あのNew York Timesも注目「わたし、定時で帰ります。」

先日、New York Timesに日本ドラマ「わたし、定時で帰ります。」が紹介されました。記事では、ドラマの紹介から始まり「日本人はなぜ定時に帰れないのか?」という問題に迫っています。

•日本人には「休む」=「だらける」という意識が根づいている
•生産性よりも「どれだけ長くデスクに向かったのか」が昇進の基準となる企業もある
•「勤勉=美徳」の精神性に加えて、生活費を残業代に頼る社員がいる

New York Timesが「わたし、定時で帰ります。」に注目するとは。やはり「残業といえば日本」と紐付けされているのでしょう。

私は、この記事の書き出しを読んだときにくすりと笑ってしまいました。

Last month, as Americans tuned in to the final episode of “Game of Thrones,” Japan was indulging in its own television world.
先月、アメリカ人は『ゲーム•オブ•スローン』のファイナル•エピソードを観ていたが、日本は「独自のテレビの世界(=「わたし、定時で帰ります。」)に浸っていたようだ」)

『ゲーム•オブ•スローン』は中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジー•ドラマ。アメリカ国民は『ゲーム•オブ•スローン』にturn inした(チャンネルを合わせた)。対して、日本人は「わたし、定時で帰ります。」という“ファンタジー”の世界にindulge inしていた(浸っていた)と綴っています。

indulge inは「耽る、浸る、溺れる」といった意味です。普通なら、ファンタジーである『ゲーム•オブ•スローン』にindulge inする、としたほうが自然です。そこをあえて「『ノー•残業』のファンタジードラマにindulge inしている」、「日本人にとって『ノー•残業』はファンタジーだ」と書き出したのではないでしょうか。

記者の皮肉の利いた英語表現はさておき、このNew York Timesの記事には、6月21日午前の時点で120を超えるコメントが世界各国から寄せられています。

•日本の残業は、「島国根性」の特性である個人へ圧力からくるものではないか。日本の社会では「空気を読む」ことが要求される。だから「定時に帰る」とは言えない。日本人は仲間外れになることを恐れている。だから、空気を読んで、「みんなで残業する」。「一緒に犠牲」になることで、精神的におかしくなる。日本人はこのことを自覚すべきで、自分たち自身のために、足の引っ張り合いはやめるべきだ。(ロサンゼルス•アメリカ)
•私は台湾に住む学生だが、この記事は私にも身近に感じられる。両親ともに残業をするので、両親と夕食の食卓を囲むことはめったにない。(台湾)
•日本人は、政府や雇用主のために自らを犠牲にする精神を持っているようだ。これは「カミカゼ」を想起させる。人は生きるために働くのだ(国籍不明)

日本における長時間労働は、海外から見ても根が深い問題と捉えられているようです。長時間労働を「カミカゼ」と結びつけて問題視する。私は、日本人がそういうふうに語るのは聞いたことがありません。死をもたらしうる長時間労働、この指摘は過激に見えて、本質をついているかもしれません。逆説的ですが、海外からの耳に傾けたほうが、問題の解決に向かうのかも

と、こんなことを考えつつ、とにかく今日の最終回が楽しみ!

(元々、このドラマを観る気はなかったのだけれど、何となく見始め、今にいたる…というのも、向井理さんが格好良すぎるのです。本当に。「ちょっと疲れた仕事のできる男性×ラフなパーカー」の組み合わせで演出した制作陣に拍手。働く女性はこういう男性に弱いと思います)


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