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オンライン MEET UP!レポート#30

こんにちは!インターン生のかとうねなです。
2022年3月のオンラインmeet up!の様子をお伝えします!

今回のゲストはHAGISOから柳スルキさんと坪井美寿咲さん、一般社団法人ベンチから武田知也さんのお三方です!みなさん都内で活動されています。東京の「ローカル」…気になります!


一組目に紹介させていただくのは、HAGISO(※2022年12月より社名が株式会社HAGI STUDIOから株式会社HAGISOに変更となりました)・まちまち眼鏡店から、柳スルキさん、坪井美寿咲さんのお二人です。築60年の木造アパートから、東京藝術大学の学生のアトリエ兼シェアハウスを経て、最小文化複合施設として2013年に「HAGISO」がスタートしました。「世界に誇れる日常を生み出す」をテーマに、台東区谷中を拠点として文化複合施設、飲食店、宿泊施設、建築設計業、教室事業などを営んでいるのがHAGISOです。

柳さん・坪井さんたちは新しい取り組みとして、まちを紹介するローカルメディア「まちまち眼鏡店」を立ち上げました。眼鏡を売らない眼鏡屋さん「まちまち眼鏡店」…いったい何が置かれているのか。それは、まちを見る様々な人の「目線」です。まちを見る目線は人によって異なるのだから、人の数だけまちがある。その面白さに注目し、多様な視点を“眼鏡”に見立ててまちを紹介するのが「まちまち眼鏡店」です。観光客向けではなく、住んでいる人やこのまちを愛する人たちがまちの新たな目線を発掘し、より一層まちのことが好きになる、地域コミュニティの拠り所になるような場所を目指しています。

このローカルメディア「まちまち眼鏡店」ではHAGISOのスタッフだけでなく、まちの方々にも制作に携わってもらいたいと考えているそうです。住んでいる人はもちろん、定期的にまちに来る人や町の出身の人と共にまちの暮らしの見方を深堀りするメディアを目指します。記事だけでなく、音声媒体やイベント、HAGISOが運営する宿泊施設での宿泊プランに付随したコンテンツなど、まちのことをもっと知ることができるプラットフォーム作りが進行中です。

HAGISOが運営している宿泊施設というのが、「まちやど hanare」。ホテルや旅館はそれ自体が目的地になりますが、そこに含まれているレストランやお風呂、お土産屋さんなどはまちの中にありますよね。まちのお風呂屋さんや飲食店を回ることで、まち全体がホテルとなり得るのです! 朝は小学生のランドセルの音、夕方は奥様方の井戸端会議。まちの音はたちまち素敵なBGMに変わります。“あなた次第でまちが宿になる”をテーマに、まちやどはそのまちの住人になったような体験を提供する場となっています。

こうした魅力的な活動が生まれたきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大でした。コロナ禍のまちには、経営・求人に困る飲食店や、リモートワーク中に近くでお昼ご飯を食べられる店を知らない地元のサラリーマンなど、ちょっとした課題が散らばっていました。そうした問題を点として解決するのではなく、まち全体で解決することができたら、もっとまちに愛着を持ってもらえるのではないかと考えたそうです。そうして始まったのが「谷根千宅配便」でした。tokyobikeさんやまち中のお店の協力を得て、まちの飲食店のごはんを届けるプロジェクトです。次第に、それぞれのお店のスタッフがよその飲食店の配達もするようになったり、まちの人が近道を教えてくれたり、お届け先から応援のメッセージや差し入れをもらったりするようになり、HAGISOとまちの繋がりの可能性を肌で感じたそうです。そして、その可能性を広げるべく誕生したのが「まちまち眼鏡店」でした。

「まちまち眼鏡店」や「まちやど hanare」の他にも、谷根千ではまちの人同士でちょっとした知恵やプロレベルの趣味を交換し合う「KLASS(クラス)」というまちの教室が開かれています。

まちに元々あるものを魅力的に輝かせ、まちの人同士、そしてまちの外の人をも惹きつけるのは、谷根千ご近所の「住人」という存在です。「人の数だけまちがある」。ひとつのまちに数え切れないほどの可能性がまだまだ眠っていることを思うと、まちが輝いて見えてきます。自分の視点が誰かにとってそうした光に気づくための眼鏡になるなんて、素敵ですよね。今後も、まちの魅力の発信を続けていこうと思えたお話しでした!

次にご紹介するゲストは、武田知也さんです。武田さんは、演劇やダンス、アートプロジェクトのプロデュースやコーディネートに関わる舞台芸術制作者を中心に「一般社団法人ベンチ」(bench)を立ち上げました。

組織や劇場に所属せず、フリーランスで制作者として活動していくことはとても大変なこと。様々な課題がある中で、そうした状況をシェアし、助け合っていこうと、国内外の演劇祭や劇場、アーティストの作品に携わっている舞台芸術業界の30代~40代のアートマネージャーたちが立ち上がりました。個人が受けた仕事をチームでシェアし、助け合うことでアートマネージャーの役割や可能性が広がります。

なかでも、20代~30代の制作者がチャレンジできる場所を増やそうと立ち上げられたのが、メンターシッププログラムの「バッテリーBaterry」です。メンターをbenchメンバーが中心に務め、40代のアートマネージャーを集め、舞台芸術アート業界にはなかった、一般企業と同じようなメンター制度を実現しました。

また、「YAU(有楽町アートアーバニズム)」では、アートとまちが関わりながら実施するプロジェクトが行われています。大丸有エリアで働く人々と一緒にパフォーマンスを制作し、普段スーツを着て日本の経済をまわしている一人ひとりが考えていることとは何か?  などをテーマとして表現します。「YAU」では演劇の稽古ができるスタジオやアートマネージャーが働けるコワーキングスペースがオフィスビルの一角に設けられ、普段出会えない人と出会える場となっています。

武田さんが関わる劇団のひとつに「OiBokkeShi(オイ・ボッケ・シ)」という「老いと演劇」をテーマにした劇団があります。95歳(今年97歳)のおじいさんを看板俳優として、認知症の世界を舞台という芸術で表現します。イギリスで現地の団体と共同で製作したまちを移動しながら展開される新しい形の演劇作品では、実際に警官や介護職員が出演するなどして、認知症の方を探すときを再現します。実際に生活している人たちの人生とフィクションが交じり合うことでの新たな気付きや発見を体感してもらうことがこの作品の醍醐味となっています。こうした芸術はダイバーシティの観点から盛んになってきているそうですね。要チェックです!

「ローカル」と聞くと、なんとなく「地方」というイメージがありますが、東京の中心も立派な「ローカル」です。その土地に思いを馳せ、まちを見てみると、些細な課題が見えてきたり、それらが愛すべき土地の魅力であったりする。そうしてまちの性格を掴み、新たな取り組みや日々の暮らしに繋げていくことで、自分にとっての「ローカル」が輝きだすのではないかと思います。「まちまち眼鏡店」も「bench」も、まちの性格を様々な視点から見ることで豊かな「ローカル」を生み出していると言えるのではないでしょうか。

今回のmeet up!ではそのようなことを考えた、インターン生でした…次回のmeet up!も楽しみです!!


文=かとうねな
かとうねな (EDIT LOCAL LABORATORY インターン)


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