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サポーターが選んだ主要サッカー解説者のポジショニング。W杯決勝戦の山本&藤田の起用は大不評。

FIFAワールドカップ2018ロシア大会はフランスの2度目の優勝で幕を閉じた。今大会は比較的日本でも視聴しやすい時間帯で試合が行われ、多くの試合が地上波で放送された。サポーターの間では放送中、放送後に解説者のコメントについて話題になる事が多かった。そこで、今回は主要サッカー解説者のポジショニングをサポーターに対するアンケート調査の結果から可視化してみた。アンケート調査は2018年7月13日から15日にインターネットで実施。回答者数は174。

5つに分類されるサッカー解説者

CFW センターフォワードタイプで攻める松木安太郎と早野宏史。

適切な技術・戦術の能力を有し、視聴者を意識した盛上げ役も担うアグレッシブなサッカー解説者が松木安太郎と早野宏史の二人。また、特に、地上波向けのサッカー解説者であるという評価を得ている。

WFW 高い技術・戦術理解。テクニックでズバリと切れ込むウイングタイプの戸田和幸と岡田武史。

有料放送では海外サッカーを中心に高い評価を得ていた解説者の戸田和幸。解説者デビュー当初は、現役時代のモヒカンでラフプレーも辞さないファイタータイプだったイメージとのギャップに、サッカーマニアの多くが驚きを隠せなかった。今大会では技術・戦術の説明能力で一番高い評価を得ている。そして、日本サッカー界の至宝と言える名監督だった岡田武史。今回は監督業を引退し今治のオーナーとしての登場。それでも、以前と変わらない分析力、そして、経験に裏打ちされた「采配の選択肢の言語化」で解りやすく解説した。

MF 喋りの緩急をつけて程良く盛り上げる都並敏史、福田正博、宮澤ミシェル。

Jリーグ初期のスタープレーヤーだった3人。レギュラー番組の経験も多く、まさに「テレビ解説者」といったイメージ。誰でも解りやすい単語を使用してピッチ上を解説。さらに、喋りの緩急や抑揚をコントロールして、視聴者の気分も盛り上げる。

DF これが安定のサッカー解説者。福西崇史、山口素弘、小島伸幸ら。

おそらく、日本のサッカー解説者の基準は、このグループであろう。技術・戦術の説明能力については弱化のバラツキはあるが、落ち着いて目の前のプレーを説明をするという点で「起用しておけば間違えない」という存在。

見事なコンビネーションだったフランス対アルゼンチン。福田正博と戸田和幸のセット起用。

ノックアウトステージ1回戦でTBSはフランス対アルゼンチンの注目カードを担当。そこで起用されたのは福田正博と戸田和幸のセットだった。このセット起用は見事にハマった。特に、技術・戦術の解説を得意とする戸田和幸を軸に据えて、その周囲をフォローするように福田正博が観戦経験の少ない視聴者向けにフォローするという役割分担が明確だったからだ。アンケート調査結果では2人のタイプの違いが明確に現れている。

地上波向けと評価されている福田正博(上)と有料放送向けと評価されている戸田和幸)下)。

同じタイプの起用で視聴者の失笑を買った決勝戦。山本昌邦と藤田俊哉のセット起用。

フランス対アルゼンチンとは対照的な結果になったのは決勝戦。NHKはフランス対クロアチアに山本昌邦と藤田俊哉をセットで起用した。同タイプであり、しかも、技術・戦術の説明能力が高くないため、実質的には実況アナウンサーが解説も兼ねるという放送になり、解説者は多くの「感想」を発言した。数々の迷言も生まれ、試合の緊迫感を阻害するケースもあった。

サッカーにおいて「ツートップはタイプの違う選手を組み合わせる」という鉄則がある。サッカー解説者においても、その鉄則を守って起用してほしいと思う。


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