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2019年のJリーグはチケットを「いかに確保するか?」から「いかに安く確保するか?」の争奪戦へ

日本代表がアジアカップの決勝戦に進出。勝利を目前にした高揚感を伝えるツイートが多いタイムラインに、一つのツイートが紛れ込んでいた。それは、一人の女性サポーターがアブダビ行きの航空券を購入する決断のツイートだった。

アパホテルや航空券、そして一部のスポーツエンターテイメントのチケット販売で2018年に話題になったダイナミックプライシングが、2019年は本格的にサッカー界でも広く運用されることになりそうだ。Jリーグの開幕を前に、時代の到来を感じさせるツイートだった。

ダイナミックプライシングとは、需要と供給などに合わせて価格を変動させること。

つまり、人気があるチケットは価格が高騰し、人気のないチケットは価格が下落する。2018年に導入された横浜F・マリノスの前売りチケットでは、通常であれば価格が最も安いことが多いゴール裏自由席のチケット価格が指定席の価格を上回る現象も起きた。

遠征上手なサポーターは、既にダイナミックプライシングに適合したチケット入手方法を駆使している。

航空券のチケット価格は常に変動している。残席の少ない便のチケット価格は高騰する。つまり、人気のない便のチケットは安く購入することができるのだ。そこで、前述のツイートだ。ツイートされたのは、まだ、準決勝の試合中。つまり日本代表は決勝戦進出を決めていない。だから、アブダビ行きの航空券の人気は低く、残席多数。安く購入するチャンスだったのだ。

準決勝が終了し、日本代表が決勝戦への進出を決めると、観戦に向かうサポーターはアブダビ行きの航空券を確保し始めた。ダイナミックプライシングにより、アブダビ行きの航空券の価格は上昇していった。同じ便の航空券であっても、購入のタイミングが少し違うだけで、購入価格には差が出てくるのだ。しかし、まりこさんは、試合終了前に購入したので、航空券を安価に確保できた。

これまで、人気の試合のチケットは確保できるかどうかが問題だった。

例えば、発売初日にネットでいち早くログインして購入する、もしくは、抽選のエントリーをたくさん申し込む・・・といった方法で、競争率の高い、人気の試合のチケット争奪戦をサポーターは生き抜いてきた。私も、1993年5月15日のJリーグ開幕戦、2002年のワールドカップ日韓大会、天皇杯決勝戦といった試合のチケットを、そのような方法で確保した。
チケットは「努力の量に比例して確保できる」方程式が成立していた。

これからは、確保できるかだけではない。何円で安価に確保できるかの争いになる。

ヴィッセル神戸のホームゲームでは、アウェイサポーターのためのチケット価格がホーム側よりも500円高く初期設定された。これは、席割りの変更によりアウェイサポーターのためのチケットの枚数が少ないことから設定された価格だ。実際に発売されると、残数が更に少なくなる。少なくなればなるほどアウェイサポーターのためのチケット価格は高騰することが予想される。

固定価格の東横インに転売問題。ダイナミックプライシングへの影響は?2019年は波乱の予感。

アウェイ遠征といえばホテルの確保も重要な問題だ。良いホテルをいかに安く確保するかにも、サポーターは苦心している。アパホテル等がいち早くダイナミックプライシングを導入。近年は、訪日外国人観光客の増加もあり、ホテル価格は高騰している。一方、東横インのように「いつでも安心して泊まれる」を売りに固定価格制を導入しているホテルチェーンもある。ところが、それを悪用して、固定価格で予約した部屋を予約サイトに転売している事例が多数確認されたというのだ。
ダイナミックプライシングの導入に反対するサポーターも多いが、変動価格で販売できるチャネルが多数あるという環境では、こうした高額転売は後を絶たない。ダイナミックプライシングの導入が、結局のところは転売防止につながるのではないかという考え方もある。

行けそうなアウェイチケットは早めに確保。ホームチケットは年間チケットの確保を。

サポーターは、どのような方法で安価にチケットを入手すれば良いだろうか。簡単に言えば「早く入手する」より他に方法はない。人気の試合は「早く購入する=安く購入できる」という単純な価格構造でしかなくなる。行けそうなアウェイ席は発売初日に購入。ホームゲームは全試合の1/3程度はいける見込みがあるのであれば年間チケットをいち早く購入しておいたほうが良いだろう。一部のクラブでは、年間チケットが完売するという現象も起き始めている。

あなたが、今、このnoteを読んでいる瞬間に、あの試合のチケット価格は、また高騰しているかもしれない。


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