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『その出版社、凶暴につき』書籍化のお知らせ

本連載『その出版社、凶暴につき』が、
本の雑誌社さんから書籍化されることが決まりました。

かねてより本連載を並々ならぬ勢いで支持してくれていた本の雑誌社・炎の営業部長=杉江由次さん、および熱い編集発行人=浜本茂さん、お二人の共感と英断によるものです。かなり膨大なページ数の全原稿を一気にお読みいただき、「まったく長さを感じませんでした。それどころかもっともっと読んでいたいと思いました。素晴らしかったです。」(杉江さん)/「情報センター出版局という時代と寝た出版社と熱量がびしびしと伝わってくる勢い抜群の読み応えでした。」(浜本さん)・・・と、過激な〝本読み〟でもあるお二人から過分な評価をいただき、正直熱いものが込み上げてきました。また〝書き手〟というもののメンタルはずいぶんと柔らかいものだということが今更ながら我が身をもって知れました。情報センター出版局と縁が深い本の雑誌社さんで本にできるという幸運なめぐりあわせに驚いてもいます。これ以上版元として心強いパートナーはありません。いっそう身を引き締めながら、杉江さんとのタッグで2020年の秋から冬にかけての刊行をめざします。

note連載についての杉江さんの熱いエールはこちら→WEB本の雑誌「帰ってきた炎の営業日誌」

連載第1回はこちら

だけんどもしかし。誠に突然と思われることでしょうが、次回#41の更新をもって本連載『その出版社、凶暴につき』は、いったん連載を終了いたします。いや、ほんとにすみません。楽しみにしてくださっていた方々には申し訳ないです。

ずーっとnoteで連載を書きながら考えていたのですが、やはりこれ以降の内容はかなり個人的にナイーブかつへヴィなことも含まれ、ネットの連載という形式にはそぐわないだろうという結論に至りました。どのへんがナイーブかは、ネタバレにもなりますのでなんともご説明が難しいわけですが……このあと、会社はとんでもない危機に陥り、大変革期を迎えます。折しも時はバブルが崩壊し……と、このあといくつもの大どんでん返しが「俺」を待ち受けているわけなのです。はたして、一体全体「俺」はどうなっていくのやら……。じつは、H山局長と「俺」の、極めてアナログな〝熱〟と〝情念〟にあふれた「本づくり」の物語、会社という生命体をめぐる摩訶不思議でダイナミックなうねりのストーリーはここからが本番のクライマックスだといっても過言ではありません。自分が考える「出版」「本づくり」「編集」というものの本質、さらにいえば、「虚構以上に浪漫的な」(中野好夫)ノンフィクションというものの醍醐味がよりあらわになっていくのも、これ以降のことです。書籍化に際しては、「無限定性、包括性、自由さ」という、かつて丸谷才一が指摘したノンフィクションの魅力を、改めて見つめ直し、実作によって突き詰めてみたいと考えています。

この物語自体は、この先「俺」が企画・編集・制作を手がけた、城戸久枝さんのデビュー作『あの戦争から遠く離れて:私につながる歴史をたどる旅』が、大宅壮一ノンフィクション賞、黒田清JCJ新人賞、講談社ノンフィクション賞を受賞し、ノンフィクション三冠を得た、2008年までを書いています。つまり今回連載というかたちで公開した原稿は、本にしたときのボリュームでいうとまだ全体の三分の二ほどです。残り三分の一は書き下ろしとなります(上記ノンフィクションの賞を取るために「俺」がいったいどんな本づくりをしたのかも、初めて具体的に記しています)。またこの連載はあくまでもnote仕様・ネット掲載用の原稿ですから、長編作品としての大幅な改稿も必要なわけでして、現在、その作業も続けているところです。この連載とはまた大きく異なった長尺物語として立ち現れる予想外のストーリー展開にきっとみなさん驚かれることでしょう。ぜひぜひ刊行の際には店頭でお手に取ってみてください。――というのはじつに気が早い話ですから、書籍化の進行の節目では、またこちらのnoteで随時報告を書きたいと思っています。

あと一回だけ連載の更新はありますが、お知らせの最後に。
一年以上の長い期間お付き合いいただき、ご愛読いただき誠にありがとうございました。心より深く深く御礼申し上げます。

2019年9月吉日
古き良き時代のノンフィクション書籍編集者

※付記 2019年いっぱいを持ちまして、noteでの原稿公開をいったん取り止めました。「本の雑誌」2020年2月号より、本連載『その出版社、凶暴につき』書籍化バージョンの集中連載を開始するためです。

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