DJ:アニソンインデックス!!公募企画2018一次審査MIX作成について


アニソンDJとして活動するきかっけとなった東京のイベントへの出演を目指し、公募企画へと挑戦した一人の田舎者のお話。

■はじめに:自己紹介

こんにちは。えーかわ a.k.a こーへーです。

初めての人は初めまして。Twitterやクラブでお世話になっている人はいつもありがとうございます。
私は普段は福井県でアニソンのDJや、イベントのオーガナイズ(主催)をやっています。
地元である福井県で、当時まだ県内では他になかったアニソン/アキバ系といわれる音楽のパーティをかれこれ6年ほど運営しており、自分自身もDJとして活動しています。

■公募参加への経緯

アニソンのイベントやDJをやるようにとなったのは、2010年ごろ、私がたまたまTwitterで見かけたDJストリームで、ある人物がアニソンを使って矢継ぎ早にミックスをしていくのを見て衝撃を受けたことに始まります。
そう、その人こそがアニソンインデックス!!レギュラーDJであるDJ Gyaranさんでした。

当時、たまにクラブに足を運んではいたものの、歌モノのポップスをいとも簡単に次々と紡いでいく様子は新鮮で、若かった私には非常に衝撃的でした。
その彼が所属しているイベントに遊びに行こう!と思い、東京は秋葉原のMOGRAへ。初めて行ったアニクラ(当時はそんな言葉もありませんでしたが)がアニソンインデックス!!ということになります。

自分もDJがやりたい!と考え、そこから機材を買い独学で練習し、なんとか出演者を集めて自分でもパーティを始めて...としているうちに、気づいたら7年の月日が。今では長老の部類です。
そんな中、県外のイベントには積極的に遊びに行き、いろんなものを吸収してきました。その中でもアニソンインデックス!!は原曲アニソンのパーティでは依然最高峰であり、憧れのステージという印象を持っていました。

京都Nine Musezで仲良くなったガイが公募を通過し出演したときも応援に行ったりと、個人的に思い入れと憧れが深くなっていく一方、自分自身はソロでのMOGRA出演は未だ果たせておらず、チャンスがあれば出演機会を得たいという状況でした。

2018年末、そこに舞い込んできたアニソンインデックス!!DJ公募企画の情報。これは是非とも参加したいと考え、挑戦することになります。

今回の公募では、インデックスレギュラー10名に公募枠をそれぞれ10名まで設け一次審査を行い、それぞれのメンバーが選んだ1名が二次審査へと進みます。
二次審査ではオーガナイザーであるDJ SAAYAさんが提示した課題曲を織り交ぜたMIXを作成、一次審査を勝ち抜いた10名の中から選出された1名が出演件を得るというものです。

私が一次審査の提出先へと選んだのは、DJ Gyaranさん。
前述のとおり、私が最も影響を受けたDJであり、憧れの存在へと挑戦していくことに。

■公募MIXに求められるもの:現場でのDJ、作品としてのMIXとの違い

さて、前置きが長くなりましたが、いよいよ憧れのイベントへの出演権をかけて、全国のDJと戦うためのMIXを作成することとなりました。

実は以前に他の公募企画に参加したことはあるものの、箸にも棒にもかからずといった結果に終わったこともあり、改めて公募MIXというものについて向き合い直す、良い機会となりました。

私がDJとして行ってきたプレイは大きく3つあります。
まず現場でのDJ。
MIXCDやDLを目的とした、作品としてのDJ。
そして今回のような公募企画やプロモーションのためのMIX作成の3つです。

イベント会場(クラブ)でのDJは、自分の前後にもDJがおり、また目の前にはお客さんがいます。
そのパーティの持つ雰囲気や全体的な流れ、その日のDJの持ち時間、お客さんの傾向や反応、前後のDJとの転換、さまざまな要因が絡んで、一日限りのパーティが出来上がるわけです。
これが自分のやりたい事なんだ!と、我の強いプレイを通すのもいいんですが、全員がそれではイベントは成り立ちません。皆さんある程度は共演者やお客さんのことを考えているものだと思います。

作品としてのMIX、これは逆に自分の我を通したものになります。
その時の自分が表現したいテーマや、コンセプトに基づいて選曲し、ひとつの作品として完成させていくわけです。
他のDJと曲が被る心配もなければ、伝えたいのは目の前にいるお客さんではなく、CDであれば渡す相手、Webにアップするのであれば、自分のDJを聴いてくれる、まだ見ぬ誰か。
クラブで行うDJプレイとは多少なりとも違ったものになります。

ちなみに私も昨年の春にフリーDLでDJMIXを配布しております。興味のある方は是非チェックしてみてください。

では今回の、公募のためのMIXについてはどうでしょうか。
録音するときに目の前にお客さんはいません。しかし目指しているのはイベントでのDJです。
他の人との曲被りの心配は?これも基本的にはありません。
聴いてもらいたい相手は明確か?今回の場合は1名を狙い撃ちしつつも、mixcloudを通しての応募のため、不特定多数にアピールする場でもあります(ややこしくてすみません)。

そう、今回の公募は現場でのDJと作品としてのMIXのおおよそ中間のようなものと考えられます。
目標とするイベントやお客さんのことを考えつつ、自分の持つ技術やスタイルをアピールするということを両立させる必要があり、それを目的としたMIXの作成が最終的に目指すところとなります。

■そして完成したMIX

作品の方向性が見え、選曲や構成を行なっていくこととなるのですが、具体的に何をどうしていったのか。
実際に今回私が提出したMIXを基に話をしていきましょう。こちらです。

まず最初は構成について。
正直ここが私の拘っているポイントの大部分で、ざっくり60%以上の重要度があると考えます。
というのも、私にはバトルDJのようなターンテーブリズム(スクラッチ・ジャグリング等に代表されるテクニック)の技術は無く、所謂クラブDJのようなMIXしか出来ません。逆にその状態で約7年間DJとして県外のパーティにお声がけ頂いたりする事が出来たのは、DJプレイにおける構成の部分が評価されているからだと推測しています。

では構成でどのように他の挑戦者と差をつけていくか。
基本的には他の人があまりやらないことをやればいいわけです。

DJ機材を買って、基本的なMIXの仕方を覚えて、アニソンをプレイするとまず最初にどんなプレイになるか。
人によって差はありますが、一番多いパターンはBPM130付近で始まり、徐々にBPMを上げて行き170から180台で終えるというものです。

若いDJの方からデモ音源をもらったり、クラウドサービス等で色んなMIXを聴いたりしますが、ことアニソンの場合に於いてはこのパターンが一番多いです。

もちろん、それが一概に悪いというわけではなく、現場でのプレイの場合こういうDJが必要な場面、パーティにとっての正解である場面はごまんとあります。私もよくやります。

しかし今回は公募。計100人の中から10人に選ばれることを目的としつつ、あわよくば他の参加者やDJにも聴いてもらえるというチャンス。凡庸な構成で望むのは悪手と考えます。

私は現場のDJでも持ち時間を2~3分割で考え、緩急をつけるプレイを心がけていることが多いです。
理由は2つあり、ずっと単調なプレイでお客さんが飽きてしまうことを避けるということ、その日自分がかけたい曲調にまとまりが無いことが多々あるということからです。
これはアニソンというのはカテゴリやタグのようなものであり、音楽ジャンルとは似て非なる存在と考えているためです。
極端な話、インストゥルメンタルのテクノからゴリゴリのロックまで、声優さんが歌っている曲も、アーティストのタイアップ曲も、アニメで使われたらすべてアニソンにカテゴライズされますからね。

少し話がそれましたが、兎に角今回は緩急をつけたMIXを作成することにしました。中でも多くのアニソンDJが最初に当たるであろう壁のBPMを途中で落とすという展開を効果的に使うことにしました。

これは様々な手法があります。

1.TVサイズをフルがけ。
技術的介入要素もなく、音の繋がりに関して問われることもまずありません。

2.カットイン。
これも実用的です。ブレイクのある曲の間奏の終わりから次の曲のドラムのフィルに合わせるのが一番多いパターンでしょうか。

3.空間系のエフェクターで飛ばすという手法。
私のようにエクスターナルでプレイするDJにとっては、現場に置いてあるミキサーに左右されるという裏目もありますが、今回のように自宅で録音する場合は有効と言えます。

4.途中でBPMがトランジションする曲を使う。
限定的ではありますが、これも有効です。ただ、上がる曲は数あれど、途中でBPMが下がる曲は比較的少ない印象です。

今回はそのどれでもなく、同じ曲のアカペラを使うという手法を用いました。
強いて言えばTVサイズとカットインの複合技です。

実際にお聴きいただくのが早いかと思いますが、サビの途中でアカペラ音源にカットインし、間奏で一気にBPMを落としています。
それも開始6分と、比較的早い位置に落とすポイントを置いています。
これはmixcloudを用いた公募という特性上、あまり長く単調な展開が続くと、途中で切られて他の人のMIXを聴く人が多いと考えたためです。1本40分あるわけですから、DJMIXの持つリスナーへの可処分時間の奪い方を考えると、なるべく前半で強烈に印象に残る部分を作るのが効果的と考えました。

そこからの展開ですが、先に述べたとおり、いくつかのパート分けを意識して選曲をしていきました。聴きながら「ここからここまでが1セットなんだな~」とか感じていただけたら幸いです。
今回に限らずMIXを作るときに関して言えば、私の場合おおよその骨格だけ決めてから肉付けをしていくイメージです。

では続いて選曲について。
アニソンインデックス!!というくらいですから、目録・目次のような、古今東西わかりやすい曲がコンセプトになっており、何度か遊びに行った時にもそれは感じていました。そして、その盛り上がりこそが真骨頂でもありました。

私個人は、最近ですと声優楽曲やナナシス等のゲーム楽曲をDJに取り入れる傾向が強く、純粋なアニソンだけのMIXというのはほぼ無くなって来ています。

私がDJを始めたころに比べて各イベントが寛容になったり、ラブライブ!をはじめとするメディアミックス戦略やソシャゲの台頭により、ジャンルの細分化がしきれなくなったこともあり、当時ほどアニソンイベントではアニソンを、という風潮は無くなったものの、今回はアニソンタイアップに拘って選曲していこうと決めます。
あくまでここで個性をアピールするのはやめようという考えに至ったわけです。

また、審査員の好きなアーティストの曲を多く詰め込むのも、この一次審査に関してはやめました。
今回mixcloudを通じての審査であるということから、世界中の人にMIXを聴いて貰えるチャンスがあり、そこで1人を狙い撃ちするような選曲で攻めるのはあまり良い手ではないと考えたためです。
逆に二次に進出した場合は、審査員をレペゼンしてGyaranさんの好きな曲を効果的に使っていこう、そして選曲でもっと自分の色を出そうというのも、この時点から決めていました。

そして最後のポイント、自分のルーティンを詰め込むということ。
ターンテーブリズムは出来ませんが、現場で何度もやった繋ぎ、自分なりに見つけた自信のある繋ぎ方というものが、少ないながらもありました。
前述したアカペラを用いたものもそうですし、間奏がうまく使えて次の曲を効果的に聴かせられる、ループを使って綺麗に繋いでいく、などの手法です。

なので、私のDJを何度も見ているというマニアックな方(ありがとうございます)は、「あ、この繋ぎ聴いたことある!」という感想を持たれたかもしれません。
それでも、今回は自分の7年間のDJとして培ったスキルを試す意味での公募挑戦でもあったため、持てる技術のすべてを導入する勢いで、出来るだけ多く定番の繋ぎを使っていきました。

■結果は...?

と、色々考えて作った甲斐あり、目標である一次審査を通過することが出来ました!

個人的には、同じ北陸は金沢からINNERMANが選出されたのも嬉しかったですが、何より自分が憧れのDJから選んでいただけたこと、このようなコンペティションで結果を出すということ自体が初めてだったため、メールを貰った瞬間には思わず涙がこぼれました。

その後遊びに行った現場などで、会う人会う人から次々に祝福の言葉をいただいたり、界隈でも注目されていた公募企画だっただけに、喜びもひとしおでした。

しかし喜びも束の間、二次審査へ向けて挑戦は続くわけですが....この辺の話はまた要望があれば(気が向けば)書いていきたいと考えています。

普段はだいたいTwitterに貼り付いているので、感想等送っていただけたら、とても嬉しいです。

■全曲解説:選曲理由、構成や繋ぎのポイントについて

さて、ここからは少しマニアックなお話。今回採用した29曲の選曲理由や、各繋ぎのポイントについて解説していきます。実際のMIXを聴きながら読んでいただくと、より具体的なイメージがつかみやすいかもしれません。

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