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手に入れておきたいプロのマインドを、サロンで思い知らされるとは

「ゆっくり目を開けてください」

彼女の声にうながされて、目を開ける。

「違和感ございませんか?120本つきました!」

なんと!!あの時間からで、わたしもさすがにフル施術は諦めてたわ。まじかーーほんっとありがとうございます。おかげで気持ち高めてライブ会場に迎えます…

お会計のときに改めて、時間に遅れたことと、それでも対応してくれたことに感謝を伝えると、「よかったです〜お時間内に終わらせられて」とほっとした様子で笑ってくれた。彼女の仕事ぶりに、プロ根性を見た。


与えられた条件の中で、状況にあわせた最善を尽くせるひとが、プロと呼ばれるひとなのかも知れないと思う。


マツエクに電車で向かうつもりだったが、予定の電車が遅延していた。運転再開したばかりで、ダイヤが乱れているらしい。

は!そんなこと言わないで!!

行こうとしているサロンは、今回初めて行くところ。ライブが本日13時30分会場。前日に「ライブ前に絶対まつげ増やしたい!」と、行き当たりばったり人生のわたしにはあるあるの直前の思いつきを、唯一叶えてくれるお店がそこだった。

可能なら!と思い立った前日昼にのぞいてみたいつもお世話になっている自宅近くのサロンはさすがにその日は予約がいっぱい。思いついてしまったからには諦めきれないわたしが、時間に間に合う範囲で何とかならないかと探しに探して、やっとのことで探し出したサロンだったのだ。


ライブ前にどーーーしてもまつげ増やしたいから、私としてはどんなに遅れても、施術してもらてるなら行くつもり。エクステ120本で予約しているのが、100本とか80本になろうとも。
でも、あまりに遅くなると対応自体ができない旨も但し書きに書いてある。ねぇ、それって何分遅れからの対応ですか?ちなみに、乗り換えがあるからまだ到着時間の見込みがたっていないのだけれど。

電車の遅延は公共機関なんだから仕方がないし、速やかに復旧させてくれた鉄道会社の皆さんにはお礼を言いたい。おかげでライブには確実に間に合います。ありがとうございます!最悪、ライブ会場に行けなかったもんね。


そんなこんなでテンショングラグラしながら、乗り換え時に遅刻は確実である旨を電話。すっかり秋モードになって長袖姿の人も増えた中、わたしだけがサロンまでの坂をダッシュして真夏みたいに暑かった。長袖着てきたの失敗だったー。

サロンに着くと、初回だったので個人情報あれこれの登録作業をし、速やかに施術用のベッドへ。あ、寝心地よい…

マツエク経験者なのを分かってか、パッチテストやアレルギーの説明もきちんとしつつも最低限にとどめてくれる担当さん、あなた仕事できますね…!
ベッドに横になってから、カールの強さと長さ、色とデザインを決めるのは個人的にこれまでにない経験。多くは座った状態でのカウセリング中に説明受けながら決めるもんね。
わたしもわたしではやく施術はじめて120本付け切ってほしい気持ちでいっぱいなので、「一番強いカールの、真ん中が長いデザインで。長さは、今ついてるものと揃えていただいて、サイトは1ミリずつ短くしてください。」と必要最低限の希望を伝える。きっとこれが最短です。

そんな伝え方に、担当してくれるお姉さんもただならぬ120本への圧を感じたのか、過剰にリピートしたり質問し返したりすることもなく「わかりました。お時間内にできる限り120本付け切れるように努めますね」とだけ伝えて、準備に入った。

この時点ですでに20分近く経過。んんーーさすがに間に合わないかも…だってこんな日に限って、オフからお願いしてるんだもん。ごめんやで。

とにかく後は彼女にお任せ。わたしは目を閉じて、できるだけ静かに寝転んでいるしかない。初対面なので、担当さんの経験年数とかはわからないけれど、丁寧かつテンポがいいことは伺い知れる。うわーー急いでくれてるよね、ほんっとうにありがとう!



「ショーは生物だ。それに対応するなんて当たり前のことだろ。」

わたしが人生で何度も観ていて、日常のなかでセリフが再生されてしまうミュージカル•『Endless SHOCK』でのコウイチの言葉が浮かぶ。

わたし自身、あちこちで思いがけないことが起きて、臨機応変の対応が求められる現場で長く働いてきた。そんなとき、「ここではこんなふうにしようと思っていたのに!」と、予定していた案を使えなくなり焦ったり、いらだってしまうこともなくはない。

それでも、条件が整っているときじゃないと対応できないなんてプロとは言えないのかもしれないと思わされる場面だった。

例えばわたしの今の仕事の一つ•インタビューも、思いがけないことの連続。会場についてから営業さんに別テーマでの質問を要望される。行ってみたら、聞いていた人と別の社内メンバーに質問することになっていた。そんなことはザラにある。一度なんて、送ってもらった住所が間違っていて、その場で大移動しなければならないことまであった。さすがにそこまで行くと、予定も何もあったもんじゃない。

そんなときも、結局はやらなくちゃいけないんだから。与えられた条件のなかで、何をどうするのがベストなのか。時間内に、相手の良さをどれだけ探って、伝えられるものを持ち帰れるか。

そんな場面がきたら、「それに対応するなんて当たり前」のコウイチマインドで、さらりと乗り切ってみせたい。だってわたしも、プロだから。

マツエクの担当さんも、内心は「まじか…」とか思ったのかもしれない。それでも、電話対応でも対面でもそんなそぶり少しも見せずに、こちらに寄り添いつつ、自分の仕事にベストを尽くしていた。そんな風に、わたしもなりたい。

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