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帰国後どうなった?アメリカで塾なし、補習校のみの子どもたち

こんにちは、EDUBALアンバサダーのErinaです。わが家は家族でドイツとアメリカに赴任した経験があり、アメリカから帰国してもうすぐで2年になろうとしています。現地では補習校のみだった子どもたち。さて帰国後は、はたして日本の学校でサバイブしているのか。振り返りながら綴ります。

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高学年はつらいよ

子どもたちを連れて渡米したのは、上の子が小6、下の子が幼稚園年長のときでした。二度目の帯同。子どもたちは戸惑いながらも、大きな反対はなく「海外在住?かっこいい!」という感覚。そして、また親の私自身が補習校のみで帰国高校受験の経験がある帰国子女ということで、高学年の子どもを連れて渡米することへのハードルは、低い方だったと思います。

いざ渡米。でもコロナ禍に突入したため、子どもたちは現地校も補習校も思うように通えませんでした。最初の一年はポッドキャストさながらの、英語垂れ流しオンライン授業についていくのに必死。対面授業に移行した2年目は、ミドル7年生の長女は勉強も難しい上に、最初の半年は友達もいない。いつも一人きりのランチで、学校に行くのも辛い。本当に楽しめるようになったのは3年目。最後は見違えるほど楽しんでいました。

会社を設立し、独自で商品開発という設定の授業で、娘がペアワークで作成したプレゼン資料

そんな怒濤の3年間。とても悩みましたが、日本の勉強は極力負担をかけずに補習校の勉強中心に。帰国受験では現地校の成績も重要になるので、現地校の勉強が中途半端にならないようにしたいという気持ちもありました。通塾は本人も望まず、両方の学校の課題をこなすので精一杯の状況。

親子で二人三脚

課題やテストに常に追われていたミドルスクール。テスト前は範囲を娘と復習したり、課題も調べて一緒に考えたりと伴走。コロナ禍のオンライン授業で、急激に成績が落ちた当時7年生の娘でしたが、努力が実を結び8年生には成績も伸び、無事にミドルスクールを卒業できました。

アートショーでの次女の作品

思春期のはじまる高学年の子は、低学年の子とは違ったサポートが必要です。苦しい時間も多い二人三脚は、学校の先生とも連携が欠かせませんし、先生が察してくれないこともあるので、こちらからの働きかけも不可欠。まわりの理解と支えがあると、子どもは安心して根を張れます。その見返りとして親子の絆はぐっと強くなり、戦ってきた経験はへこたれないメンタルを作る。決して悪いことばかりではないのです。

帰国した姉妹はどうなったか

そんな長女が、帰国して公立中学に編入したのは中3夏。いざ受験勉強スタート。3年間をほぼ補習校のみで過ごした娘が一番苦労したのは、国語と数学。読書は好きでも、自分の興味のあるもの中心の読書。触れている文章に偏りがあり、それ以外は圧倒的に読書量が足りていない。とくに、物語文や古文・漢文の解釈に苦労しました。ぜひ読書だけは途切れないように続けるべし。古文は読まなくても、本人の好きなものを中心に読書を続けていれば、帰国後のアレルギー反応は少なくて済みます!

娘が国語以上に苦労したのは、数学でした。これは小学3年で分数が出てきたあたりから、すでに雲行きが怪しく。渡米してからは、数学の学習進度が日本よりゆっくりのアメリカでは、逆に優等生になった娘。ところが帰国すると、日本の数学の難しさに打ちのめされます。

日本とアメリカの数学は、問題の質が違います。日本だと答えを導き出す問題が中心でも、アメリカは導き方や考え方の思考の部分を文章で表現する問題も多いので、教えるのも難しく感じました。日本に帰国して入った塾で数学は個別指導スタート。ふたを開けてみると、なんと未学習の単元があることが判明。衝撃!週に一度の補習校の授業時間ではすべてカバーしきれなかったのか、コロナ禍で学校に通えなかった時期があったからなのか。厳しい現実を突きつけられた娘は、そこから必死で学び直し。

でも、なかなか苦手な教科だと思うようにはいきません。3教科の帰国入試では苦しい展開に。ちなみに入学した高校は、数学は習熟度別指導。そこで自分に合った教え方をしてくださる先生と出会い、先生の丁寧な指導により、ようやく追いついてきました。苦手の芽は早めに摘む。親として反省もありますが、娘は自分でしっかり取り戻す努力をしてくれました。

衝撃が少なく済んだ次女

下の子は、帰国直後(小3)は漢字ができずに苦労していました。在米中は漢字と音読は毎日欠かさず取り組んでいたものの、やっぱり全体的に学習量が少ない。でも少しは触れていたおかげで、キャッチアップは思いのほか早く、いまではすっかり学年相応レベルになりました。音読って聞いている方も片手間にしてしまいがち。でも、生活の中で見たり聞いたりする機会が少ないと、なかなか知識の定着にはつながりません。だからゼロよりかは、0.1でもいいから触れる機会を作る。細くていいから長く継続を、と思います。

まずは読んでみることから。アメリカ現地校のELでも、内容の理解はさて置いて、まずは音(フォニックス)をたくさん聞いて、繰り返し声に出して覚させるというルーティンには、言葉を習得するのには適した順番があるのだと思います。地道な作業でこそ、しっかりとした土台ができるようです。

毎週大量に出る補習校の宿題はこなすのも大変

子どもたちを見て思うこと

そういうわけで子どもたちは、帰国後も苦労は続いてはいますが「なんとかなる!」という長女の言葉どおり、どうにかやってこれました。本人たちは思うこともあるようですが、当時自分のとった選択にもそのときの本人なりの理由があり、それに対しての後悔はない。がんばっている子どもたちを見ていると、自分としても「自分の選んできた道が選ぶべき道だった」と背中を押してもらえているようで、感謝なのです。

長女に、アメリカにいた当時の自分にアドバイスするとしたら?と聞いてみたところ「勉強はどうにかなるから、とにかく思う存分アメリカ生活を楽しめ!って言いたい」とのこと。アメリカでの楽しい時間は、苦しい時間を支える心の糧。人生において大切なものを手に入れた娘たちが、この先も自分らしく歩んでいけるように願っています。

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