「ランドセル=親の期待」って重いなぁ

ランドセル支給は全体主義的!?

「茨城県日立市では、新小学1年生にランドセルを支給している」。個人のかたのTwitterをきっかけに、このことがネットニュースで取り上げられ話題になったそうです。

「今話題になっている」といっても、これ、実は「第一次オイルショック後」から続いていることなのだそう。

「いいじゃん! これ全国で導入して」と、私は100%同意します。ネット上を見てもおおかた肯定的なコメントを残している方が多いようです。

そんな中、こんなコメントに目が止まりました。

「こういうのに、『いいね』しちゃう人は、「全体主義的」って思わないの?」

「なるほど。そういう感じ方もあるのか」と正直驚き。私は全体主義を理想としているのではなく、他の理由で「100%同意」しているので。

私たちは、10万円のバッグの価値を説明できるのか?

私は「ランドセル•プレゼント政策」に次のような理由で賛成します。

•各家庭が買うのでは「ランドセル」格差が生まれる
•小学生に10万円の価値がわかるのか?

今どき「子に最適なランドセルを買う活動」を「ラン活」と呼ぶそうです。一説には、「年中さん」になると「オーダーメイド発注」するご家庭もあるとか。そうすると「格安ランドセル」の子もいれば、10万円以上する「高級ブランド•ランドセル」を持つ子もいる。

7歳の子どもたちが毎日持つ物に、その「差」って必要なのでしょうか?  私はそうは思いません。「差」によって優越感に浸るのは、大人だけで十分かと。

そもそも10万円のバッグだなんて、34歳の私でも持っていません。元々ブランドに無頓着なのもあり、私が持っている一番お高いバッグは「トリー•バーチ」のショルダーバッグ、7万円也。

もし友人に「このバッグの価値をわかってるの? 言語化できる?」、こう聞かれたとしたら…いいえ、自信がありません。

「えっと、本革で、縫製もよくて、きっと長持ちする…あとは、デザイン性?」としどろもどろになるのが落ち。残念ながら「デザイン性」などという曖昧な言葉で苦し紛れに答えることしかできないのです。

ランドセルをユーザー目線で考えてみる

結局、ランドセルは「ユーザー目線から大きく外れた商品」なのではないでしょうか? いってしまえば、親の自己満足で成り立っている部分が大きい。もっとも「親子で『ラン活』した日々は一生の思い出になる」という方がいるかもしれないですが。

ここで「徹底的にユーザー目線でランドセルという商品を考えてみる」ことにします。

小学生にとって大事なのは

•軽くて疲れにくい
•かさばらない
•6年間使えて長持ちする
•撥水、防水加工

このあたりかと。ちなみに、件の日立市のランドセルはわずか500gほど(一般的なランドセルは1kg)。2019年度からは、防犯ブザーポケットもつき、完全にユーザー目線と言えましょう。

6年間も毎日使うランドセルなんだから「徹底的に子ども目線で開発してあげないと」と思うのです。

ランドセルなんて要らない!?「謀反」だって起きうる

一般的な小学生は文句を言わず、6年間「1kg+(教科書•筆箱•その他色々)=合計何キロだろう…」を背負い続けるのでしょうが、中には黙っていない子もいるはず。

実は、うちの夫は、ランドセルを1年生の間しか使っていません。2年生からは、自分で選んだナナメがけできるナイロン製のバッグを調達したのだとか。

夫は当時30分以上かけて満員電車に揺られて通学をしていました。1年間ランドセルを背負ってみた結果、「重いしかさばるし、嫌だ。周りの大人たちにぶつかったりスペースをとったりで大変な迷惑だ」という結論にいたったらしいのです。

1年間しか使ってもらえなかった不憫なランドセルはどうなったのか? 安心してください。夫が小学校を卒業するタイミングで「是非お宅のご子息のランドセルを譲ってください!」と申し出たご家庭に譲ったそうです。

なんでそんなお古がほしいかというと、夫は「中学お受験」で大成功。その噂を聞いたご家庭のご両親が「げんを担ぎたい」と名乗り出たのです。

ここまできたら「ランドセル=親の期待の象徴に思えてしまって仕方がない。ああ、とっても重い。もう、ひたすら重い。

この話には続きがあります。その6年後、夫は大学受験で急転直下、盛大にすべり落ちまして、浪人の末、希望外の大学に入学します(今だから笑い話で書けますが)。

「ランドセルを近所の子にあげたのよ!」というエピソードを義理両親から聞く度に、夫と私は「ランドセルを譲り受けちゃった子は、大学受験で大失敗してるかもね」と皮肉っていますが(笑)。

とにもかくにも「親の重圧をはねのける『超軽量の通学バッグ』が主流になる日がきてほしいなぁ」なんて、日立市の事例を知ったのをきっかけに一人思うのでした。


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