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小林由依が残したもの (前編)

【櫻坂46 小林由依卒業コンサートから】


1月31日 (水) 東京・代々木第一体育館に於いて『櫻坂46 小林由依卒業コンサート』の初日公演が開かれた。
櫻坂46としての卒業コンサートは、渡邉理佐以来の約二年近くのものとなる。今回も場所は渡邉と同じく「代々木」であった。
今回この代々木での「卒コン切符」入手はとても壁が高く厚かった。かくいう私もチケット獲得は遠すぎた関門だった。結局、両日とも配信で視聴することとなった。

国立代々木競技場 第一体育館

上の画像は一昨年のBuddies感謝祭の合間に、現地に立ち寄った時の写真である。
丹下健三設計、世紀の大傑作「国立代々木競技場 第一体育館」は欅〜櫻の歴史を語る上で欠かせない舞台である。
しかし、今回ほどのチケット獲得を巡る悲喜こもごものドラマを呼ぶことになった現状が、小林由依と櫻坂46の現在の立ち位置をいやが上にも知らせる機会ともなった。
物語の最高の舞台ではあるものの、すでにキャパとして許容できる範囲を、現実問題として有に越えてしまっているということだ。
これは、小林とグループメンバーをはじめとする関係者及びBuddiesの今日までの歩みの成果でもあったろう。ただ、物語としては欠かせない舞台だと理解しつつも、チケット争奪敗戦組としては何とも、もどかしいものでもあった。
それ故に今回が舞台設定としては、まさに大きな節目となるのかも知れない〜とも思う。


1月31日 (水) 第一日目

卒コン参戦を想定して、この二日間は事前に休暇を入れていた。結果、現地参戦が叶うことはなかったが、余裕を持ってリアルタイムで配信を視ることが出来たのは幸いだった。
しかし、これほどまでに直前まで特設サイトを中心に様々な情報を提供してくる運営の姿勢をみて、小林への最大限の労いの証と受け取るのは、いささか情緒的に過ぎるのだろうか…
それだけ関係者の卒コンへの想いがひしひしと伝わるものでもあった。


配信視聴終了直後、いや正確には開演して暫くしてだが「ひょっとしてこれは櫻坂史上最高のライブではないのか…」と思いはじめていた。
約二ヶ月前の3rdアニラ二日目が、私にとってのベストライブだったが、それを越えてきたのでは〜と率直に思ったのだった。

影ナレ
小林・上村
開演前の会場の様子の画面に、映像が切り替わった時、随分とシンプルなステージレイアウトだなと思うと同時に、センステと観客席との間隔にゆとりがあるな…と思った。何か理由でも〜と思ったが…

OVERTURE
会場の観客席は、小林由依のペンラカラーである黄色✕青色で埋め尽くされている。
映像がエレベーターに乗り上昇する小林と、それぞれのフロアでこれまでの活動を振り返った映像とにシンクロしていく。
従来のメンバーを紹介するものではない。
やがて、小林が歩みを進める映像に変わると、武道館での1stアニラ“小林由依復活”のステージを連想させる大きな扉が左右に開いての小林本人の登場だ。
この流れからすると〜そしてあの曲のイントロが…

1.ジャマイカビール
いきなりのジャマビであった。そして遠藤光莉が本格的に帰ってきたな〜と実感させるものでもあった。最初に演ることで、えんぴかも気が楽になるセトリだな…と私は思った。だとしたら、ゆいぽんやるな…とも思った。
この後も神セトリが続くのだが、恐らく小林の意向も十分に反映させたものであったろう。そう考えたら、小林の遠藤光莉への配慮かな?と思わなくもなかった。もちろん第一は演出面での最大限の効果を狙ったものだろうが。
お前らがジャマビジャマビってうるさいから最初に演ってやったぞ〜と言わんばかりに〜
約一年前の「イオンカードライブ」以来の披露で、その時もドームに続いてのえんぴか復帰の場だったが、3rdTOURでは再び休養に入ったのが残念であった。
そして今回だが、えんぴかがビジュもパフォもキッチリ仕上げて来ているなぁとの印象が残った。
また同時にこのオリジナルメンバーでの最後の舞台になるのだな…と思うと「何とももったいないことだなぁ〜」と素直に感じたのだった。

DANCE TRACK
小林のソロダンスに続き、山﨑天と森田ひかるがせり上がって登場する。
やがて、流れる曲に摩擦係数のイントロのシンセ音になるのか、特徴的なあの音が挟み込まれ始まったのはもちろん…

2.摩擦係数
ジャマビ三人の衣装が曲にマッチしていて三人限定のものかと思っていたら、現れたメンバーも同様の衣装を着ていた。しかし、この衣装もとてもカッコイイ。最近の衣装デザインの傾向は、私としても、とても好みである。
やがて村井優が小池ポジにinしているのがわかる。
見た限り中島も入っていたか〜
やはりこの曲が私の“一番”だな…と再確認もした。

3.断絶
ブリッジの映像は、小林が再び現れた扉を六回ノックする場面を流している。こうなれば当然あの曲だ…
アコギをかき鳴らすイントロが流れればテンションが上がっていく自分を認識する。
ここには武元唯衣がinしている。これもベストな人選だろう。
ただ、字幕は小池美波の名前となっていた。他の曲もそうだったが、オリジナルメンバーを尊重しその表記で統一するということなのだろう。

この時点で、私はこの卒コンの成功を確信していた。
とにかくセトリが素晴らしすぎる。私にとっては理想的な流れだ。

MC〜松田
小林と武元、守屋に感想と意気込みを訊く。

VIDEO TRACK
映像が、小林を主人公にした一連の物語になっていることに気がつく。
扉を開けた部屋には、かつてのブラウン管テレビをイメージさせるものが置かれ、その映像が『思ったよりも寂しくない』の未公開メイキング映像に変わっていく。
新せ界でも展示されていた、山﨑天が撮影に使用していた古いビデオカメラと、そこで映像を再生していたVictorのモニターにリンクするかの演出でもあった。 

4.思ったよりも寂しくない
衣装チェンジしているが、この衣装もいい。
わちゃわちゃ感は残しつつも、キッチリ魅せるパフォーマンスで、この辺は上手いなぁ〜と思わせた。

5.君と僕と洗濯物
中嶋in
途中天ちゃんが「がんばりき」ポーズを入れてきたということは、菅井友香も見に来ているということか?
最後は全員揃ったようにも見えたが〜

6.僕たちのLa vie en rose
直近のカップリングでは披露される機会の多い同曲だが、それだけ支持されているということか。

7.ドローン旋回中
イントロでは田村に変わってゆいぽんのが煽りを入れてくる。
ゆいぽんのグッズタオルを廻しながらのドローン。ゆいぽんは周回のトロッコに乗る。

VIDEO TRACK
小林がナレーションを担当した三期生のドキュメンタリーと欅坂一期生の映像をシンクロさせるという、まさに反則な編集だ。

8.Anthem time
まぁ三期生曲にゆいぽんが”混ざったら“おもしろいだろうな〜というのは、あり得ない笑い話の類だと思っていたが、まさかまさかのゆいぽん登場に!!!
中嶋とWセンター〜言わば「ゆづぽん」だ。
さすがのこば〜キッチリ振りは入れている。先日のSHOWROOMでもみせたセンスの良さだ。
しかしTLで流れていた「Ponthem time」には苦笑してしまったが。

MC〜中嶋
ここでも中嶋はしっかりしたMCをしてくる。頼もしい限りだ。

VIDEO TRACK
物語の続き…
小林の前を、そして周囲を人が行き来する雑踏をイメージさせ、自分の存在を意識させたものになっている。

9.偶然の答え
あいり、しーちゃんin
この「ぐうこた」も今回限りのスペシャルヴァージョンだ。
センターの藤吉を挟む形で小林と大園がフロントラインをつくっている。二人の関係性と曲のストーリーをオーバーラップさせるかのような演出だ。
二人が花道を歩く際、大園が小林に手を伸ばすが、小林はそれに気がついていないようかのように見えた。これがストーリーに則った演出通りなのか、大園のアドリブが空振りに終わったのかは不明だ。
ここでは、その大園とオリメンではなかった増本綺良が印象に残った。
また三期生では、谷口と山下が加わっているように見えたが、思えば昨年7月の大阪でのフェス「ジャイガ」で、小林が舞台出演のため不参加となったそのポジに三期生がそれぞれに入る形となった。
それから新参者〜バクラなどの経験の場を経て、ここまで来たことは、ある種のきっかけを思うし、三期生がポジを埋めても何ら不自然な感じがしないところが、今の櫻坂の強さの一つと言えるのではないかと思う。
この日の藤吉は、終始遠くを見つめるかの視線で自身に記憶させるかのパフォーマンスだった。

10.桜月

美羽in
ここで衣装が変わる。
ここも、れなぁセンターだが小林をメインに曲を展開している。
特にメインステージの上と下で二人が向き合うラップパートでのパフォーマンスが秀逸であった。まるで小林から守屋にメッセージを送るかのように…
その後の転調パートでの小林のソロダンスは圧巻の一言だった。
やはり桜月は名曲であると再認識した場面でもあった。

DANCE TRACK
3rdTOURでの桜月披露の後の守屋麗奈のソロダンスを思わせる小林の悠然たるパフォーマンスの後、激しいリズムで登場した森田ひかるのソロダンスに切り替わる…

11.Nobody's fault
黒のブーツが印象に残りながらも、守屋と村井の姿にも目が行った。
1stの表題からは漏れた守屋だが、今こうしてみると全く違和感がない。それだけの位置に守屋が昇ってきたということだろう。
そして今回のるんちゃんのポップアップは限界値ギリギリを攻めたものでもあった。
小池不在でオリメンも何人か卒業しているこの1stシングルは、ポジ埋めを続けながらも、パフォーマンスのクオリティーは下がるどころかむしろ上がって洗練されてきているという不思議な楽曲になっている。

12.BAN
あいり、美羽in
「時間はあんなにあったじゃないか」
るんちゃんの前に立ち上がった谷口の表情がいい。この日のヘアースタイルも彼女の魅力を高めている。
色んなバージョンを見せることになったBANだが、オリジナルに帰り披露するのは「振り返り」の意味でも重要だったろう。

13.承認欲求
赤の世界が続く。もうここまで来れば本編怒涛のラストスパートであるとわかってくる。
ファイアーボールが上がり3rdアニラを思い出させる。
様々な場所で披露されてきたこの曲も、だんだんと研ぎ澄まされてきている。

14.Start over!
ここも3rdアニラ同様、冒頭三期生が煽りを入れてくる。
途中、センステに向けて藤吉が小林の手を取り花道を全力疾走する。
センステで繰り広げられるパフォーマンスは、まさに二人の世界観が激突している。
この日のクライマックス。
それを追って他のメンバーもセンステに駆け出してくる。スパークラーが華々しく吹き上げる様子が息をのむほどの空間だ。客席との間隔はこのためだろうか?しかし、電子花火だから、そこまでの危険性は何とも不明ではあるが…
いずれにしても、今後小林を欠くことになるスタオバは今回のパフォーマンスで至上のものとなった。
文句なしにこの日のベストパフォーマンス。

君は僕の過去みたいだな
僕は君の未来になるよ

『Start over!』 櫻坂46


VIDEO TRACK

物語の続き〜白い壁(モノリス?)に手をあて、その声を聞くかのような小林は、灰をすくい上げる。MVと同じ構成だ。その姿とMVの映像がカットバックしていく…

15.隙間風よ
この曲のイントロも明らかに泣かせにきている。保乃もゾノも瞳に光るものがある。今日はよくこらえた〜といったところか…
最後に小林はいつもより長い見返りがあり、階段を昇りシンセの音が荘厳に響く中で、扉の向こうに去っていった…

En-1 君がサヨナラ言えたって…
特別に編集されたMVの映像が流れ小林最初で最後のソロ曲が始まった。
ここからはアンコールというより第二部の始まりとの印象を持った。
一人だけで一曲パフォーマンスするのは櫻坂では初めてだろう。やはり唯一無二の小林だからこその存在感だった。

MC〜山﨑
グッズ衣装に着替えた一期・二期が今回の卒コンのグッズを紹介する。
天ちゃんがアルバムを開き、自身の写真ばかりなのを「全部自引きしました!」ときた時には、あぁ天ちゃんらしいナと苦笑い〜
そして一期生3人が残り…

En-2 風に吹かれても
この日の欅曲披露は、この曲のみだった。
私は「ひょっとするとゆいぽんは、場合によれば欅やらないかも…」とも思っていただけに、落ち着くところに落ち着けたな〜と感じた。
一期生3人がトロッコに移り会場を周回する、いわゆる「お手振り」曲となった風吹かなんだが、個人的には理佐の卒コン時にも思ったのだが、キッチリガチガチの振り入れで演って欲しかったな…というのは正直ある。
そして、また恒例のコール論争だ。やれやれ…
3rdアニラでの「僕戦」もトロッコで、かつメドレーだったが、現地では全体ではないにせよ、しっかりコールされており、歴戦のツワモノども健在!と思わせたのだが…
私はコール肯定派だが、櫻新規が多くなっていく現実を前にしたら(当然それが自然で健全な姿だろう)どちらの側も周りに過度に求めすぎずに折り合いをつけて欲しいとは思う。
ただMV再生呼び掛けと同様で、働きかける側が上から目線で古参風吹かせまくったら、反発だけで上手くいくものもいかないよ〜とだけ言っておこうか〜
まぁコールはともかく、ずっと座ったままでスマホいじってる人と現地で何度か隣り合わせたが、それはそれで「アンタ何しにきてるの?」と不思議でならなかったけどね…

MC〜松田
新参者でのカタミラ披露の後と同じく石森の泣き顔にまた…

小林、そして藤吉と大園に感想を訊く。


En-3 Buddies
「自由だ 何も持ってないから」での小林を中心としたステップがこの曲の生命線〜と自分では勝手に思っている。
オリジナルはこば・ふー・えんぴかであるが、ちゅけ、きらちゃんやこんなぎのステップもよかった。
この日の映像をじっくり視たところ(ここがアーカイブの利点) やはり、そのオリジナルの3人が揃っていた。
メンバーそれぞれの想いを込めた『Buddies』であったことはみんなの表情をみていて感じとれた。

En-4 櫻坂の詩
この日のラストソング
まだ今日は晴れやかな櫻坂の詩だったか…


結局、ゆいぽん出ずっぱり!という「鉄人・小林由依」を見せつけた初日公演だった。
今回のみの特別演出だったが、どれも小林由依センターと言っても過言ではないものだった。
この「センター」観は、二日目を視てあらためて掘り下げていきたい。


当初は、この二日間をまとめて〜とのつもりだったが、書き続けるうちに予想以上の文字数となったため日別に前・後編として記すこととした。
この時点では二日目はまだ始まっていない。印象が変わる部分もあるかも知れないが、それも一興と思っている。
後編は明日以降に…





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