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『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』の原作イジりの面白さについて

『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』(以下、『犯人たちの事件簿』)が大好きでして、初めて読んだときは声を出して笑いました。

この作品は、金田一シリーズを犯人目線で描き直したスピンオフ作品なのですが、とにかく原作をイジります。こんなに原作をいじって怒られないの?とヒヤヒヤするぐらいに金田一シリーズをイジり倒すところがこの作品の魅力です。

設定をイジる

特徴的なイジりをしたのが2巻の「悲恋湖(ひれんこ)伝説殺人事件」でした。

この事件は、過去に恋人を殺害された男性の復讐劇です。恋人を殺害した犯人は逮捕されておらず、犯人の手がかりはイニシャルが「S・K」ということだけ。

男性は、事件現場にいたイニシャルS・Kの人物9名をとある場所に呼び出し、全員を殺害していきます。

この事件、冷静に考えるとムチャクチャな設定です。ただ、当時の金田一読者はみんな「今回の事件はそうきたか」と普通に受け入れていたはずです。

本作はそんな「現実世界」と「金田一の世界」のギャップを徹底的にイジります。

どうイジるかというと、事件の犯人を「S・K」に取りつかれた人物として描いてしまうのです。

犯人は「S・K」が大好き。セリフでとにかく「S・K」を多用します。

「S・K」という設定をこれでもかとイジるのです。

原作の設定をイジって、イジって、イジり倒すことで、笑いを生み出します。

表紙でもイジる

『犯人たちの事件簿』の表紙はこちらです。

最初に読んだ時は、「なんで原作に忠実な表紙にしたんだろう?」って思いました。

「表紙でもその面白さを前面に出せばいいのに。この表紙では作品の面白さが伝わらないんじゃないか?」と。

ただ、読んでいくうちに思い直しました。この表紙がすでに原作をイジっている気がしてきたのです。

あえて表紙を原作忠実に描くことで、イジりの前フリをしているように思うのです。

表紙の前フリ

(以下のセリフは妄想です。)

作者「金田一シリーズを犯人目線で描いた作品ができました!」

表紙「原作に忠実です!」(キリッ)

作者「表紙で分かる通り、真面目に描きました。真面目に描いたら、なぜだかこうなりました。」

作者「ふざけてません!金田一ファンの方々怒らないでください!原作そのままに犯人目線で描きました!」

表紙「原作に忠実です!」(キリッ)

作者「そしたら不思議とこうなったんです。」

(セリフはあくまで妄想です)

表紙で原作そのまま感を醸し出すことで、中身のイジりがより際立っているように思えます。

そう考えると、この表紙もなんだか笑えてきませんか?

原作イジりに徹底的にこだわることで、類を見ない笑いを生み出している『犯人たちの事件簿』。原作を読んでいなくても楽しめる内容ですので、笑えるマンガをお探しの方はぜひ読んでみてください。

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