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娘、アメリカで14歳の母になる 〜アメリカの実践的教育 その①〜

こんにちは、EDUBALアンバサダーのErinaです。初投稿にしてドキッとするようなタイトルでの書き出しですが、今回は当時14歳だった長女がアメリカ在住中に、現地校の授業で取り組んだプロジェクトが、親子で強烈に印象に残っています。今回はそのプロジェクトのお話。わが家は夫、私と娘2人の4人家族。アメリカ・ミシガン州に住んでいたときのことです。

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8年生の選択科目

当時、娘が通っていたミドルスクールでは選択科目が2コマあったのですが、「選択」とは名ばかりで、セメスターごとに科目がランダムに割り当てられました。8年生になる前の夏休み、学校で受け取った娘の時間割には「LME」の文字。7年生のときにも、同じ選択科目 “Life Management Education” を受けたことがあったので、すぐに家庭科であることがわかりました。授業内容の説明には「赤ちゃんロボットを使っての育児体験」との記載に、娘と驚いた覚えがあります。

そして、その日は突然やってきた

ある日、学校帰りにベビーシートを抱えてスクールバスから降りてきた娘。その姿からして、もう違和感しかないわけで。困惑した表情の娘の腕には、ベビーシートの中で眠る赤ちゃん。RealCare Baby インファント・シミュレーターという、超ハイテクな乳児型の育児体験ロボットです。

RealCare Baby とケア用品

ベビーシート以外に持ち帰ったのは、哺乳瓶と布おむつなどのケア用品。そして娘の手首には、IDセンサーのついたリストバンドがついていました。家族に「バブ子」と名付けられた赤ちゃんには、コンピュータが内蔵されており、本物の赤ちゃんのようにランダムに泣いて要求します。ミルクをほしがったり、おむつを変えてほしかったり、ただ眠くてぐずったりと要求もさまざま。

はじめてのお世話

赤ちゃんが泣くと、まず娘はリストバンドを赤ちゃんのお腹にかざしてからお世話を始めます。そうすることで、内蔵されたコンピュータにお世話の内容が記録される仕組み。対応をまちがえると泣き続けるので、泣き止むまでいろいろ試さなくてはなりません。しかも時間に関係なく、夜中も泣くところが本当にリアル。行動も14パターンありました。こうして3泊4日の赤ちゃんと過ごす日々がはじまったのでした。

夜中の授乳の大変さを知る

当然ながら、急に母に仕立て上げられた娘。最初はどうしていいのかわかりません。泣き止まなくて「ママ、助けてー!」と慌てる娘の姿に、自分の新米ママ時代の記憶が重なります。母性というのはすぐに身につくわけではないので、最初の夜はバブ子が泣いても、まったく起きなかった娘。それに対してすぐに跳ね起きて、娘を叩き起こしていた母性本能フル回転の私…。

昼も夜も

夜中の3時でも抱っこやおむつ替えを要求され、とにかくよく泣いたバブ子。娘も最後は寝不足でヨレヨレになりながら、さらに本業の学校の課題などをこなしつつの育児でしたが、だんだんと抱き方や授乳後のゲップのさせ方も板についてきて、愛着も湧いた様子。最終日には、家族全員がバブ子との別れを惜しむという展開になり、娘の初めての育児体験は無事に終わりました。

最後に思うこと

十代の早すぎる妊娠を防いだり、健全な家族計画について考えさせることを目的としたRealCare Babyのプロジェクト。育児に限らずですが、大人の役割や日常的にやっていることを、果たして子どもたちはどれだけ知っているのでしょう。実際には、その状況にならなければわからないことが多く、漠然としたイメージしか持っていない場合もあります。(むしろ、その方がいい場合もありますが…。)

でもほんの少しだけでも、その状況に身を置くことができたかどうか、というのは、後々とても大きな意味があるのかもしれません。きっと、娘の経験した4日間がなにかのタイミングでふと思い出される日がくるでしょう。過酷な4日間を乗り越えたことも、本人の自信につながるかもしれません。

座学よりもハンズオン(手を付ける)のワークが多い、アメリカの学校。その実践的な教育に「これぞアメリカ!」を感じたプロジェクトだったのでした。アメリカで受けてきた面白い授業は他にもいろいろ。みなさんに少しずつご紹介しながら、私なりに感じたことを綴っていきたいと思います。