大学を卒業したばかりの夏。

ふたりの若者は全米を旅する。

この先は、明るい未来が待ち受けている。

とばかり思っていたが…

とある情報から

旅の目的は思わぬ方向へ舵を切る。

「僕たちは、自分が思っているよりも

ずっと早く死ぬ事になるかも知れない」

その原因、

建国以来の短命が予測される理由は、

今まで口にしてきた食べ物によるものだと。

そんな衝撃的なモノローグから始まります。

アメリカで最大の作付面積を誇る農産物の王様トウモロコシ。

その規模は日本の総面積に匹敵する。

トウモロコシの加工品は
あらゆるものに形を変え体内に。

アメリカ人の体はトウモロコシでできている！？

世界中を支配し

環境と健康を破壊するトウモロコシの正体とは？

戦慄のドキュメンタリー映画。

食のルーツを探るべく

主人公の若者カーチスとイアンは
アメリカ最大規模のトウモロコシ産地
アイオワ州で1エーカーの土地を借りて
トウモロコシ栽培を始める。

品種改良を重ね
遺伝子組み換えにより害虫被害もない為、
トウモロコシ栽培は
知識が無くても誰でも参入できるのだ。

収穫されたトウモロコシを食べる二人。

その味は
オガクズやチョークに例える不味さ。

これは人間の食用ではなく
味も栄養もない家畜の餌用なのだ。

そしてコロラド州の牛の飼育場を訪れる。

そこでは異様な飼育状況を目の当たりにする。

牛は放牧して牧草で育てると、
脂肪が少なく筋肉質で固い肉になる。
また広大な敷地も必要。

エサを牧草からトウモロコシに切り替える事で
解体用に出荷ができる期間が
数年から半年足らずになる。

牛は狭い小屋の中で身動きとれず
でんぷん質ばかりのトウモロコシを食べ
脂肪まみれになりよく肥るからだ。

牛は複数の胃袋があり
食事の際には反芻する。

しかしトウモロコシは消化が早く、
過剰な胃酸が出る為、潰瘍ができてしまう。

それを避ける為に
抗生物質など投与しながら肥育される。

薬漬けと遺伝子組み換えのコーンで育った肉牛。

マクドナルドのハンバーガーが安くなった理由がここにある。

トウモロコシ大量生産の背景には

1973年のアメリカ政府の農業政策がある。

当時のバッツ農務長官は、
国家予算で莫大な補助金を出し
穀物の増産を図った。

農業で赤字でも補助金で暮らすことができるから、
当然トウモロコシ農家は増え続ける。

その結果供給が安定した
価格の安いトウモロコシは
砂糖の代替品として開発されたコーンシロップに。
炭酸飲料や調味料など
様々な加工食品に含まれるようになる。

コーンシロップは非常に危険で

糖尿病、心臓病、肥満などの成人病の原因に。

それによるアメリカ人の死亡率は

農業政策と比例して増大。

現在は国民病となる。

コーンシロップの入ったコーラ。

コーン油で揚げられたフレンチフライ。

コーンで育ったハンバーガー。

もはやファストフードは
コーンを食べているだけなのだ。

その元凶を突き止め

2人はついに
穀物増産への指揮をとったバッツ氏の元を訪れるが。。。

今作では

浮き彫りにされた課題とも言える

私たちに投げ掛けられた言葉がある

自身も家族も糖尿病と診断されたというタクシー運転手。
「僕らは普段、
どんな物を体に取り込んでいるかなんて
そんな事に注意を払っている人なんて、
いないよ」

アメリカ元農務長官バッツ氏
「アメリカの豊かさの基盤になっているのは

食料の価格が低いということだ。

これは殆ど知られていないが、
アメリカ人の食費は
給料の手取り額の16-17%で賄える。」

「食費をこんなに安く抑えられるなんて
実に素晴らしい事じゃないか。

現在の食料供給体制に問題は無い」

「見渡す限り広大なトウモロコシ畑が広がっている。
これは豊かな時代の象徴だよ。」

最後のモノローグで主人公はこう吐露する。
「僕らは、
その豊かさがもたらす弊害に苦しむ、
最初の世代になるかも知れません。」と。

トウモロコシ農家
「現在の農業の方向性には疑問を感じています。
しかし一部の人が言うように、
もうこの流れを止めることは
できないのかも知れません。
今我々は安い食料を
大量生産すると言う政策の下に
農業が工業化していくのを、
目の当たりにしているのです。」

ホラー映画並みに
どん底に叩き落とされる様な
無力感で締めくくられるこの映画は
創作ではなく現実とリンクしている。

そしてこれは
私たち日本人にも無関係ではないのです。

過剰すぎた生産で
ゴミクズ扱いされる
その大量に余ったトウモロコシの行方は…
(画像リンクよりニュース記事へ)

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