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短歌ネプリ「月九」第5回感想

#短歌月九ネプリ

メンバーではありますが、今月号の感想を書きましたー!前回と同じく歌は伏せてくスタイルにしたので、気になるなーって思った方は是非ともコンビニへ!
今月の主演は池田明日香さん、テーマは「音」です。
6/6まで配信してるので、よろしくどうぞー!

◯2首目/池田明日香さん
ヤブイヌって野良犬みたいな犬の呼び方の一種なのかなぁ?と思って念のため検索してみたら、犬とは別の生き物でした。失礼しました。ちなみに、タヌキとフェレットの親戚って感じの見た目です。かわいかった。
歌の終わり方がよじれてるのが面白いなぁって思いました。そうか、それを希望とするのか、救いはないのに?って。だからこそ、フックがあるというか、心に残る歌でした。私たちはヤブイヌのことを忘れてはいけないし、ヤブイヌの明日のことを考え続けなきゃいけない。

◯2首目/近江瞬さん
つい最近アメリカの州で中絶を禁止する法が可決された。私はその法には反対だけど、それはまた別の話で、近江さんのこの歌を読んで「こころが生まれるのはいつからなのだろう?」って考えた。言語というか思考を確立してからとするなら、産まれてからもしばらく心がないことになってしまい、それは違う気がする。結局こたえは特に出てないのだけど、心臓が動き始めたら心はもうあるのかもなぁって思った。哲学っぽくてむずかしい。生物的な話にすると、受精した初期の細胞はまだどの器官になるか決まってない。ある時期を過ぎたら、それぞれなるべき器官が決まった細胞に分裂していくので、「はじまりの細胞」はきみの体すべてなのだと考えることもできるのではないだろうか。私にとって大事なきみの体のありとあらゆる所すべてに、きみの心がある。だからきみが大事ですということなら、それってめっちゃ愛じゃん?と思う。そういうことに思いを馳せながら、てのひらで心音を感じれる距離にいるのって、めっちゃ幸せだなーって。妊婦さんか親目線の歌なのかなと思うんだけど、詠まれてるのが恋人同士だとしても同じように深い愛の歌だと思う。

◯3首目/御殿山みなみさん
あんまり音楽では泣かない私にも泣きそうになる曲はあって、それは曲の歌詞とかではなくてその曲について回る思い出のチカラが大きい。だからサビまでたどり着けない主体の感じは、なんとなくわかる。サビの前でもう記憶に持っていかれて、曲に聴き入るどころじゃなくなるから。この歌はそんな状態を誰かに説明してる途中で主体が「あぁそうか。だからなのか。」って気づくのがなんとも切ない。いつか傷が癒えて、サビまでちゃんと聴けるくらいになるといいねと思う。

◯3首目/シリウスさん
え、録音されてるの?恋人の声が??ってまず不思議になって、乙女ゲームとかの話なのかなってところに落ち着いた。留守電に残ってる気の無いメッセージとかだったら、寂しすぎると思ったので。だったらゲームやアニメのほうがいい。結句からガチャで課金してるゲームっぽさが感じられる、のはさすがに強引かなぁ。でも今日はハズレを引いたけど、明日になったら当たりのスチルと音声付きのガチャを引くかもしれないんだから、現実よりも二次元のほうがやさしいこともあるってことで、面白いなーと思う。

◯2首目/西村曜さん
今回のネプリで「めちゃ荘厳な景を詠んでる!」っていちばんテンションが上がったのがこの歌。映画や物語のはじまりのような。イメージしやすく、それでいて荘厳。ここからなにか始まるんだろうな!っていうワクワク感。つづきはー?ここからどうなるの??って訊きに行きたい。ここから平凡な生が始まったとしても、それはそれで面白い。ねぇ、わが生の続きを教えてくださいよぅ。

◯1首目/平出奔さん
とにかく軽快。テンポが最高!宅急便でも待ってたのか、うっかり出ちゃった時の集金のひとだったパターンが目に浮かぶ。躊躇すると嘘だと疑われてしまうから、返事のスピードが大事!とばかりの即答。繰り返し読んでも「ほんとうに軽快でいいなぁ」と思う。ほかの歌も相変わらず軽快だけど、特にこの歌がすき。

◯2首目/若枝あらうさん
音楽やってるひとの直球な連作だ!って読んで嬉しくなった。逃げがないのってすごくないですか?特に2首目のこの歌は誰でも知ってる音楽用語をうまく使っての匂わせエロスでした。上品なんだけど、なんかちょっと大人の感じがするというか。なにもはっきり明言されてないのに、なんかエロい!ような気がする。気のせい?いや、やっぱエロいよね??主体はなにをしてるんだろう。

◯2首目/若紫音佳さん
おとかさんが最近サッカーにハマっているのはTwitterで知ってたのですが、競技に限らず推しチームがある人なら「わかる!」ってなるようなアツい思いが感じられる連作でした。私は日ハムファイターズファンなので、もう引退された稲葉さんがバッターボックスに立ったとき、稲葉ジャンプで応援するスタンドの振動で近所の家が揺れていたらしいっていうエピソードを思い出しました。つまりファンがいるとき、スタジアムもドームも生きてるんですよ!サポーターのアツい思いを動力として!!アツい!!それが楽しい!!
あー、久しぶりにスポーツ観に行きたいなー。

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