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海外ボカロPの魅力を巡る冒険

はじめに

今回はボカロリスナーであるしおまねきさん(@a_shiomaneki)に
寄稿いただきまして、海外のボーカロイドを使用したクリエイターに関して紹介いただきました。
時間を割いていただきました、しおまねきさんに拍手(888888888)
ボーカロイドには自らの耳で曲を探し出す楽しみ。
というインターネットがない時代からの探索方法の名残を感じてまして、まさに海外のクリエイター発掘に関してはその印象が強いと感じております。
さて、前置きはこれぐらいにいたしまして早速、海外在住のボカロPの世界を覗いていただければ幸いです。
何かしら感想をいただければすごく嬉しいです。
あ、僕はもう出てきませんよ。

海外ボカロPの魅力

私が感じる海外のボカロPが作る曲の魅力は、表現、発音、言語の違いに日本のボカロPが作る楽曲とは異なる香りがあるところです。もちろん、違いだけでなく、面白い、美しい、と感じる要素があるからです。

投稿されている楽曲の表現の幅は、Pの層が厚い日本のボカロ曲の方が広いと感じますが、それでも共通して日本の香りがあるように思えます。やはりPさん達の言語や体験してきた楽曲の影響を受けざるを得ないのかも知れません。

あと、日本のボカロ曲はギターをメインに据えたロック、ポップスが強いですが、エレクトリック要素が強い楽曲はそれほど伸びない傾向があるように感じます。対して海外のボカロ曲はこれと反対の傾向があるように思っています。こう言った傾向の違いが面白いです。

海外のボカロPが作る日本語歌詞は日本人が使わない表現、端的に言えばおかしな表現ですが、それがより魅力的に感じます。言葉の選択が妙でも、発音はしっかりと整えられていて、それが独特の雰囲気を醸し出しています。また、機械翻訳を頼ってでも日本語の歌を歌うんだという意志が感じられ、キャラクターのAIが歌っているという見立てで聴くと愛おしくなってしまいます。

海外ボカロPの探し方

多くの海外のボカロPにとって楽曲の投稿先はYouTubeSoundCloudなので、彼らの楽曲はそこで探す必要があります。しかし、YouTubeとSoundCloudではタグが整理されていないので、ニコニコ動画のようにタグを使って効率的に“掘る”ことができません。

そこで、私は掘るのではなく網を仕掛けて“漁る”ことでYouTubeとSoundCloudの中からボカロ曲を見つけています。具体的にはSoundCloudのStreamを延々と流し聴きして、耳に引っかかったオリジナルボカロ曲にLikeを付けてPlaylistに登録し、さらにボカロPをフォローするという事を行っています。ボカロPは他のPのボカロ曲をRepostしたり、Likeを付ける事があり、この曲がStreamに流れてくるので。そこでボカロ曲を“漁る”ことができるわけです。システムとボカロPたちの関係性を“漁る”ための網として利用しているわけです。さらに、新しく見つけた曲とPについて同じことを行って徐々に網を広げています。

SoundCloudに投稿されている曲や投稿者のプロフにはYouTubeの動画やBandcamp、Twitterアカウントへのリンクが記載されている場合があり、これを追っかけることでそこにも網を仕掛けることができます。YouTubeでこの網が機能し始めてくると“あなたへのおすすめ”でボカロ曲、Pを発見したり“次の動画”にボカロ曲がずらっと並ぶというような事が体験できたりします。

元々、この”漁り”は海外のボカロPの曲を探すのに始めたのではなく、ボカロ曲の新曲チェックに挑戦していた際の試行錯誤がきっかけです。ニコニコ動画に投稿されるボカロ曲のうち、稿者コメントにSoundCloudへのリンクが掲載されていることがあり、多くの場合はこちらの方がニコニコ動画よりも先に投稿されています。そこで、 ニコニコ動画ではなくSoundCloudで新曲チェックすることを考えました。これは、ニコニコ動画に投稿される新曲の曲数に耐えられなかったのと、SoundCloudを使うことで量を絞りながらより早い新曲チェックができるのではないかと考えたのが理由です。

ところが、 SoundCloudは検索結果をソートできないので、ニコニコ動画のような新曲チェックに使えません(2019年6月現在)
タグも整理されていないので“掘る”のも大変で
す。それでもニコニコ動画とは違う世界という興味もあって、BGMのつもりでStreamを流し聴きしていると、時折、耳に引っかかる今まで聴いた事のない香りのボカロ曲が流れてくることがありました。これが海外のボカロPのボカロ曲を追っかけるようになったきっかけです。なお、ニコニコ動画の新曲チェックは続けるのが大変で、私はあきらめてしまいました。

余談ですが、SoundCloudのに投稿されたボカロ曲の大部分はカバー曲なので、Streamで再生されるボカロ曲のほとんどもカバー曲になります。そのため、延々と再生される再生されるカバー曲や非ボカロ曲を、気にしないで聴いていられる能力(あるいは鈍感力)が必要となります。これが無いと、SoundCloudでボカロ曲を”漁る”のは難しいかも知れません。

聞くべき海外ボカロP3人

Circus-P、Crucher-Pは、すでに知名度、ヒットした曲があるのでので除外しました。

● KIRA

▲力強いElectro Popを作られるPさんです。曲のクオリティに圧倒されます!

● ロボ

▲キュートでPopなEDMならこの方。キラキラしたサウンドが魅力的です!

● nostraightanswer

▲スタイリッシュなEDMを作られるPさん。色っぽさがたまりません。Dexの中の人です!
※下のは本人歌唱版

番外編

海外のボカロ曲ではギター中心のバンドサウンドは少数派のようです。でも頑張っているPさんもいます。

● WintermintP

▲熱量あふれるギターサウンドが魅力的なPさんです。バンド感が素敵です!

● 狐P

▲Electroかつメタル、そこに不思議なスパイスを潜ませる曲を作られるPさん。美味しいです!

「海外ボカロP」という呼称がはらむ問題

「海外P」(「の」が含まれないことに注意。個人P名のようにも見えてしまう表現)という言い方をすることがあります。ニコニコ動画にも「海外PのVOCALOID」というタグがあり、使われていることがあります。恐らくですが、このタグが作られた意図は、先に私が述べたような”香り”があるボカロ曲を分類したかったのだと思います。ところが、このようなタグや「海外P」のようなラベル付けは日本人とそれ以外をことさら区別し、日本人以外を「海外P」と一つにまとめていて不愉快という意見をTwitterで見かけたことがあります。

この意見は思いもよらなかったことで、当時、衝撃を受けた記憶があります。改めて考えてみると、これまでのニコニコ動画とボカロ曲の文脈を知らずにこのような呼称を見たとき、ネガティブな解釈もできることに気が付きます。そのため、私は「海外PのVOCALOID」タグを付けたり「海外P」という呼称は使わないようにしています。ですが、このような戒めを広めるのも表現の自由を妨げるような気がしてなりません。

その他には、Like付け、フォローなどを日本のボカロP、海外のボカロPを区別なく、あくまでも自分の耳に引っかかるという基準で行っています。結果として海外のボカロPのボカロ曲が多数になっていますが、それは私の好みと、SoundCloud、YouTubeには日本のボカロPのボカロ曲が相対的に少ないという事が反映されただけと思っています。

江戸川後記

いかがでしょうか?正直、僕もほんとんど視聴したことがない海外のVOCALOID事情を少しは覗けたと思います。
このような機会を提供していただいたしおまねきさんに感謝いたします。
ほかにもまだまだ語り足りないほど海外のボカロP活動は多岐にわたります。
それはしおまねきさんご本人自身の発表に期待したいと思います。
この度は、本当にありがとうございました。
そして、ここまで読んでいただいた方にもひとこと言いたい。
ありがとうございました。

Photo by Dan Roizer on Unsplash

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