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WISHING 07/29/23 若いマウスの血液は老齢マウスの寿命を延ばす〜不老不死の夢は永遠に

若い血を吸って不老不死を手にいれるという吸血鬼伝説は、医学生物学研究の永遠のテーマであり続ける。

老年マウスの血管を若いマウスの血管につなぐことによって、老年マウスが6〜9%長生きすることが、最新の研究で明らかになった。

「パラバイオーシス(parabiosis)」とは2匹の生きた動物が手術的に結合され、血液、血管、心臓などの循環系を共有するようになった状態を指す。19世紀に確立された実験法である。主にアンチエイジング研究目的のために、老年マウスと若年マウスとの間でパラバイオーシスが行われてきた。2匹のネズミの血管をつないだり、皮膚の毛細血管が合流するように、若いネズミと老いたネズミの脇腹を縫い合わせる。

2000年代初頭、研究者たちは最新の技術を使って、異なる年齢の動物が同じ血流を共有することで何が起こるかを研究した。その結果、年老いたマウスの筋肉や脳は若返り、若いマウスには老化促進の兆候が見られた。

そうした予備的結果に飛びつき、認知症などの老齢疾患の治療法として若い人の血漿を注射し始めた医師も現れた。食品医薬品局は2019年、このような治療法に対して警告を発し、「これらのクリニックが宣伝している用途に対する臨床的利益は証明されておらず、潜在的に有害である 」と注意を促した。

今回の研究では、老齢のマウスと若いマウスは、通常のパラバイオーシスの2倍の期間である3ヵ月間接合された後に、注意深く切り離された。動物が回復した後、科学者たちは動物がどのくらい長生きするかを観察した。

マウスの血液と肝臓にある分子マーカーを調べると、分子時計が一時停止しているように見えた。2ヵ月後、これらの分子マーカーは、同じ年齢の未処置のマウスよりも若いことが示された。つまり、老化の軌跡がリセットされていた。老齢マウスは分離されることで若い細胞の供給を失ったが、元の状態に戻ることはなかった。一方、若いマウスは急速に年を取り、分離されることで元に戻った。

一つの可能性は、老齢のマウスの有害物質が若いマウスの血液によって希釈されることである。また、若い血液には老齢マウスの細胞を再プログラムする分子が含まれている可能性もある。しかし、今のところ、マウスの寿命を延ばすカクテルに含まれる決定的なアンチエイジング物質はわかっていない。

同時に、アンチエイジング・ビジネスが、貧困をターゲットにし続け、世界に悲惨な結果をもたらし続けるという形も、永遠になくならない。

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