公正証書による事実婚の契約内容の一部を解説します

事実婚にあたり、公正証書で契約書を作成したことで各種メディアに取材いただいたり、メッセやメールで「私も事実婚だったけど、こういう方法を知りたかった」「事実婚を検討してるけど参考になった」というご連絡やご意見をたくさんいただいたりしました。人ぞれぞれ、既存の制度と価値観の狭間のなかで、結婚や出産においていろんな悩みや苦労があることを改めて実感しています。

同時に「可能であれば契約の内容を知りたい」という声もいただきました。すべてを公開するのはプライバシーに関わることなので難しいですが、どういった項目か、その項目がどういう内容を入れ込んでいるのか、一部解説してみたいと思います。

とはいえ、ここに挙げたものがすべてではないのでこれらを盛り込めば契約書が完成するわけではなく、あくまで参考程度としてご理解ください。

なお、私は行政書士などの専門家ではありませんので説明内容が稚拙だったり、内容に不足があったりするかもしれません。一個人として契約書を作成するにあたって考えたこと理解したことを踏まえながら、できるだけわかりやすくまとめてみたいと思います。

公正証書による事実婚契約書については、事実婚に関して知見や経験がある行政書士(夫婦別姓.com等)にきちんとご相談ください。

目的

そもそものこの契約書の目的を明記します。ここでは、互いに婚姻に相当する関係を築くことを目的にしますよ、民法その他の法令が定める配偶者と同等の関係を持つことを双方が合意してますよ、合意締結後は、夫婦として相互扶助しあうことを誓いますといった内容になるかと思います。

もちろん、人によっては目的や内容が違った契約があると思いますので、それぞれの夫婦、パートナーできちんと協議し、次項から記載する契約内容を踏まえた上で目的を設定しましょう。

また、契約書は夫と妻の二人の間の契約ですので、第三者(夫のお父さん、妻のお母さん等)の行動を縛ることはできません。あくまで、当人間における契約です。親族全般の行動を縛ることはできません。

確認事項

夫と妻のそれぞれの身元確認です。本契約書内もしくは別紙で、現在・過去の婚姻の有無、実子や養子の有無、互いの資産状況、親族関係(父、母や兄弟)等をまとめます。ここで書かれた内容に不備があった場合は、契約解除の要因となるので嘘をつかず正直に書きましょう。

禁止事項

一方が死亡しない限り、絶対にやってはいけないことです。この禁止事項や次の事項の遵守事項あたりが契約の主なポイントの一つになることでしょう。禁止事項、遵守事項に違反した場合は、後に出てくる契約解除や損害賠償金などに関わってきます。

民法に即すと、重婚禁止や不貞行為禁止、他方を悪意で遺棄(夫婦または養子縁組の当事者が、同居や扶助、扶養などの義務を怠ること)することを禁止する内容といったものをここで明記していきます。

他にも、夫婦生活、結婚生活における禁止事項を考えてみると良いかもしれません。考える上で大事なのは、双方が納得し、合意することが前提ですので、一方が他方を押し付け、縛り付けることを盛り込むのはやめましょう。

遵守事項

約束事として守りましょうという内容です。夫婦間、パートナー間によってどのような内容を明記するかは変わってくることでしょう。遵守が前提のため、この約束事が守られていないと契約解除の原因や損害賠償金の原因となってきます。

民法に即すと、同居、相互扶助、子供の扶養などが挙げられます。家庭に関わる支出に関して、互いにどれくらい家にお金を入れるかといったこともここでは明記することになります。具体的な金額を書くというよりも、双方の収入と事情を踏まえ互いに必要かつ適切な生活費を捻出する、といった内容になるかと思います。

事実婚特有のものとしては、住民票で世帯合併(片方が世帯主となり、もう片方が「夫(未届)」「妻(未届)」という続柄にする)で夫婦の証明とするので、世帯合併し同一住所登録することもここで記載することになるでしょう。(基本は夫婦同居がベースですが、夫婦別居の可能性も場合にあるかもしれませんが、世帯合併しないと事実婚では夫婦としての証明はしにくいかも)

その他、夫婦生活、家族生活においての約束事をまとめます。禁止事項でも触れていますがこの遵守事項に内容に不履行があれば契約解除の要因になりますので、どういった内容にするかきちんと議論しましょう。

委任事項

事実婚は法律婚と違い戸籍は夫婦それぞれが独立したものになるため、パートナーに対して法律婚における配偶者のような措置や優遇がありません。あくまで互いに独立した個人であることを前提としてるので、このように委任する内容を書き記すことになります。

明記する内容の一つに医療行為の同意があります。基本的に、医療行為の判断は本人が行うのが原則です。なので、法律婚であろうが事実婚であろうが、医療行為の同意は本人でしかできません。しかし、現状では配偶者や家族にも情報提供がなされ、それらを踏まえて配偶者が医療判断をすることもあるのが事実です。

そこで、配偶者として行使できる権限のもと、他方の医療行為についての説明を受けることをきちんと証明することや、事故などによって本人の判断能力が難しい状況になった時に、パートナーに対して医療侵襲の同意や治療方針を決定することを委任する、という内容をここでは盛り込むことができます。そうすることで、万が一何か会ったときにも事実婚のパートナーでも医療行為を判断することができます。また、事実婚であることは可能であればかかりつけの医師や病院に予め伝えておくと、何かあったときにもスムーズに対応してくれます。

もう一つが、親権の委任です。法律婚では、同一戸籍に夫婦がいることで、親権はともに保有している形ですが、事実婚では戸籍が別々のため夫婦のどちらか片方しか親権が持てません。もちろん、夫婦円満であれば、仮に片方しか親権がなかろうと、現実的な運用においては問題ありません。とはいえ何かあった際の判断においては、親権保有者と親権非保有者には権利的な非対称性があるのは事実です。実際、銀行などの口座開設は親権者でなければ作れないなど、他にも子供の様々な決定権においては親権者であることが前提となります。

一般的には、氏(苗字)が同一であることでほぼほぼ実親であることを証明する形になりますが、現在の事実婚では親権者と子供の間で氏が違うことも十分にありえます。そうしたときに、窓口では色々と説明が面倒なんですよね。ここでは、上記同様に、事故や病気などで自身が判断能力がない状況に陥った時には、親権者がもう一方に対して親権を委任しますよ、といったことを盛り込むことができます。

他にも、委任すべき内容を議論し、盛り込むことができます。委任は、基本的に夫婦が互いの元気であれば、双方が協議して家族生活を営んでいけばよく、そこまで大きな問題にはならないでしょう。また、仮に親権等の権利を持っている片方が一方的に決定を進めてしまった場合、上記の禁止事項や遵守事項に反していることと言えるので、それは契約解除の要因にもなりえます。

ここでは、あくまで委任することが明確なものだけを挙げており、互いの財産管理などのものは入れ込んでいません。例えば、任意後見人契約のように、認知症など判断能力が低下したことを踏まえて、後見人として財産管理を依頼することなどを別途、契約書を作成することになります。

夫婦のみで子供がいない場合は、自身の保護をしてくれる人をパートナーに選任するプロセスが必要になります。別途、任意後見人をしたほうがいいでしょう。子供がいる、もしくは子供がもうすぐ生まれることが明確な場合、子供が成人になれば自動的に法定後見人として自分の財産管理を子供が行う権利を保有することができます。

しかし、子供が未成年時に自身が認知症などになった、もしくは子供が成人前に亡くなったりした場合などの不測の事態のことを考えると、互いのパートナー同士で任意後見人を結ぶとより安全です。もちろん、子供が無事に成人になれば自動的に法定後見人になりますので、徒労に終わるかもしれませんが、万が一のことを考えるとこうした選択肢も選んでおくとより安心して過ごせるはずです。

任意後見契約については詳しく知りたい人は以下をご覧ください。

財産の帰属

結婚以前に互いに持っていた財産を決め、本契約以後の財産をどうするかを決めます。民法では法律結婚後は実質的に共有財産となるため、事実婚であっても法律婚と同等とするのであれば、共有財産を明記することになります。共有財産にしないのであれば、その旨と内容を明記することになります。

事実婚夫婦が、どちらか片方名義で家等の資産を購入(資金を互いに分配しつつも契約主体は一人)した場合、その家は共有財産とするか、共有財産とする場合、その比率は資金捻出の比率と同等か、仮に契約解除になった場合にどうするか、などもここに明記することになるでしょう。

合意による契約解除

互いに納得した上での契約解除、いわゆる「離婚」になります。その旨をまとめた内容を明記します。互いに合意した上であれば、スムーズに契約解除することができるでしょう。

合意によらない契約解除

一方的に契約解除を行うことができるものです。禁止事項や遵守事項において、一方に重大な不備があった場合などはそれに相当することでしょう。

それ以外にも、片方が行方不明になり消息が一定年数わからない場合や、第13条、14条における規定違反(子の認知で相手が認知承諾や遺伝子検査を受け入れてくれなかった場合、遺伝子検査で違うパートナーの遺伝子だった場合等)といった事項を盛り込むことができます。

契約解除における条件を明確にすることで、今後の夫婦生活をどのように過ごすかに影響しますので、禁止事項や遵守事項は慎重に内容を決め、決めた内容を違反なく過ごせるように努力していく必要があります。

法律婚でももちろん不貞行為禁止などが掲げられていますが、おそらく民法を読み込んでる夫婦はあまり多くはないように思えます。こうした契約を踏まえた結婚は、契約内容を互いが事前に理解していることを前提とし進みます。なので契約不履行だった場合は大きな問題となるのは明白ですよね。

契約が解除された場合の未成年の子の監護・養育

契約解除、つまり離婚した時に実子がいた場合、その子供の親権をどうするか。親権は戸籍に紐づくため、現状の戸籍法を踏まえた法律婚は、一つの戸籍に一つの親権かつ夫婦同姓であることなど、戸籍に紐づく様々な条件があります。また、日本では単独親権制度ですが、一つの戸籍内での単独親権は、戸籍内にいる夫婦それぞれが親権を持っています。なので、法律婚をした夫婦が離婚するときには、夫婦が互いに別々の戸籍になるために、親権をどうするかという議論になるのです。

事実婚では互いに戸籍が別々のため、子供が生まれた時にどちらが親権を保有するかを決めなければいけません。親権は強力な権利のため、一度決まったものはなかなか動かすことができません。もちろん途中で親権を移動させることも不可能ではないですが相当難しいはずです。なので、契約解除した時点ではすでに親権を持っている側が基本的には親権を保有することになります。この親権に関するポイントは、法律婚と事実婚において重要な違いといえるでしょう。

これを踏まえた上で、契約解除後の親権をどうするかのルールを明記しておきます。親権者がそのまま契約解除後も親権者となるか、もしくは協議をするか。協議した上で決める場合、両者が納得し、同意すれば移動できますが、同意しない場合、親権保有者によるDVなど大きな過失があることが認められない限り、親権保有者が大変有利となります。もちろん、DVなどがあった場合は契約解除の要因として認められることは言うまでもありません。こまた、養育費などの支払いついても明記します。

契約が解除された後の未成年の子との面会・交流

契約解除後に、非親権者が子供と面会や交流することについて明記します。特に双方に問題のない契約解除であれば、一般的な離婚後の親子の面談と同様なものになるでしょう。もし非親権者がDVなど虐待などで契約解除に至ったのであれば、面会などは家裁を通じて制限される可能性があります。このあたりは、既存の離婚の裁判例に沿う形となり、法律婚であっても事実婚であっても同じです。

親子の面会ですが、現在、面会交流は親の権利であると同時に子供の権利でもあるとの考えのようで、面会の制限は、養育費の有無などにかかわらず、可能にする形になっているようです。(このあたりの問題は司法や実際の判例などをもとに今後どうなっていくか議論の余地があります)

財産分与

契約解除後に、共有財産を双方で分配しましょうといった内容です。先の財産の帰属を踏まえ、確認事項などで個々人の固有財産を明確にすることで、共有財産がどのくらいかを割り出すことになります。財産の帰属で触れた、契約以後に購入した不動産などの資産をどのように分配するかは、この事項に記載することなります。

損害賠償金

合意によらない契約解除で一方に過失がある場合、他方に対して損害賠償金を請求することができることを明記しています。

損害賠償金と養育費の料金計算表も盛り込み、どのような計算に基づくかをまとめます。金額に関しては、妥当な金額設定(一般的な損害賠償金の平均金額)がベースだと思いますが、双方が納得する形であれば、金額設定もある程度は自由にすることができます。とはいえ、あまりに法外な金額をいれるべきではないと思いますので、互いに議論・納得した上で決めましょう。

子の認知

妊娠、及び出産した場合は子供を認知しましょうという内容です。法律婚と違い、事実婚では認知をしないと親子関係が証明できません。また、遺伝子検査などを行った場合、自身の子でないことが判明した場合は認知を拒むことができるといった内容を明記することも可能です。そして、遺伝子検査に対して、夫妻双方は他方から申し出があった際に協力義務が発生することも明記することになります。認知に関しては、親子関係の立証や、親権について、その後の法定相続人など様々な問題に関わってくるものです。

事実婚は、法律婚と違い夫婦関係における扱いが違うだけであり、親子関係においては法律婚と同等に親としての子供の権利や義務が双方に生じます。もちろん、事実婚の子供も夫婦それぞれの遺産を受け取る権利(法定相続人)があります。なので、事実婚において親子関係を認知することで権利・義務を発生させることは重要なポイントになってきます。

子の認知の承諾

妻は、認知を承諾し出生届などで書面を作成する義務が発生します。また、夫以外の人に認知させてはいけません、ということも明記します。(夫以外の第三者が認知し、親子関係を確立させることも現実としては可能になってしまうため)

子の親権及び氏

生まれた子供の親権と氏(苗字)をどうするかを規定します。第一子の親権と氏は妻、第二子の親権と氏は夫といった、具体的なことを書いてもいいですし、都度協議、といった形であえて具体的に明記しないことも書くことができます。その場合は、互いに納得した上で、親権と氏を決めましょうね、という形になります。

そして、親権者となったものは、親権行使に対して、他方(非親権者)の意思を反映する努力義務を負うという内容を盛り込むことができます。ここを盛り込めば、形式と運用の違いはあるものの、家族円満である限り単独親権であっても特に運用上は問題なく、子供のことについて双方が責任をもって決定することになります。とはいえ、親権者でないと口座開設などもろもろの手続きができないという現実的な運用の問題はあります。銀行などの窓口は、こうした問題を早く解消してもらいたいものです。

親族との交際

民法に即すと、社会通念上相当の交際をしましょうといった内容になりますが、夫婦間や家族間によって内容の変更もありうるでしょう。夫婦の個別の問題のみならず、親族交流の程度や具合も、夫婦、家族を円滑に進めていく上で大事なポイントではないでしょうか。(社会通念上、という言葉そのものが具体的ではないですが、こういう親族交流をどこまで明記するかは議論の余地があります)

互いの父母との同居又は介護、援助

第16条と同じく将来に渡って影響するものです。具体的に明記することも良いですし、協議する、といったことでおさめておくこともできます。親族間、親子間での介護や援助は、夫婦や家族それぞれで状況が違うため、一概には言えないものです。夫婦にとって納得のいくように内容を詰めていきましょう。

祭祀

死んだ時のお葬式や埋葬方法など、祭祀に関することを明記し、夫婦の片方が死んだ時には、他方の意思を尊重し、執り行うことになります。具体的な内容を明記してもいいですが、基本的に祭祀も含めた死んだ時のことは遺言に別途まとめておくと良いでしょう。

人によって宗教観や死生観は様々で、親族や家族によっては埋葬場所やお墓のこともあると思います。こうした家族や親族間の問題は個人や家庭によって様々ですので、一概にこう、とは言いにくいものがあります。互いに納得し,本人同士や周囲にとってより良い祭祀を選択しましょう。

子がない場合の負担付死因贈与

子供がいない場合、自身の財産を誰にどう贈与するか。財産分与は遺言書でもカバーできますが、遺言書の難点は、書き換えが可能(公正証書にすれば別)で、内容は書いた本人しか決めることができません。しかし、契約書では、互いに合意の上、合意した内容は変更できないことを前提とした契約ですので、履行義務が発生します。

個々にどういった財産を持っているか、それを死んだ際にどうするかを考えておく必要があります。親兄弟からの遺産も、自身が受け取れば財産になります。子供が生まれれば法定相続人ですが、子供がいない場合は、法律婚のように配偶者に遺産が渡ることが自明ではないため、事実婚では財産の行方が不明確になります。なので、パートナーをに対して財産を渡すことについて明記しておく必要があります。

ただ、死因贈与は財産の贈与のみなので、他のものは遺言書で明記することになります。死因贈与と遺言書をセットにしておくことで、有形無形の財産の行方を明確にすることになるでしょう。

子がある場合の死因贈与契約

子供がいる場合は、財産分与がより複雑になります。一般的には夫もしくは妻に半分、もう半分を子供が等分する、といった内容でしょう。

これも、死因贈与契約で財産分与について明記しつつ、個々の遺言書で財産贈与も含めた様々な遺言を明記しておく、というセットにするとよいです。
株式なども財産として重要な取扱なので、この契約書でも、株式についても明記しておきます。もちろん、途中で財産が変更になる場合もあるので、その際は遺言書が大きな役割を担ってきます。契約時においてほぼ確定している財産を契約書に盛り込んでおくことは大切といえます。

一方が死亡している場合の他方の財産の帰属

二人のうち片方が死んで、もう片方が死んだ場合は、上記の死因贈与を相手が実行することができないので、遺言書が重要になりますよ、ということです。けど、遺言書をなくした(公正証書にしたら絶対になくならない)等、遺言書が見当たらない場合は民法に則り、法定相続人による遺産分割協議になります。

本契約に記載のない事項及び解釈

この契約は、契約書を結んだ時点での民法や裁判例の判決をもとに、行政書士とともに作成したものです。今後、民法や戸籍法が改正されるかもしれません。場合によって、上記に書かれていない出来事が夫婦や家族に発生する可能性もあります。

なので、書かれていない事項や解釈に疑問が発生した場合は、疑義が発生した時点の民法や裁判例を考慮しますよ、といったことを盛り込むことになります。

数年で法律が変わるかもしれない時代、都度都度、公正証書を書き直すのは手間です。なので、こうした文言を明記しておくことで、その手間を省こうということです。

訴訟の合意管轄裁判所

契約における訴訟はどこの裁判所か(基本的に、住所に近い裁判所が一般的)を明記します。

遡及適用

この契約の効力がいつから発生するか、契約期間の開始日を設定します。この設定した日を軸に、損害賠償金などの日数計算をしますので、重要な日時になります。

事実婚夫婦は「いつが結婚記念日なのか」と言われるとなかなか難しいものがあると思います。もちろん、契約締結日から効力を発揮させることもできますし、すでに婚姻状態が認められる状態になっている夫婦であれば、ある程度、日付を遡って効力を発揮させていることにすることもできます。逆に言えば、好きな日に設定することが可能ともいえます。

法律婚でいえば婚姻届を出した日に相当するので、この契約開始日をもって結婚記念日とすることもできますが、記念日をどうするかは最終的な夫婦で決めましょう。それらも含めて、重要な日時ですので、いつからにするか夫婦で納得して決めましょう。

盛り込むべき内容を一通りまとめた後、公正証書であれば、これが公正証書として効力を発揮させるため、公証役場にて公証人によって互いに内容を読み聞かせをし、間違いがないことを認め、各人が署名押印をします。

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概略だけをまとめましたが、長いし、いろいろと面倒な契約内容だと思います。確認事項を別紙でまとめる場合は、確認事項書類を作成します。さらに、遺言したい内容をまとめ、遺言書を自筆で作成します。途中でも触れていますが、任意後見人契約をする夫婦は、また別の契約書を作成しなければいけません。

色々と事項が多いと思う人も多いかもしれませんが、民法や戸籍法において、ここで規定している内容と類似、もしくは同程度の権利や義務が発生することが明記されています。民法が規定できないもの、規定していないものを自分たちで考え、自分たち夫婦や子供がいる場合は家族生活において必要な事項、約束事を互いに考えることがこの契約を作成する上で大切な行為です。

私としては、こうした契約書を考えることが、民法や戸籍法が規定している内容について深く理解するものだと思います。これを踏まえた上で、民法についてや、戸籍のあり方をどうするかを考える一つのものになると考えています。契約作成による丁寧な議論や協議ををしっかりとやっておくと、夫婦間だけでなく、子供など残された人たちにとっても安心する材料を作り出せます。

これまで、そして現在も民法や戸籍法に関して様々な議論や裁判などが行われています。そうした活動とも平行して考えながら、私達自身が法律や法のあり方について主体的、積極的なリーガルデザインを行っていくことが求められています。

本来であればこうした手間のかかることをする必要はなく、時代に沿った形で法律婚のあり方が変わり、多様な生き方、多様な結婚観を内包したうえで、きちんと配偶者優遇なり親子関係を証明しやすい仕組みがあれば良いんです。けれども、現状の法律婚が現代の価値観や結婚観、家族間にそぐわなくなってきているのにもかかわらず、既存の法律婚ではない夫婦や家族が住みづらいものになってはいけません。もっと多様なあり方を、社会は柔軟に受け入れていくべきです。

ここで書いている契約内容はあくまで一部かつ一例であり、事項の説明も概略にとどめています。契約にはもっと細かいことが書かれています。あくまで、契約を考える上でのポイントをまとめただけにすぎません。作成にあたっては、必ず行政書士などのプロに相談してください。

ここで挙げている事項がすべてではありませんし、夫婦や家族の考え方によっては違う内容もありうることでしょう。もしかしたら、私達でも抜け落ちてる問題があるかもしれません。多様な家族のあり方があるように、一つとして同じ契約書にはならないかもしれません。 

あなたの夫婦生活、家族生活において必要だと思う事項があれば、ぜひ契約内容に盛り込んでみてください。その際には、ぜひ教えてください。多様な家族のあり方とそれらを支える仕組みづくりの一つのヒントになるはずです。

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夫婦のこと、家族のこと

夫婦・家族生活について、多様な価値観や生き方を許容できる社会になってほしいと考え、日々のなかで考えたことを書き綴っています。
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