ストーリーの文章、ストラクチャーの文章

起業家のけんすうさんが、ブログの書き方についてとても興味深いツイートをされていた。

これでハッと書きかけのnoteの下書きを思い出したので、急いでまとめておく。

◇         ◇

編集者がライターを選んだり文章のディレクションをするとき、あるいはライターになろうとする人にも役に立つんじゃないかと思う考え方がある。

それは、文章を
◎ストーリーの文章 
◎ストラクチャーの文章

の2種類に分ける考え方だ。

日本語にすれば、ストーリー=物語、ストラクチャー=構造になるのだけれど、もっと言えば次のような言葉で説明できるような気がしている。

ストーリー|ストラクチャー
  主観的|客観的
  感情的|論理的
  直線的|樹形図的
   共感|理解
 話し言葉|書き言葉
おもしろい|わかりやすい
   動的|静的

良い文章はたいてい、このストーリーとストラクチャーが適切な塩梅と順番になっている。主観的でありながらわかりやすく、客観性と共感が共存するような文章だ。

この考え方は本の章構成を決めるときにも役に立つ。たとえば法律の解説書のように明らかにストラクチャー主体の本であっても、序章と終章は読者の共感を呼ぶように(読んでもらえるように&買ってもらえるように)ストーリー性を強くする、というのは1つのセオリーだ。

あと自分の経験上、編集者にとってかなり役に立つと思うのが、「書き手の人の本来のベースがストーリーなのかストラクチャーなのか」をできる限り把握する、ということだ。

プロのライターであれば、ストーリーとストラクチャーの両方をうまく書き分けてほしいのだが、たぶん生まれつき、もしくは長年の習慣のために、どうしても得意・不得意が出てくる。ストーリー脳とストラクチャー脳に分かれていて、苦手な方はいつまでたっても苦手という印象なのだ。

自分は完全にストラクチャー脳の編集者なので、ストーリー脳の書き手に憧れを持ったり、過大評価をしてしまうことがある。そしてその人に、ストラクチャーが重要な本のライティングをお願いして、ドツボにはまってしまった経験が何度かあった(で、この考え方に行き着いた)。構造的に書かなければならないのは分かっているが、どうしても筆が止まってしまうらしい。

ストーリーとストラクチャーの両方を高レベルで書ける人、というのは、ものすごく、ものすごく稀な存在なのだ。しかもブックライターの場合、それを他人目線でこなさなければならない…!

ただ、もしこれから音声入力が主流になっていくなら、けんすうさんのツイートにあるように、ストーリー的な文章が世の中には増えていくだろう。その時には、ストーリーとストラクチャーの両方を操るすばらしい書き手も、もっとたくさん誕生するのかもしれない。

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コメント2件

なるほど! 脚本家をしているんですが、「脚本を書くのが難しいのは、ストラクチャーを強く意識して書き進めつつ最終的にはストーリーに仕上げなくてはならないからだ」と初めて気づきました。
ありがとうございます。脚本については全然知らないのですが、確かに商業レベルの演劇やドラマには、沿わなければならない決まったストラクチャーがありそう
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