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【学生に興味をもってもらう方法1】「40分前に教室に入り、なるべく1人1人と話す機会を設ける」(大学講義コラムvol.3)

「一度、ゲスト講師で大学生に話をさせてもらったことがあるのですが、
あまりに無反応で、すごく焦ってしまいました・・・。」

こんにちは、主にウェブマーケティングのクライアントワークや講師業を生業としている株式会社イーグッドの榎本晋作と申します。

「研修や大学の講義、自社のセミナ(ウェブグッドゼミナール)
培った"教え方"についてお伝えするシリーズ」

ですが、今回は第3回です。(大学での"教え方"シリーズ。

*ちなみに、第1回と第2回は、こちらです。

→「大学講師で一番大変なことはなんですか?」(大学講義コラムvol.1)

→「そもそも、大学の教員(先生)ってどうなってなるのですか?」(大学講義コラムvol.2)

さて、質問形式からスタートするこのスタイルが確立されているかは不明ですが、第3回目の質問は、

「榎本さん、一度、ゲスト講師で大学生に話をさせてもらったことがあるのですが、あまりに無反応で、すごく焦ってしまいました・・・。

榎本さん、毎回、どう対策してるんですか?」

と、先日、結構な有名メディアでも執筆されているライターさんからいただいた質問です。

*「タイトルと内容が若干違う!」と感じた方もいるかもしれませんが、だんだんシンクロしてきます。(答えから知りたい人はスクロールしてしまってもよいかもしれません。)

結論から言うと「気にしてません!」
〜そして、実は学生は、無反応ではないです。〜

▲伝説のオーディション番組でプロデューサーをされていた竹井善昭さんにゲスト講義にきていただいた時の様子。(ブランディング論の講義にて)

多くの人と意見交換をさせていただく際に、よく聞くのですが、大学で教壇にたつと、結構多くの方がぶち当たる壁として

「学生のあまりの反応のなさ」

があったります。

とりあえず、結論から書きまして、その具体的な方法や対策まで落としこませてください。

まず、結論ですが

「細かい対策は特にしていないのですが、
大事なのは、"こちらが焦らないこと"に尽きると思います」

あくまで個人の意見ですが、学生のノーリアクションに対して、基本的には、対策は特に必要ないと思っています。

その理由は定かで、学生の「リアクションが薄い=聞いていない」というわけではないからです。

これは、毎回アンケートを取る形式に変更してから気づいたのですが、アンケートに講義の感想や質問等を書かせてみると、

「めちゃくちゃしっかりと聞いていて、
結構しっかりと書いてくれる」

というのがわかりました。

つまり、リアクションが薄いと

・話がウケてない
・話を聞いてない
・つまらないからリアクションがない

のような錯覚に陥ってしまうことがあるのですが、それは講師側が焦って現象を大きくしてしまっているだけなのだと、3回目の講義くらいで気づかされました。

まぁ、かいつまんで言うと、

「学生のリアクションは薄くて当たり前」

という前提に立てば、特に気にならなくはなりました。

*ちなみに、最初に講義は90分の予定が40分で終わってしまったくらいテンパりました^^;

ただ、とは言っても講義の内容が本気でつまらないと「寝る」という現象が発生しますので、そうならないための対策について、今日は1つだけ紹介したいと思います。

学生が興味を持って聞いてくれるための対策01
「40分前に教室に入り、
とりあえず、学生に講義前に話しかけまくる」

▲インターンに来てくれている学生や仲がいい学生グループと。講義前に食堂でランチ食べながらコミュニケーションをはかるのも有効だと思います。

とりあえず、非常勤講師の場合、ゼミを持っているわけでもなく、また学生とはほぼ初対面です。

人間関係が出来上がってない状態で

「俺の話を聞いてくれ!」

と言っても虫がいい話だと個人的には思っております。

なぜなら、あくまで学生が私の講義を取っている理由は「単位のため」「ちょうど都合がいい時間だから」などが大半であり、

「榎本さんの講義を超聞きたくて!」

なんて、学生が初期の頃はほとんどいないからです・・。
(まずは現実を受け入れ、同じ前提にたつ。)

*最近は私の講義が2科目目の学生も出てきたので、出てきてはいるのですが。

とにもかくにも、私の個人の意見として

「嫌いな先生(講師)の話は聞いてもらえない」

というものがあります。

なので、まずは

「仲良くなること」
「学生のことをよく知ること」

から入るのが、なんだかんだ有効だと感じました。

というわけで、私の場合は、昼休みを挟んだ3限の講義ということもあり、40分程度の昼休みがあるので、2限が終わったら速攻で教室に入ります。

まぁ、正直にいうと、パソコンのセットアップや講義の準備などが理由で、このような意図はなかったのですが^^;

「でも、講師が話しかけるのは、若干気がひけるのですが・・・
(それこそリアクションがなかったらと思うと・・・)」

という方も多いと思います。

これはもちろんです。

というより、私もめちゃくちゃ怖いです。

ですので、初回の講義では

「一番前に座る学生」
or
「比較的前の座りつつ、目があう学生」

のみに照準を絞ります。

お気付きの方も多いと思いますが、前に座る学生は少なくとも、やる気が多少あり、また、講師とのコミュニケーションをあわよくば求めている可能性が高かったりするからです。

なので、だいたい目を合わせていると、「話しかけていいよオーラ」が出てたりします。

最初の一言は
君、何年生?」

私の講義は、基本的に3,4年生が受講する講義になります。

なので、まずはその学生が何年生かを確認する質問は、コミュニケーションの入りとしては相手が答えやすいので、有効だとわかってきました。(あくまで個人の感覚)

ただ、これですと

「4年生です。」

で終わってしまいます。

ここで大抵の講師は沈黙してしまうのですが、ここは普段、インタビューを教えている立場からすると、「掘り下げ質問」を用意しておくのが大事だったりします。

掘り下げ質問1
〜学生の特徴で会話スタート〜
「ていうかさぁ、君(あなた)、やたら黒いね、海で遊びすぎた感じ?

学生に対する掘り下げ質問で大事なのは、

「いやいや違います!」

を引き出す質問だったりします。

なぜなら、たいていの学生はこれで「正確な情報を饒舌(じょうぜつ)に話してくれるから」です。

実際にあった回答ですと、

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男子学生「いやいや、まだ海は早いですよ(*4月)。
僕、野球部なんです!」
→「あっ、ほんとに!君いいね!ポジションどこ!?」

女子学生「これ、地黒なんです〜(涙)。」
→「あら、そったら、日焼け止め塗っても意味ない感じかな?」

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このような感じで、どんどんパーソナルなことを話してくれるようになるので、だんだんと距離が近づいていきます。


掘り下げ質問2
〜学生の持ち物で会話スタート〜
「その手帳でかなくない?どこで買ったの?

目立つ持ち物には思い入れがあることが多く、これも結構有効でした。

=============================================

「その手帳でかなくない?どこで買ったの?
→女子学生「これ、ロフトですよ〜。すごいかわいいんです、みてください!」

=============================================

この後、手帳について、15分くらい話して、学生の日々の時間の使い方についても勉強になりました。

そのほかに有効だった掘り下げ質問
ポイントは「目の前に見えているもので会話する」そして「褒める」!

とりあえず、色々な質問パターンがあると思うのですが、だいたい有効なのが、上述にもなるのですが、そのヒト独自の持ち物や特徴など見えているもので会話スタートすること。

例えば、

「そのカップヌードルおいしい?」
「仲良いね、君ら同じゼミとか?」
「君ら、いっつもそこの席座ってるよね。(*3回目以降くらい)」
「あなた、いっつも真面目にノートとってるよね。」

などのような感じ。

*上記は、会話は続かなくていいので、とりあえず話しかけておければOKな感じに意識するのがコツです。

そのほか、わざと外すパターンもありです。

==========================================

私「あなた、さっきコンビニいたよね?」
→男子学生「いや、いないですよ〜^^;」
→私「あれ〜、ごめん!似た人か。」

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ここで大事なのは、続かなくても、とりあえず会話をしておくこと。

ブランディングでもそうなのですが、

・一回、接点をもった商品やサービス

・そうではないものでは、

その後の購入率に大きな差が出たりします。

この考えで、とりあえず、学生に話しかけるのは大事で、それも

「ほかの先生はこういうの聞いてくれないよなぁ。」

という質問の仕方が

「この先生違うぞ!」

と思ってもらえるので有効だと、何回か講義してて気づかされました。

*変な人とも思われるのですが、そこはもう開き直ることで心を保っています・・・。

*また、学生によっては有効だったりもするのですが、原則、「インターンとか行ってるの?」「これから就活?」とか、ある種のプレッシャーに感じてしまう質問は最初は避ける方が無難かと思います。


「でも、
それ榎本さんのキャラだからできるのでは・・?」

前にこれを伝えた時に、このような回答が返ってきたことがあります。

確かに、質問内容はその通りだと思います。

私の場合、

・年齢が近い講師
なのと
・見た目の優位性(学生と近い)

は多少あるような気はします。
(良くも悪くも・・・。)

ただ、実際に私よりも目上の先生でも質問内容は違えど、エッセンスは共通で実践されている方が多くいらっしゃいました。

そのエッセンスとは

「学生1人1人と目を見て話し合い、こちらから心を開くこと」

です。

ある先生は、

ちょっと聞きたいことあるのですが、
みなさんのお友達はどんなSNSを主に使っていますか?」

「この講義の履修っていつまでかご存知ですか?」

のような質問をされているそうです。

講師は学生から見ると遠い存在!
だからこそ、こちらから、その距離を近づける努力が大切だと思います。

昨年、ある学生と食事を一緒にしていたのですが

「やっぱ、榎本さん、社長ですし、そもそも講師なので、
話しかけづらいですよ〜。」

というフィードバックをいただきました。

このフィードバックが真実で、大半の学生がそう感じているのであれば、これは

「学生の方から心を開いてくれるなんてことはありえない」

くらいの心構えが必要だと、改めて気づかされた次第です。

もちろん、講師それぞれにスタンスや、やり方はあると思います。

ただ、共通して大切だと感じていることは、

「学生とはいえ、人と人、
大切なのはコミュニケーションをとろうとする姿勢」

ということです。

私のミッション
「世界中の人が変わる"きっかけ"を創り続ける」

最後にかなり大それた話ですが、弊社および私のミッションについてお話しさせてください。

私自身、大学の講師業をやらせていただいている一番の理由として

「私や私の講義を通して、学生たちの未来が変わる"きっかけ"を提供したい」

という気持ちがあります。

*これは私が19歳の時に出会った予備校講師の強い影響からきています。

そのためには、やはり「1人1人の今と未来」をしっかりと考え、具体的な施策を行う工夫や思考が大切だと感じています。

これは何も学生に限った話ではなく、企業研修であったり、自社のセミナーでもそうなのですが、「教育」というものには無限の可能性があるように感じていて、そこに大切なのは

「教育者のコア(哲学/信念)」

な気がしています。

今日の話は、テクニック論のように書かせていただきましたが、

「講義前のコミュニケーション能力のコア(幹)」

「1人1人にとって、最適化した講義を届ける準備
=それぞれに未来の何か影響を与える講義を完成させる」

なのだと私自身感じている次第です。

ということで、200名近い学生を毎回全員把握するのは大変ですが、少しでも、最適な講義をするためには

「ミッション・ビジョンと心構えなどを大切にする(言語化し実践する)こと」

はすごく大切だと日々感じております。

*ちょっと話が飛躍しすぎてすいません^^;

ちなみに、かなり細かく言うと、「教壇から降りて、学生と同じ目線でしゃべる」とか「最初に時事ニュースの解説から入る」とか色々とあるのですが、それはおいおい書こうと思います。

本日はここまでにさせてください。(思ったより長くなってすいません^^;)

次回は、多分、「学生に興味をもってもらうには?」の第2弾で、「QA形式の導入」について書こうかと思います。

本日も、読了いただき、まことにありがとうございました。

*ちなみに過去の講義も下記にだいたいアップしてますので、ご興味ございましたら。(一部講演スライドなども含みます。)

https://www.slideshare.net/shinsakuenomoto/presentations


何かアイデアがあれば下記の質問箱(peing)までいただけるとうれしいです。


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*榎本晋作のプロフィールは下記ページにございます。


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毎週水曜日にウェブマーケティングのセミナーやっております(毎度、定型とはいえ、お知らせが多くて申し訳ありません・・。)




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