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小林由依が残したもの (後編)

【櫻坂46 小林由依卒業コンサートから】


この稿では、初日との相違点、気がついていなかったところなどを取り上げ、全体のまとめを行うこととしたい。

1月31日 (水) 初日公演の感想はこちら

2月1日 (木) 最終日

影ナレ
小林・齋藤
予想通りの二人であった。ふーちゃんはやや緊張していたか〜

OVER TURE
初日と同じ映像だが、エレベーターのボタンが左は欅、右は櫻〜になっていることに今更ながら気がつく。

1.ジャマイカビール
こうしてみると三者三様のダンスのスタイルというか特徴があるのがよくわかる。
それが上手く溶けあった形で魅せるからこそのジャマビへの強い支持なんだろう。

DANCE TRACK
2.摩擦係数
初日の映像では、確認しづらかったきらちゃんを無事確認。安心する。
(後で「ゆいカメ」で視たら、ほぼ定点カメラと言っていいアングルなので、きらちゃんもゆーづもよく見えた)

3.断絶
田村の目つきとビジュ〜パフォーマンスに一層の気合いを感じた。
今回のベストパフォーマンスはスタオバではあったが、ますますキレッキレのこの断絶も捨てがたいものであった。

MC〜松田
小林・増本・森田に訊く。
スタオバダンプラの裏話で、場を盛り上げるきらちゃん♪

VIDEO TRACK
扉を開けてモニターから流れる映像は、初日とは違い、『五月雨よ』MVメイキング動画だった。
この時期すらもう懐かしいなぁ〜と思うところに、今の活動の充実ぶりが裏づけされているということだろう。

4.五月雨よ
センステからスタートした『五月雨よ』
会場のペンラが、同じ緑でも欅坂とは違う“櫻坂の緑色“だと誰かが言っていたと記憶する。
まさしく、いい得て妙だと思った。
美羽・ゆーづ・優が入ったフォメがその思いを強くする。

5.最終の地下鉄に乗って
谷口らがメインステージで待つところに合流していく。
森田・小林が手を繋ぐ「森林」シーンが印象的。

6.僕たちのLa vie en rose
その「森林」に「山」が割って入る形で天ちゃんにリレーする。
『断絶』もそうだが、7人前後のユニットはやはりいいなぁ…とあらためて思った。

7.危なっかしい計画
初日「ドローン」のパートで「計画」を入れてきた。久々にギアが上がったゆいぽんの煽りに最初「んっ?」と思った人も多いはず。
結局、今回の欅曲披露は二曲であった。そこには色々と意見もあるだろう。ここは後ほど〜
最後にみんなでタオルを掲げるエンディングでは、あきぽが裏返しで大きく掲げていて、あきぽらしいナと微笑んだ。
後で出た各社のネットニュースでの、上山陽介さん撮影の写真でも再確認したが、あきぽは余り悔やまないで欲しいナ。

VIDEO TRACK
今回の幕間の映像は素晴らしいものばかりであった。これまで却ってタイミングを外す機会も時にあったが、今回のつなぎはとても上手いと思った。
これも、これまでの経験と知見が蓄積された結果だろう。

8.Anthem time
ゆいぽんの三期曲への合流は当初からの予定だったろうが、当日に小田倉と的野を欠くことになったのは残念であった。
中嶋とのWセンではあったが、結果的に一期生が三期生のポジ埋めに入ったという見方もあって、ナルホドそれは面白い角度だなと思った。

9.Buddies
ここにBuddiesを持ってきたということは、アンコールに入れる別の曲があるということだろうと察しがつく。
私のお気に入り「Yo! 自由だ 何も持ってないから」のダンスパートは、こば・ふー・えんぴかに加え、こんなぎであることを確認する。

MC〜中嶋
小林・村井・谷口に訊く。
あいりは「気負い過ぎない様にガンバッテね」との小林からの連絡に「重すぎず軽すぎない」激励が嬉しかったとの話。
谷口に対する多くの期待からのプレッシャーは尋常ではなかろうと想像するが、やはりその辺りの機微に通ずるゆいぽんならではの接し方なのだろう〜とここでも感心した。これも後輩から尊敬の念を持って慕われるところなのだろう。

VIDEO TRACK
10.偶然の答え

藤吉・小林・大園のトライアングルが何度見ても美しい。
また、山下の指の動きも、彼女ならではのしなやかさで惹きつけられた。

11.桜月
この『桜月』もメインとセンターのステージの使い方が絶妙である。
“人と人との距離”を上手く表現していた。

DANCE TRACK
ゆいぽんとるんちゃんが入れ替わる時に、欅ポーズと櫻ポーズが交差するという指摘に、あ〜なるほどな…とうなづいた。

12.Nobody's fault
ノバフォでのスカートを使った振りを活かすために、この衣装が採用されたのでは〜と思わせるものだった。
小林は自身の後継者については明言はしていない。もちろんする必要もないし、彼女が誤解を生むような軽率な発言をするはずもない。ただ私は「小林由依」的な立ち位置に、森田ひかるは今のグループでは最も近いメンバーではないかと思う。

13.BAN
このBANが小林のパフォーマンスを知る上で、最もふさわしいものでは…とも思った。

14.承認欲求
曲中、森田が期別ごとにダンスバトルするパートがあるのだが、一期生パートの小林のパフォーマンスの激しさにあらためて心打たれる。

15.Start over!
初日とは違うカメラワークで、よりメンバーに迫っている。
やはり藤吉と小林が絡むシーンにつきる。
途中、小林の態勢が崩れたり、藤吉が突発的にハグをするなどのシーンは、まさにライブが生きている瞬間の連続であるのを実感するものだった。

VIDEO TRACK
 16.隙間風よ

小林との本編最後のパフォーマンスにメンバーも想いを込めている。
保乃、ゾノ、天ちゃんは涙をこらえ耐えている。
初日同様、長い見返りがあった後に階段を昇り、それ以降振り返ることなく扉の向こうに去っていった。
最後まで曲のコンセプトを崩さないその姿勢に彼女の凄さをみることになるのだった。



En-1.君がサヨナラ言えたって…

彼女のソロ作品の最後の輝心の舞だった。
この作品への思い入れもひしひしと伝わってくる。


《小林由依 卒業セレモニー》
モニターにこれまでの欅〜櫻の活動での小林のカットが続く。それは、小林自身のものにとどまらず、グループとしての象徴的な活動の記録でもあった。
そして『君がサヨナラ言えたって…』のメイキングとインタビュー映像が挿入させる。
続いて映像としてもこれまでを振り返る〜
「いつか私も誰かから憧れてもらえる存在になりたいです」
そう加入時に語った音声が流れるが、既に答えが明確に出ていることが共通の認識となっている。
真剣な表情でモニターチェックするシーンなどが
続く。
そして、卒業をメンバーに告げるシーンは涙なくしてはみれなかった…

扉が開かれて再び現れた小林はレザーを基調とした美しいドレス姿だった。

小林が一期生二人を呼び込み三人で何を披露するのかな〜と思っていたところ、この二日間で最も驚き、声が出た場面が訪れる。
なんと、小林が小池美波〜みいちゃんを呼び込んだのだ!
もちろん万全ではないだろう。しかし、それを超える何かがこの四人の間にはあるということだろう。

En-2 タイムマシーンでYeah!
トロッコに向かう階段を昇る時、ふーちゃんがみいちゃんをサポートするのがみえた。周回して降りる時もふーちゃんは急ぎ足でみいちゃんに追いつこうとしていた。
何も言葉はいらないだろう…

MC〜松田
まつりから、小田倉と的野の合流が告げられる。
的野は感極まっていた。こちらももらい泣き…
そして、山﨑に感想を求める。
涙ぐみながらの天ちゃんの言葉にもくるものがあった。小林卒業直後の8thセンターとしての自覚も当然あったろう。
田村とキャプテン松田の贈る言葉が続きLast songとなる。

En-3 櫻坂の詩
冒頭の小林の櫻ポーズがとても美しかった。
曲中、的野と森田が期を代表して言葉を贈る。
まつりのやらかし?も、もちろん事情があってのことと推察する。
一期生三人からのメッセージもしっかりと受け取った小林は、こうして櫻坂46として最後のステージから去っていった。


さて、タイトルの問いかけの答えだ。
小林由依が残したものの回答が、この二日間のライブで現れていただろう。
B.L.T.3月号の巻頭インタビューで述べている小林の言葉は、常に周囲に目配り気配りをしながら、かつ自身は自然体で (これは難しいことだが) 活動をすすめてきたことがよくわかるものだった。
この心構えがグループ内に共有されてきたことが、小林の残した置き土産の一つではないか。
「傷つかなくていいことで傷つかなくていい」といった言葉は後輩たちには強く響いていることだろう。
例え、今すぐではなくとも、近い将来わかるものが出てくるだろう。

「アイドルとしてやれることはやりきった」と小林はブログやインタビューでも語っている。
B.L.T.のインタビューを読むと、自身の言動が自分の意図しない方向に深読みされ意味づけされたり、過度な期待感を持たれたり、絶対化され美化されることを潔しとしなかったのではないかと私は思っている。

今回のセトリはよく練られたものであったと思う。
公演後「小林由依の人生1/3の彩り」と題して彼女が選んだプレイリストが発表された。公演後に公開されたことが何か理由があることなのか単なる偶然なのかはわからない。
そのリストをみると『誰がその鐘を鳴らすのか?』と『BAN』がまずあげられている。


しかし結局、欅曲で披露したのは、『風に吹かれても』『危なっかしい計画』の二曲であった。いずれも振り入れをキッチリした上での披露ではない。
私は、この選択がギリギリのものだったと思っている。
櫻曲が充実してきた現実もあるが、決して過度に欅曲を忌避したものでもないと思う。
もちろん、彼女の中では欅曲に対しては、改名時の「THE LAST LIVE」で完結したものであったろう。
ドーム後の雑誌インタビューではこう答えている〜

一 2日目のアンコールでは『不協和音』を披露しました。メンバーの体力面や精神面で不安はなかったですか?
うーん…。『不協和音』に臨む気持ちはそれぞれなので、なんとも言えないところがあるけれど、菅井が思い入れを持ってセトリに入れた曲を一緒にパフォーマンスできることが、私はうれしくて『思い出』として『不協和音』をやりました。

『BUBKA』 2023年1月号より


また、ドームの時と今とでは櫻坂を取り巻く環境が明らかに違っているということもある。
3rdアニラ〜新参者〜AAA〜紅白〜BACKS LIVE、そして8th『何歳の頃に戻りたいのか?』の準備と制作等々ハードでタイトなスケジュールが続いている。
体調不良のメンバーも少なくなかった。 
こんな中で、客観的にみても欅曲を知っている(実際のパフォーマンスを知っている) メンバーも少なくなっているのに、あらたに振り入れを追加するのは現実的に厳しいとの判断はあったのでは〜との声もあり、なるほど実際のところはその辺りの事情だったのかも〜と思ったりもする。
だからこそ、言葉は適切ではないかもだが、強いて言えば「落としどころ」を探ったのではないかと思う。

インタビューでは三期生の『語るなら未来を』披露についてもふれているが、自身の卒コンより、グループとしてのこれからの未来を優先したと考えたのでは〜と思っている。
もっと言えば、その「思い出の上書き」はしたくはなかったのかも知れない…


プレイリストに加え、もう一つ楽しいプレゼントがあった。
初日公演前に会場周辺に出没したピンクパンダの件である。
前日のゆいぽんのブログのタイトルが
🐼✳
だったことから、このことの匂わせだったのでは…つまり、着ぐるみの中の人はゆいぽん本人ではないか⁉と話題になっていた。
公演後、早速その答え合わせをしてくれた。

ステージでは”小林由依“としてその姿勢を全うし、公演前には”ゆいぽん“として遊び心を加えファンサービスをお怠らない〜という彼女らしい素敵なアイドル人生としてのけじめのつけ方だったと言える。

今後については「全くの白紙」だという。
とにかく今は、ゆっくりとしてもらったら…と願っている。
いつしかこの世界に戻るのか〜それとも戻らないのかは、ゆいぽん本人次第だ。

ただ今は、言える言葉はただひとつ。

see you again ◿◿




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