑完全移籍による加入の場合

↑期限付き移籍による加入の場合

加入時にはサポーターに「ありがとう」と「感謝」を伝え「申し訳ない」とお詫び。放出時には「一員」に「加入」を「お願い」するのが、移籍コメントの基本的な傾向。


1 完全移籍による放出では「僕」による謙虚な姿勢が目立つ。感謝の言葉とともに在籍期間を振り返る。

これまで在籍したクラブのウエブサイトへのコメント掲載。「ありがとうございました」というクラブに「関わる」みなさんへのメッセージには「いただく」「支える」といった動詞が使用されている。そして、クラブで「過ごす」在籍期間の思い出を振り返り、完全移籍による別れを惜しんでいる。

2 期限付き移籍による放出では「成長のための決断」が強調されることが多い。

これまで在籍したクラブのウエブサイトへのコメント掲載。名詞の中では完全移籍による放出では出現していなかった「決断」のスコアが高い。「成長」の順位も高くなっている。動詞では、期限付き移籍の期間中に「頑張る」という決意が強調されている。一方で、クラブを「離れる」ことを「悩む」心情も明かしている。

3 完全移籍による加入では「戦う」「闘う」姿勢を強調。移籍先クラブへの「貢献」を誓うことが多い。

これから所属するクラブのウエブサイトへのコメント掲載。完全移籍には退路がない。「プレー」を移籍先のサポーターが「認める」日を、1日でも早く迎えたいという気持ちがコメントに盛り込まれている。そのため「戦う」「闘う」姿勢を宣言し「勝利」への「貢献」を誓っている。

実は、もう一点、注目すべき単語が「形容詞」に出現している。それは「泥臭い」。自分のプレーの特徴を移籍コメントで説明し、できるだけ早くサポーターからの支持を得たいという思いが現れている。

4 期限付き移籍による加入には不安が垣間見える。

これから所属するクラブのウエブサイトへのコメント掲載。期限付き移籍はサポーターから本気度を色眼鏡で見られるというのだろうか、動詞の中に、選手の不安が垣間見える単語が出現している。「馴染む」「なれる」ために「取り組む」。そして、どうせ期限付き移籍だから・・・と言われぬように移籍先クラブに「尽くす」。それを裏付けるように、期限付き移籍の放出時には、名詞のスコア1位だった「期限付き移籍」という単語が見当たらないのも特徴。実は期限付き移籍をする選手には、他にはないプレッシャーが重くのしかかっているのかもしれない。

移籍をする選手がどのような心理にあるかは、各クラブのウエブサイトに掲載されるコメントから伺える。サポーターは、読んで理解した上で、どのような応援をするか考えてみてはどうだろうか。




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